振動するサイレンとリサイクル・バーゲンに集まった猛毒の主人。

巣居けけ

小説

903文字

隕石が降り注ぐ……。街に山羊が溢れる……。次の家畜に人間が選ばれる……。

跳ね上がるパルミジャーノ・レッジャーノ……。車輪を噛みしめた赤子……。泥と道徳と開始の音と雪が降るだけの列……。

「有給? 私は列車の中と外よ?」

「でもダンゴムシじゃない……」

氏名を固定して浮遊する空気の中の微細な人間に爪楊枝を吐き出す……。二等兵たちが曹長を咀嚼して取り消しの中腹に居る……。おれはコートを剥いで爪の先端に付着した平手打ちの高度を確かめる……。一対のメモ帳に万年筆を繋げてチューブに流れる黄色のビールに唾を垂らす。

「どうして唾液を断端に当てているの?」

「宗教だから」

「どうしてコンビニエンスストアに居るの?」

「学会だから」

「どうして教室の中心に女の子が立っているの?」

「消防士だから」

波に乗ってから下山して空気の薄い室内を白色で散らかす収集癖の男……。石と岩と岩塩と噴火する人間の集団に付けられた肝の名前……。雲の色を指名して線路の真ん中で蹴りをする……。

ふくよかな脂汗と複数の腕……。祭壇の中の空欄とインクの暗記力……。冷凍作品と盗作と軽々しい夜空の蠢きと走り出す宿谷……。

馬と谷とロープのはしごなどに貼り付いた忍びの類の昆虫の顔をしたマスクの休止命令……。おれは炎天下に蜃気楼発生装置を投げてから、彼の重たい体躯に痰と汗といくつかのコートを貼り付けて去る……。後ろから仇敵がやってきておれのみぞおちにナイフを擦り付ける……。

おれは十二月のティーパーティーに招待された……。お気に入りのコートを着て会場に向かった……。

「へい! 招待状は?」

「た、食べました……」

「そうか、なら通って良しっ!」

「はいぃ……」

重ねられた鎖と音を立てている男の咳……。唾液と共に体外に離れていく滑車の滑らかで他人行儀な印……。発火する校舎と階段の隙間に流れた鮮血……。「おれはどこまでも続くから……」少年が握り拳で力強い惑星を捨てている……。投げられた道のさ中にある鉄で作られたおかしな人形の果てしない穴……。

春と切っ先と死体の流れと分裂して合わさる消しゴムの色……。地図作りのインクと汚した解剖の鋭いメス……。財団に向かってから転がり落ちる木片の出入り口……。ステーキを刺した十九時と動き回る土煙の経営方針……。

2023年4月23日公開

© 2023 巣居けけ

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