料理教室が終わり帰ろうとした時、
「石渡さん」
声をかけられたので振り返るとそこには大田さんがいた。
「この後時間ないかな?」
えっ、どういう事?
「この後 、俺も時間あってさ。よかったらどこか行かない?」
何を言われたのか一瞬わからなかった。
頭をフル回転させて考えていると
『ピピピピピ』
という音が遠くから聞こえた。
「はっ!」
私が居たのは自分のベッドだった。
「夢か…」
さっきの音はアラームだった。
アラームを消しながら、私はなんて夢を見たのだろう…しかも料理教室当日に。
少し気だるそうに起きて支度をした。
料理教室の事はあまり覚えていない…自分が見た夢が気になっていたからだ。
ただ大田さんが報告の為の写真を撮っている事だけはわかった。
結構撮るんだな…そうぼんやりと考えていたら料理教室は終わっていた。
私は外に出て、灰皿があったのでタバコを吸い出した。
皆はそれぞれ帰っていく。その姿を見ながらタバコを吸っていた。
夢に期待してるんだろうか…でもそんな上手く行く訳はない、帰ろうと思った時
「石渡さん!」
聞きなれた声を聞いて私は振り返った。
「大田さん」
「良かった。まだいた。今日はありがとう」
「いえいえ、家に居てもゲームしかやる事ないし、1人でも人数多い方がいいかなと思って」
「凄い助かった。あのさ…」
「はい?」
「この後、ここで面接があるんだけど」
と言って大田さんは少し止まった。
「面接まで時間あるからちょっと一緒に時間潰してくれない?」
えっ、まさかの言葉に私の世界は止まった。
「1人より2人でいる方が時間進むの早いじゃん?」
「はぁ」
彼が何を言わんとしてるのか、私の脳みそは追いついてなかった。
「で、よければなんだけど…面接終わった後時間あるからどっか行かない?」
これは正夢?あれは予知夢?
私、今誘われてる…これはいいのか?
でも私は大田さんと居たい。そう思った。
「時間あります!」
これはけしていい事ではないのはわかっていた。でも一緒に居たい。もっと話して彼を知りたい。この時の私の頭の中はやはり大田さんでいっぱいだった。
"この世で最愛で最低な君へ"へのコメント 0件