立体的幻想研究室第六号。

巣居けけ

小説

2,985文字

おれは必死に、『砂で作られた壁』、を見上げる。そして空中で分解された蟻の巣を思い出す。脳裡にはギターの香りを吹いたばかりのカプセルが散乱している。昆虫らしい顔色と音……。香りのような雰囲気……。男たちの街の中で、独りきりの山羊が混在して吹き飛んでいく……。眺めていたトレンチコートの刑事があんパンの中に取り込まれてから四肢をばたつかせて脱ぎ捨てたステテコを拾おうと踏ん張っている。

新たな流動の背油と灼熱の加減を調節するためのストッパー……。女たちが股を開いて待っているぞ……。おれはさっそくステテコを脱ぎ、蛇の黒色の色が浮いている褌を下ろして象のような質感の陰茎を露出させる。屹立した亀頭を握りしめ、しゃがんで女の股の中心を目指す……。

破瓜の感触で震える。女が涙を流しておれの腰の具合を楽しんでいる。受け入れられたおれは喜びの中で腰を振るう……。卑猥な摩擦が陰茎に伝わり、すぐに果てる。女が上半身をのけぞらせてびくびくと喘ぐ。おれはそんな彼女の一番深い位置で射精を続ける。粘液が注がれていく感触を弄ぶ。数秒経ってから腰を浮かせる。女が再び喘いでいる。おれは引き抜いた陰茎を横のちり紙で拭く。
「なあ、具合はどうだった?」
「ええ……。ジェネラル・パーパス・マシンガン……」と、女が天井を仰ぎながらつぶやく……。

おれは方角の無い新天地の中でピアノの黒色火薬と鉛筆で彩られたキャロット・バズーカの城を建てる。創立記念日を繰り返しているはげの親父と共に架空のスコッチ・ウイスキーを浴びるように飲み、ふと思いついた無駄のない小銭の蠢きにいちいちときめく……。おれは立派な操縦士になったつもりで坂を下り、石で作られたカウンター席と拷問の名目をなぞる……。
「砂漠かい?」
「いいや……」おれは壁にむかって亀頭を撫でた。「おれは力士じゃない……」

円卓の中の唾液の予測変換。粗悪品の中と試験管の居心地や、カクテルを推奨するための男たちと教師の群れ……。おれは次回の構造を頭の中で何度も理解し直しながら道を歩き、肉で作られたカット・コンクリートに脳を貼り付ける。スイッチが飛び跳ねてから花火に変換され、隙間から虹色に光る百足が這い出てくる。

おれは必死に、『砂で作られた壁』、を見上げる。そして空中で分解された蟻の巣を思い出す。脳裡にはギターの香りを吹いたばかりのカプセルが散乱している。昆虫らしい顔色と音……。香りのような雰囲気……。男たちの街の中で、独りきりの山羊が混在して吹き飛んでいく……。眺めていたトレンチコートの刑事があんパンの中に取り込まれてから四肢をばたつかせて脱ぎ捨てたステテコを拾おうと踏ん張っている。おれは新しく作られたゲイ・バーに入って、全ての小銭のやり取りをやり過ごす。「おれはゲイじゃない……」すぐ隣に知らない男が座っては消えていく。

おれは必死に、『鉄で作られた床』、を見下ろす。そして地中で崩壊した蝉の住処を思い出す。脳裡にはベースの香りを吹いたばかりのカプセルが散乱している。猛禽類らしい顔色と音……。香りのようなオーロラ……。女たちの街の中で、独りきりの山羊が散乱して吹き飛んでいく……。眺めていたトレンチコートの刑事が食パンの中に取り込まれてから四肢をばたつかせて脱ぎ捨てた褌を拾おうと踏ん張っている。おれは新しく作られた女子専門の小学校に入って全てのチョークのやり取りをやり過ごす。「おれは教師じゃない……」すぐ隣に知らない女子高生が座っては消えていく。

忘れられたクラブ・ショーとはげを極めた調律師によるバラード合掌……。おれは西へと向かうと同時に……。赤色と海月の住処を荒らして周るぞ……。どうした? おれの顔に皮膚でもついているのか? それとも消化試合か? なあ、「漁師なのかい?」とおれは二本指の中心点で水を飲み、がちゃがちゃと煩い幼児にチョコレート・バーを咥えさせてから旅立ちを謳う……。「そして野獣のような性欲の麒麟は滑り台で機関銃を乱射し、山を超え、女の股をキャンプ場に指定する。

あさましい音と母親のような熱によるハンバーグ。資料をめくり、桃色のベッドの上でキャミソールに成りきる……。『柔道着を模した男を作ろうとしているのですが、どのようなマジシャンを起用するべきでしょうか? コンピュータ室?』

おれたちの動けない動物園……。一番の玩具と放送されてしまう破廉恥な女体……。召喚された召使による暴動と、巨乳の資料。キューブや奴隷たちの唾液。『投資で一億を稼ぎますが――』そして疫病神に成り下がったキャミソールたち。秋刀魚の巨人に乳白色が吹かれ、春という四季が訪れる」

おれは巨人の話を聞いた瞬間に次の目的地を決定し、それを入力する音と風船と、猿のような模様の蟻集団に加え、子宮の具合による釘と野球フォーメーション・スタンダード……。おれは願っていた重機でたった独りきりの最終決戦を始める。「戦闘開始、だ……」

汗が染みているぞ……。湿度を調節しろ……。さらに部屋の角の中のふわふわとした鉛筆で理解者を集めろ……。おれは何をするのかを予測している秘書の内臓で酒をやるぞ……。「どうだい? あんたも一杯?」願っていた七月と流れる川の訓練……。「いいえ。わたくしは残業があるので」おれたちは軍隊のような規律の中で昆虫を現し、自宅よりも安全なベッド・ルームに焼酎を持ち上げる……。「酒はゆったりと呑むに限るな……」ほら、テレビを観てみろ……。途中のサッカーの試合で中途半端な赤いカードによる、劣勢の吐き気や疼痛……。「マスター、どうかこちらを見ないでください……。おれはもう限界です。明るい未来なんて無かったのです……。おれの足には何も宿っていませんでした。薬莢を捨てた監督の中にも、何も宿っていなかったんです。かたかたと揺れ動く湯舟に水滴や赤色のインクをもたらしたあの瞬間から、おれは落花生のような将来を予測することができなかったのです。おれは物理学を学ぶべきだったのです。あんたは蟻の巣の歴史を学ぶべきだったのです。おれはあんたの球体じゃないし、鉄骨の中心で愛を叫ぶような力士でもありません……。おれたちは図鑑に収納されるような人間じゃなかったのです。これは懺悔です。しかしシスターは居ません。彼らには重火器が必要だったんです。では飛び降りの中で――」と言い捨てた彼は展望台から飛び降りて、地下に挿入された海へと頭から突っ込んだ。彼は悲鳴を上げることなく頭蓋を崩壊させ、月夜に浮かぶ血の飛沫を散らしながら死にいった……。「臨死体験? いいえ、これはお茶ですが……」

大昔に湛えられた海月色のマッピング・ドリルたち……。他のどのリアルな臓物の造船の釘……。「もしかして、パラソル・ダイビングか……。

いわゆる彼らは自慢をしたいだけなのだ……。さらにドミノの本来の遊び方を幼児たちに仕込んでから酒をやっているんだ……。どうした? 数式に色が付いているぞ? おれたちが数学者になる未来を感じ取れ……。『ええ! ここで例の公式を使うのですか?』
『そうだ! 行け!』と、先生は指揮棒で尻を叩いている……。
『行け、行け! 行け!』

おれは自分と同じ顔が充満している教室を後にして、新しく作られたという研究室に入った」
「やあ!」と元気よく低音の声で笑う主任はウルフカットで、茶色い色の短髪だった。おれは彼女に右手の会釈をしてからダンボールで象っている湯たんぽに近づいた。すると主任が変則的な顔の中で元素記号をいくつか演出し、おれに真新しい白衣を手渡してくれる。
「ああスミマセン……。ちょっと尿意が……」

おれは両手でいただいた冷たい白衣を落としながら研究室から脱出した。そして振り返り、そこが本当に研究室なのかを確かめるために出入り口の上を観た……。曰く、『幻想研究室』だ……。

2022年12月21日公開

© 2022 巣居けけ

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