研究者たちは西へ向かった……。おれもそろそろ理解してから新しい試験管を購入するために出向くべきだろう……。いわゆる蜃気楼発生装置のような巨大で存在感のある鉄の塊とは決別し、横から入り込んでくるジャンプの力学に惚れてから二人きりで坂を下る……。
「切開だ……」
「だとして、いつ頃始まるの?」
「三日後……」
しっかりとした声で患者に答えてやる……。それから出入り口の方向を指差してから、切開の準備に取り掛かる……。三つの葉を宿した懐中時計のような音が通り抜けて、患者の不確かな足取りが溶けてく……。
名前を呼ぶ……。さらに祭りのような風体の風によって頬を増やす……。硬い物質を指で弾いて飛んで消える……。画面の向こう側に未来が視える……。新人の様子を観察する……。
「消耗品?」
「いいえ。まさか……」それから新しい嘲笑が放たれて宇宙のような真っ暗な空間をさ迷う……。二度目の浮遊によって惑星の崩壊と人事部の異動を視る……。オペラのような剥製を目ざとく発見して車を突撃させる……。「おれは二階に向かうとするよ……」
いつもの夕暮れが黄昏に進化して昆虫のような無機質で無情な音を投げている……。耳介に入りこんで脳にまで浸透する特殊な警棒……。巨大な銃火器と無煙火薬による破裂の趣味……。
「成功率だって? しったこっちゃないさ……」
「誰彼構わず発砲している……」
おれは新しいスケジュールのシートに二日分の授業の日程を記入する。すると隣の席から校長先生が湯呑を投げておれの後頭部を狙っていることが判明する……。おれは軽い回避でその場から逃げると、職員室の扉を蹴ってから二万円の鉄の風味をカフェテリアに求める……。
人々の流れを観察してノートに記す……。男が二人で陰茎を触り合っている……。さらにその隣で女のような見た目の山羊が自分の額の体毛に雫を垂らして様子を見ている……。女児の集団が横断歩道を一気に渡って自傷癖を治そうとしている……。
「きみたち、それは無理だよ……」
「ど、どうして?」
「きみたちはどこまで向かってもポンプのような人生しか歩めないから」
おれはコートとノートを翻してから古代文明の回転するアルミの予告に向かう……。ジオラマの中から世界に発信する……。新しく作られたばかりの映画館の暗闇で涙を流す……。柏餅の怪物が襲ってくる……。
「こんな映画みたことないっ……」
光が後頭部から抜けていく……。新しい宗教団体の人間たちが映画館の階段状の椅子に腰を下ろす……。本日二度目の映画放送が始まる……。
「これは傑作だな!」
すると隣のはげの男が、飲みかけのジュースをおれの額にぶちまける。
「なにするんだ!」
男は立ち上がり、自分がいかにもこの映画の主演であることを誇示する魅惑の踊りをおれに披露する。おれは映画のスクリーンの端に潜む男そっくりのどんぐりに舌を伸ばす……。
カマキリの歴戦たち……。財団の吹き矢と喘ぎ声……。新しく建設された遊園と海岸とビル………。その五階に潜む女の戦士たち……。
おれは階段を下ってから風船を投げる……。するとおれの専属の理解者が新しい半紙を持って唾液を垂らしている。粘着性のそれらは料理に使うボウルの中に溜まっていき、新調した包丁の先端で街を確かめる。
観察する男たちの群れ……。おれは次の街に到着してからすぐに彼らのもとへ向かった……。そして初めての爆発の衝撃に身を任せ、落書きの低空飛行を嗜むことにする……。危害の度合いによって持ち出す鞄の中の荷物を変化させ、鳥類と猛禽類の違いについて論じる……。
「どうして観察者は蠢いているの?」
「消火栓だから……」
おれはようやく口から出た支離滅裂な発言に酔いながら記者会見に向かう……。二番目の記者がおれの裾に近づいてインタビュー・マイクを向けてくる……。
「導火線ですかっ?」記者……。
「初めてですので……」
最果ての会場に入って吸い込まれて全裸になる男……。
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