魂の重さは21g。
私の意思も、私の行動も、全てこの笑えるくらい単純な重さ。
でもなんで21gなのかなぁ。
最後の1gって何?気持ち悪。
足の下にあるフォークも、止まない金切り声怒鳴り声も、気持ち悪い。
あー早く終われ早く終われ。
ガチャンと目の前でパスタの入った皿がひっくり返って、私の顎にミートソースの挽肉が付いた。
指先で拭って舌先でちろっと舐める。ふんわりきっちり甘い匂い。普遍に、限りなく近い冷凍食品。きっと、いや間違いなく美味しいはずだ。
私の目はいま磨りガラスだ。
血走った目で拳を握っているのは兄ではない。自分の頭を拳で殴りつけているように見えるのも錯覚だ。
お父さんに似ている男が何かを叫んでいる。黒いスーツ。線香の煙。電話が鳴っている。ぼわんぼわんと反響する音の澱み。蛍光灯の光。白。白い手、瞼、頬。ひっくり返った皿。ミートソース。
魂の重さは21g。
変わらない普遍。
じゃあなんで、隣の家からはカレーの良い匂いがして、子供の笑い声が聞こえるの?
私の魂は21g。
みんな平等なんだね。
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