墨塗の濱に沈めるは
讃えの時、熱き道
墨塗の海に蔓延るは
白き島、黒き巌
島が籬知もて綾したり
陰多き、磯の面
青垣篭りたる裡は
空なる庭、色なる園
深緑に桐の額縁立て置くも
吾が絵画、そこになし
熟れ落つる価値が赤喚ぶ果実さえ
其が持たぬ波ぞ、灰ならん
蔦の椅子に虚ろなる
枯槁の男、孤に座して
脳裡が白波眼を犯し
黒き天、白き地
遥か都の彼方より
漂流たるは、昔方の
彼が艶なる概念の
娘子等、終ぞ破れ
耳にも這わず
舌にも映えず
荼毘の煙と揺蕩うなり
貴き禍の香を手にとりて
己が子の身を嘆くなり
久遠の鐘、覚の穢
徴も均れて
空間は閉じて
絵は歪み
世の潰れる音
あざわり延びて
常しなえ、つつみなし
籬綾し、緑雫し
白波たち、漣猗響き
時なき島は瞑る
墨塗の絵に
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