日日奇譚

鷹枕可

293文字

如何わしいモノを読む暇があるならば、小説を書きなさい。

 

噴泉へまぎれゐたりし櫻地獄の正面はたれいづる君の闇

 

天球さかしまに降るダリア死なずは生まれざる引力の複翼花

 

*

 

惡一つ爲さざる夕邊蛇連れて郵便配達夫は死を賜りぬ

 

木薔薇の多翼刈盡して花殻累累たる死与へたし。彼奴に

 

指名手配こそ承りぬ実刑禁錮百年の死ゆ孵る天使‐蛾

 

*

 

自鳴琴軋める勿れ蝸牛宮の膜薄氷の襞割るるとも

 

忌名 花梨の靑銅の膚なす球果電氣機関の言葉殺む爲

 

ロゴス・セクスアリスの夕血鹽に偽名の神神を創るべし

 

靑き血の伽藍その命題集に紅玉髄の符丁 さる印璽は

 

*

2025年4月7日公開

© 2025 鷹枕可

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