「なんかめっちゃ埃たってない?」
「可能性の塊ってことだよ」
「どういうことだよ……」速やかに移動する鱈子のスパゲッティ……。連続する地球儀と右脚の大群……。
アスファルトに突っ切る音……。魚と扉と脚本の指定された青色の背中と鉄や石の積み木……。「柘榴? いいえ、おれはテレパシー!」
さらに両手を広げて大きく走り去って行く水路の人間……。全体と一割だけの酒や氷の焦点と集中力の余力や予測された囚人の衣服……。
「どうすて橙色じゃないの?」
「夕暮れを思い出してしまうから……」
リタイアした陰茎の造形と練り上げられた二度目の自慰行為……。尻と肉と黄色の信号機や商店街に流れる毛並みの泥。図書室に向かう教師の軍団と虹色に輝く羽毛などを集めた惑星……。
針金男爵は耳介と口内炎に突き刺さる歴史の典型的な網膜をいつでも監視している……。彼は支離滅裂発電機という架空の組織に縋ってから低い声を出して空から無事に落下することだけを願っている。
「さて、そろそろ行くか……」
「どこへ?」という呪文を駅員が二人そろって呟いている。空き缶の音が自動販売機に流れてから消えている……。
「私の研究室と机と本棚の分け目に、回転する歯列の黄ばんだ象牙やオセロ・ゲームに発汗する灼熱の電撃……」
「予測できない熱と電動する泥ってことかい? 所長」という呪文と共にペンウィー・ドダーが駅員の身体の中から出てくる。
「ペンウィー博士! どこから?」
「ふふん。私は人間の身体の中に物理的に干渉することができるんだよ……」という流れてきた耳介の言葉と共に、ペンウィー博士は自慢の黒いウルフカットを撫でる……。
「なるほど! 博士ほどの人間となれば、海底のような圧力にまみれた世界の中でも呼吸ができるのですね!」
男は跪きながらペンウィー博士のいつものカーキ色の短パンを撫でる。するとペンウィー博士が顔色をキッと変え、怒気にまみれた眼光で男を睨んだ。
ペンウィー博士が長い腕を持ち上げ、平手で男の頬を打った。パシン、という乾いた音が響き、男は腫れ上がる頬に手を添えた。
「このアマ! なにしてやがるっ!」
男は立ち上がるとペンウィー博士の白衣を掴んだ。それはほぼ胸倉を掴むのと同等の動作で、二人の顔面は至近距離で触れ合った……。
「私は君にそれ相応の態度を取ってもらいたいだけだが?」
「それとこれとは話が違うでしょう。我々は囚人じゃない……」
「ああっ、カクテルだ」
ペンウィー博士が男の腕を無理やり下ろし、白衣のポケットに両手を入れてすたすたと去って行く……。
絡み合ってから色彩を取り戻していくつかの複製された電池と理解力の竜巻よ……。医学の頂点に達している射精の感覚や、炭酸の視力などの調べるべき村長たちによる河童の洗練……。果てしない掃除と気分転換の四文字で彩られる野菜のカクテル……。「そうでしょう? だからみなぎってくる力に介護と抑止力のためだけだから……」
ペンウィー博士は『ペンウィー医学研究所』という架空の組織の長を務めている……。彼女は自慢の頭脳で猿の脳を人間に移植したり、蜥蜴に共通する唾液の味を塩で再現したりする……。彼女の声はいくつかの次元の中の紙の医学を呼び覚ましてから入り組んだ頭髪を確かめている……。彼女の黒のウルフカットの彼女……。「待て……。彼女は、ペンウィー・ドダーは髪が茶色だった時期がある……」
迎え撃つメスの捌きと魚類たちからの観戦……。時計の針などの鋭いゲームに飛んで行く唾の玉や崩壊した泥の顔面……。
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