この世で最悪で最低な君へ

この世で最愛で最低な君へ(第10話)

実琴

小説

896文字

人を愛する事が出来ない事に惰性していた私が初めて人を愛した人は優しくて最低な人でした。堕ちていく…愛に憎悪に

所長の犬を大田さんと2人で見に行った数日後、

「石渡さん」

大田さんに呼ばれた。

「なんですか?」

「これなんだけど」

と大田さんは1枚の紙を渡してきた。

それを見ると

「料理教室?」

「現場のリーダー達の親睦を深める為に企画しろって上から言われてさ。お願いなんだけどリーダー達に言って参加してもらいたいだけど」

「大変ですね。まぁ声かけてみますね」

「ありがとう!あ、もちろん石渡さんも参加してくれていいからね」

「はぁ」

頼られた事、誘われた事、嬉しくないわけじゃない。

ただ自分の貴重な休みを使って参加する意味あるか?と考えてしまった。

それに料理はそこそこ出来るので特に興味がわかなかった。

でも頼まれたので現場のリーダー達に声をかけて募ったがあまり参加してくれる人達が居なかった。

「大田さん、すいません。あまり参加人数居なくて」

「いや、数人でもありがたいよ。助かる。まぁ休みがバラバラだししょうがないよね。で、石渡さんは?」

「へっ?私ですか?」

「うん、俺責任者だから俺も行くし、写真撮ったりもしないといけないんだよね」

大田さんも来るのか、この日私はちょうど休みだ。人数合わせで出た方がいいのか?

リーダー達だけに任せて管理者が出ないのも良くないか…

「用事あるかな?」

と大田さんに聞かれた。

なんとなくだけどこれもチャンスなのではと考えてしまった。

「ちょうど休みなので参加します!」

と言ってしまった。

自分でも驚いた。でも管理者の立場だから…うん、そうだよと言い聞かせてる自分もいた。

「ほんと!良かった~」

と、大田さんは笑顔で言った。

あ、笑った…ヤバいかも…

「当日よろしくね」

と大田さんに言われたので

「はい、こちらこそ」

休みの日に大田さんに会える。そう思ってしまった。私の頭の中でどんどん大田さんが広がっていく。お互いに相手が居ることを完全に忘れていた。

連絡先交換はしたけど、犬を見に行った時しかやり取りはしてなかった。

恋人ではないし…お互いに相手いるし。

だからこそ他で接点が欲しかったのかもしれない。

この日から、私は料理教室が楽しみになっていた。早く日にちにならないかなと。

 

 

2022年2月20日公開

作品集『この世で最愛で最低な君へ』第10話 (全28話)

© 2022 実琴

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