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同じ夢。

巣居けけ

立体的な権利主張管理官が叫んでいる……。おれは夜空の中から好みの女児を探し出したため、そんな彼女と共にまずドーナッツを食べておく。それから、最高到達地点という名前の酒を飲んでいる。いいや、彼女ほどの人間にアルコールを与えるわけにはいかない。おれは、あの二千九十八年という無数の花瓶の中から万華鏡だけを摘まみ上げている。

小説

1,917文字

立体的な権利主張管理官が叫んでいる……。おれは夜空の中から好みの女児を探し出したため、そんな彼女と共にまずドーナッツを食べておく。それから、最高到達地点という名前の酒を飲んでいる。いいや、彼女ほどの人間にアルコールを与えるわけにはいかない。おれは、あの二千九十八年という無数の花瓶の中から万華鏡だけを摘まみ上げている。また、数式と数式の間に潜むいくつかの昆虫を利用して星座を想像し、肉料理と電子的な声色に便箋らしい理解力を願っている……。

さらに、教科書をひとつ……。おれは甲殻類アレルギーのような症状に二年間苦しめられている。あの巨大な壁を突破することができない。インターネット的な人格のことがわからない。おれは道路の中から鉛筆を支持している。ココアを飲み、珈琲を吐き出してから坂道を下っておく……。まるで九州のような形の雲が夜空の中に浮かんでいる。君が隠れてしまっている。
「なぜ焦燥感を得ているのか」という文言をおれは白衣のように着る……。「なぜ、キリンの中から灰色の臓器が露出するのか……」

それからおれは会社員研究施設の二階から降りてゆく……。この黄土色と鼠色と、それ以外の地味で吐き気のする湿っぽい色を含んだ幾何学模様ばかりの高い塔のような建造物をおれは疑っている。つまり、あの日の山羊騒動の主犯なのではないかと思っている。刑事が宇宙からやってくる……。二発の握り拳を腹の位置に受け止める。きっと、黒色のトレンチコートの中からあの子の好みのキャンディが視えてくる……。露出したスイッチを入力しておく。それから歯車を二つだけ購入し、インターネット的な人格を足の裏で破壊する。
「なぜ人は人と繋がることを想っているのか……」おれは自作のパーソナルコンピュータの前で訝しむ……。「なぜ、君はこの中から出てこないのか」

おれは黒色のベレッタを取り出して机に放置した。このイタリアからの拳銃は美しい……。おれはコートを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、陰茎がすっかり勃起していることを眺めながらその竿を握り締める。さらに、机の上のベレッタをみつめながら右手の動きを加速させる……。高飛車のあの子のことを思い出す。鞭なんてものを使ってほしい。おれはそういった妄想を打ち消すようにベレッタを眺めた。黒光りする形が美しい……。おれはそんなベレッタの黒色をまるで否定するかのように、濁った白い粘液をパーソナルコンピュータにぶちまける。
「くさいんだけど」

画面の中から、あの左右非対称の女児が頭を出してこちらにやってくる……。おれは机の上のベレッタを右手で握り、スライドを引いて初弾を薬室に送り込む。引金に指をかけておく。女児が鋭い目つきでこちらを視ている。照準器を使って彼女を視る。悲観した艶やかな、切羽詰まった声がパーソナルコンピュータを揺るがしている。おれは重たい引金を勢いよく引いた……。

いいか、あの蜃気楼発生装置という物質には気を配っておけ……。あの凛々しい数式で構成されたタイヤのような風味のする装置だけには警戒しておけ……。お前のあらゆる皮膚の上の孔が刺激されている……。試験管を二つほど用意しろ……。それから蟻の巣を破壊し、さらに二日目の太陽にこのように願え……。「おれはドーナッツじゃない」

二階から声が聞こえる。いったい、誰がどのように声を模倣し、そうしてなんの企みを元に、どのような世界を求めてしまってるのだろうか。おれは教室の中に立っている。周囲に波のような形で女児がある。男児たちが紙飛行機で軍事的な介入を企んでいる。おれは数学教師のような顔つきで新しい折り鶴を彼らに与えておく。さらに窓から視える陽光を、自由帳の中にひっそりと収めておく……。

落ち着いた紅茶が声を発している……。どうして踊る必要があるのだろうか……。おれたちはいつでも組織の末端として操作されていた。組織の末端とは、いつでも他の組織から捜査されてもいいように孔を清掃している。公園から紙飛行機が飛来する。おれは自分の放尿を駆使してそれらを撃墜する。内側から薬莢のにおいがする。指先の中から白衣を取り出す。靴の中から針金を引っ張り上げておく。無茶をする。いくつかの民家の中からトランプ・カードを探し当てる。おれは夢の中空の脱出経路をようやく発見する。背後に老人がいくつか立っている。おれはその中から最も色彩の薄い老人を選抜し、さらにあの太陽から鍵穴を発見しておく……。
「いつでも、腕があるさ……」

最後の、何か立体的に視える雲が浮かんでいる……。空の向こう側から便座の開閉する音が鳴る……。おれはあの女児を想う。背後におれだったものがある……。公園に向かうことをようやく決意する。

© 2026 巣居けけ ( 2026年2月22日公開

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