反出生主義者デヴィッド・ベネターの主張「存在しない人が幸福であるということは言えないが、存在することは害悪であると主張できる」を逆手に取り、「存在しなかった幸福な人の伝記」について書く。
良いデイヴィッドは死んだが、悪いデイヴィッドは生き残った——前者は20世紀を代表するロックスター、デイヴィッド・ボウイであり、後者は21世紀を代表する反出生主義者、デイヴィッド・べネターのことである。本稿では、2020年現在の反出生主義隆盛の中心的人物であるデイヴィッド・ベネターの著書『生まれてこないほうが良かった』を紹介するとともに、反出生主義とはなんであり、なぜ私はそれに興味を持つかについて説明する。
To be, or not to be. That is the question.——ハムレットはそう自問する。反出生主義によれば、明らかに生まれない方がよいのだが、では誰にとって良いのか、そして、そもそも「良さ」とは何か。
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