俺和尚
夢破れ
家継いで
早10年過ぎ
毎日
村中法話を話して
駆ける
違う
俺決してただの和尚には成り下がらん
目の前にある遺影
本日
読経する相手
ずいぶん変わったが
俺はすぐわかった
幼い俺が好きだった相手
給食のおばちゃん
おばちゃんというから当時40ぐらいの歳かというとそうでなく
彼女は
学校のどの先生より若くて
でも俺たちは
給食のおばちゃん
と呼ぶしかほかに呼びようがなかった知らなかった不器用すぎた
だから
いつまでたっても彼女は給食のおばちゃん
だ
白黒の給食のおばちゃんは
こぼれるように笑って
その笑顔はあの頃と何も変わらなくて
読経の途中
言葉に詰まる
言葉を失くす
給食のおばちゃんがぼやける
沈黙で騒ぎ出す親族外野は黙っとれ
深呼吸
では君に
祈りとともにこの歌を捧げよう
聞いてください
南無妙法蓮華経
"和尚だからって一人称をわしとは言わん"へのコメント 0件