雨降り

hotaru

小説

267文字

雨の日の話です。はぐれ者の話を書きました。

その日は、季節はずれの激しい雨が降っていた。

 

出かけに、天気予報の降水確率60%という声を

背にききながら傘を持っていこうかと

迷っていたのをふと思い出した。

 

「ついていないなぁ」独り言を言いながら雨の間を駆けた。

適当に雨宿りできる場所はないかと

獲物を探す猛禽類のように眼を動かす。

あいにく近くに雨宿りできそうな建物はなかった。

 

駆けぬけ続けていつの間にかオフィス街に出ていた。

 

交差点は、

人で溢れていた。

皆、色とりどりの傘を持って歩いていた。

 

雨に濡れた体が、ひどく冷えた。

 

2022年2月12日公開

© 2022 hotaru

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