魔王は僕の友達

幾島溫

小説

38,673文字

親友が魔王になって、すべての「豆」という文字が「クリトリス」に変換される世界を作ってくれた話。舞台は廃ショッピングモール。岐阜県大垣市。中2の夏休み。2014年に書きました。

(5)8月30日(土)
翌朝ぼくらは午前10時にミルクシティ前で落ち合うと、この前みたいに鉄柵の途切れ目から敷地内に入って、裏口に自転車を止めると「従業員専用」の扉の前に立つ。黒のブラウス、黒のスカート、白いリボンを頭に付けて右目を眼帯で隠した千晴は「完璧やろ?」とぼくにドヤ顔を見せると「行こっ♪」と言ってドアを開け、トランク片手にずんずん中を歩いて行く。足下は白黒ボーダーのオーバーニーで、この暑い時によくやるよなぁと思いながらぼくは彼女の後を追う。
ロッカールームを抜けてフロアに出ると、千晴はスマホのカメラを起動して「再び訪れしこの地……」と呟くと、くるっとぼくに向き直って「あのおっきなボールが来る前に早く行こっ!」と言って足早に歩き出す。
去年のままのポスターや床の上のイラストなどを見送ると、巨大モニターが現れる。呪いの言葉を瞳に映して歩いて行くと、そのうち靴底に塩粒がまとわりついて足取りが重くなるから、塩が途切れがちになるテナントと通路の境界ギリギリを歩く。行路は順調、もうすぐフロアの端っこで二階へ続く階段が見えそうだ。というところで「ゴゴゴゴゴ」覚えのある地響きが始まる。「ゴロゴロ……ゴロゴロ……」振り返るとこの前と同じ巨大な球体がこちらへ向かって来る。前見た時よりも大きくなってる気がするけれどきっと気のせい、だと思いたい。「急ご!」千晴がぼくの手首を掴んで駆け出した。球は結構早いけど、階段まではもう少し。走る。ゴミの塊みたいなやつと衝突なんて嫌すぎる。球体の唸り声は徐々に大きくなってぼくらに迫るけど、あいつが追いつくより早く、ぼくらは階段の前の広いところへ滑り込んだ。
セーフ!
思い切り息を吐くと目の前をあの物体が通り過ぎた。「なんて禍々しい姿……! これが魔王の力!?」千晴はカメラを向けて、球体を見送ると「いよいよ二階ね!」と階段を映す。
「本当に行くんか?」「当たり前やん」「魔王、何考えとるかわからんし、怖いで」「でも、行ってみんとわからへんやん」「まぁ、そやけど」「それに京輔くん、頭えぇで何とかなるやろ?」と言われるとちょっと嬉しくて「う〜ん」と否定も肯定も出来ずにいたら、千晴は一人で階段を上り始めていた。
「はよ行こ〜!」階段の中段まで上った千晴は振り返ってぼくに向かって笑う。と、その途端、段と手摺りが折り畳まれてそこは斜面に変わった。
「いやあぁあぁぁ〜!」
左手にトランクを持った千晴は、残った右手で斜面に手をつくけれど、ずるずる滑り落ちて一階に戻る。
「お帰り」「どーん」「ごぉろんっ、ごろんっ」ぼくの声と球体の唸り声が重なった。彼女は斜面に俯せたまま「ううう」と言って顔を上げない。
「やっぱアカンて、ここ。これ以上行くの無理やって。な? 魔王は本気やで」
ぼくは小さな肩にぽんと手を置く。気分はリストラ宣告だ。だけど千晴はそれを合図にしたように「諦めるのはまだ早ーいっ!」と眼帯フェイスをがばっと上げて、トランクを開けると、ごちゃ〜っとした中から手の平いっぱいにゴムのイボがついた軍手と黄色のロープを取り出して「見てなさいっ!」と、トランクはその場に置いたまま、手袋を嵌めてロープを小脇に挟んでそして、階段だった斜面をぺたぺた上り始めた。ゴスロリ姿の少女が這い上がる様はある種の趣があって、まじかよーと眺めているうちに千晴は踊り場へ辿り付く。
「やったー☆」彼女はセルフ拍手で自分を祝うと、窓の格子にロープを括り付けて「京輔くん、これ使いや−」とぼくの足下へ投げる。
「あー……お前すごいなー……」
仕方無いからぼくは、千晴のトランクを持って一緒にロープで踊り場に上がる。斜面は滑るけど掴まる場所があれば何てことない。ぼくたちは同じ要領で残り半分の階段を上ると、二階に着いた。
「いざ魔王の元へ!」千晴はぼくからトランクを受け取ると、おーっと拳をあげてフロアに向かって歩き出す。
でもすぐに足が止まった。
見るとぼくにも理由がわかる。
二階には何もなくて、灰色の床と壁がひろがる、がらんどうだった。
静けさが耳をつんざく。
明かりは一階と同じように、ろうそくが置いてあるだけだった。
左右両側の壁には扉が二つずつあって、ぼくは千晴に引っ張られる形で左回りで順に扉の様子を確認する。
四つの扉は全部が鉄製でそれぞれ「JUSTICE」「EMPEROR」「THE HANGED MAN」「EMPRESS」という文字が刻まれていた。エンペラーは皇帝で、ジャスティスは正義。このくらいはぼくらにもわかったけれど「ハゲどマン?」「えんぷれす??」残り二つはよくわからない。「ハゲどマンってことは、ハゲた男やんな?」千晴が物欲しそうにぼくを見るから「ハゲなわけあるか〜い」と吉本新喜劇で覚えた言葉で軽く頭をはたいてあげる。「えへへへ」彼女は嬉しそうだ。
ぼくらは千晴の提案でひとまず、扉をすべて開けて回ることにした。
まず初めは、左側手前の「JUSTICE」から。ということで「開け、正義の扉!」カメラを構えた千晴が薄汚れたドアノブをひねる。
部屋の中は墨をぶちまけたような黒一色の世界で、部屋の広さは10メートル四方という感じだった。テナントひとつを部屋に仕立てたのだろう。
真っ黒の塊はよく見ると、学習机や地球儀や天体望遠鏡などで、よくある子供の勉強部屋という感じだった。壁には白い文字で「JUSTICE is DIE」という殴り書きがあって、千晴が「ふぉ〜! まっおぉぅ〜!」と歓声を上げる。
ぼくらは部屋の中をおっかなびっくり、だけどどこをどう警戒していいのかもわからずに、右から順に回っていく。隠し扉を求めて千晴は何度も壁ををノックするけれど、手応えは特になし。黒一色の本棚には背表紙の読み取れない大量の本と真っ黒なトロフィー、そして真っ黒なベッドの上には黒一色の学生カバンとブレザーとネクタイで、ぼくと千晴の影もその黒の中に溶けて行く。
結局この部屋では、次への道もおもしろアイテムも見つからず、ぼくらは一旦部屋を出ると、次の扉「EMPEROR」を開いた。
部屋の中はゴミ溜めだった。ガラクタとゴミ袋が散乱していて、甘酸っぱい匂いが鼻を突く。
ぼくも千晴も手で鼻と口を覆った。「くっさ〜」「ひどいな」「ドイヒーやて」これ以外に言葉が出ない。
部屋の中をざっと見ると、ゴミ袋に空き缶、空のペットボトルや酒瓶などの間から壊れた椅子やテーブルなどが顔を覗かせている。奥の壁には子供が描いたらしい人の顔の絵が貼ってあるけど、まっぷたつに破られている。絵の左側には金色のリボンと「おとうさんだいすき」という文字があった。
悪臭に耐えかねたぼくらは、この部屋の探索は一旦保留で、次の扉に行く事にした。
今度は右手前にある「EMPRESS」だ。
例によって千晴が扉を開ける。
真っ白な部屋だった。床も壁も一面真っ白で、部屋の奥にある扉だけが赤い。
部屋の中は空っぽで何もなかった。「わーい、きっとあれやね〜!」千晴が嬉しそうに奥の赤い扉に向かって駆け寄るけれど、ぼくは絶対罠だと思っているから何も言わない。千晴は無防備すぎる。落とし穴とかがないとも限らないのに。
なんてぼくは内心面白い事が起きないかなと彼女を見守るけれど、千晴は無事に扉の前に辿り付いた。
「京輔くんも早よ来やぁ〜」と手を振ってぼくを呼ぶから、しょーがないよね。赤いドアの前に行くと、千晴は「待ってなさい、魔王……」とスマホに向かって呟いて扉を開けて、足を踏み出す。
その先は細い通路だった。扉を開けると道は左側にしかなくて、千晴を先頭にぼくらは一列に進む。中は真っ暗で千晴の持つ懐中電灯だけが頼りだ。壁にも床にも絵も文字も何も描いていない。黙々と歩いていると、道が左に折れ曲がっているので、ぼくたちはそれに従って歩いて行く。
胎内巡りのような細い道を歩いていると、何故今こんな所でこうしているのかとか自分を見失いそうになる。
「なー、千晴、魔王に会ったらどうするん?」
ぼくは目的を確認したい。
「そやねー。まず文句言う!」「何の?」「ホールケーキ壊さんといて! って。それと……」「それと?」「豆の字が変な風になるようにしたのも、あんたやないの!? って聞く!」と言うので、ぼくはドキッとする。無防備なくせに勘が良いな。
そんな風に話している間に、また突き当たりが左に折れていて、ぼくたちは道なりに歩いていく。そしてその後は、またひたすらに真っ直ぐ行くと、通路の先がほんのり明るくなっていて、やっとのことで広い場所に出た。
「やったー!」バンザイをする千晴にぼくは「あれ見てみ」とすぐ傍にある階段……というか黄色いロープが垂れ下がった斜面を教えてやる。
「うそぉおぉぉぉぉ!」
「ものっすごいデジャヴやろ」
「あぅぅぅぅ」
「どうした? 前世の記憶が蘇りそうか?」
「うぅ……ナイス中2……でも今はそれ要らん。デジャヴやないやん、元の場所に戻っただけやん……も〜……」
千晴はしばらく頭を抱えてうなだれていたけれど、暫くするとバッと顔をあげて「こうしちゃいらんない! 行くよ、最後の扉っ!」と言ってずんずん歩いて行ってしまった。「待ちぃやー」ぼくもその後に続く。
「THE HANGED MAN」の前に来ると千晴は「開けハゲ!」と行って扉を思いっきり開く。
部屋の中は明るかった。
真ん中には、体中に無数の竹刀の刺さった黒い人形が、剣道の防具を着て正座している。
壁には一面包帯がはりめぐらされていて、そこらじゅうに赤黒い飛沫が飛び散っていた。
「何これ怖い……」
千晴は遠巻きに剣道人形の周りを回って様子を伺う。
悠一郎は剣道をずっとやっているけど、本当は好きじゃ無いことをぼくは知っている。彼の兄の健一郎さんは、剣道がとても強くて県大会で何度も優勝している。そんなお兄さんの真似をして悠一郎も剣道を始めたらしいんだけど、ぼくに言わせりゃ悠一郎には剣道の才能が余りなくて、いつも苦しそうに見える。
この部屋はそんな気持ちの表れなのか?
部屋の奥には扉があって、どでかい南京錠が掛けられている。
「あのドア絶対怪しい〜」千晴は南京錠に顔を近付けてガチャガチャやるけど、取れない。
「ん。見ろよ」ぼくは壁に書かれた文字を見付ける。
「たすけてください。ぼくの身体に刺さった竹刀を抜いて下さい。ひとつだけ痛いところがあります。それだけを抜いてください。お願いします」
「えぇっと、これを抜けばいいってことだよね?」
千晴は早速手近な竹刀の柄を握る。
「まー、そういうことやろな」
「そしたらあのドア開くんやろか」
「それはわからんけど」
「でも、やるっきゃないよね!」
そう言うと、千晴はスマホをポケットに入れて胴着に足を引っかけて「うぅん……っ、っくぅ、はぁ……硬ぁあぁいぃっ」と切な気な声で竹刀をずるるっと引き抜いた。
「抜けたぁ−!」
千晴は手にした竹刀をぶんと振り回す。すると、左奥の天井からブーメランが飛んできた。
「うっわ!」ぼくは千晴の肩を抱いて床に身を伏せる。ブーメランは弧を描いて元の場所へ戻ろうとするけれど、帰る所がないらしく天井の角にぶつかるとそのまま部屋の隅に落下した。
「アボリジニー!!」千晴が叫ぶ。
「な、やっぱ、魔王怖ぇやろ? もうやめとけや」ぼくも中々諦めない。「でも大丈夫だったやん」「それはおれの機転が利いたからで」「そやろ、だから京輔くんがおるで大丈夫なんやって」
何だよそれ! 理屈になってない〜〜! と思うけど何となく上手く言い返せなくてぼくは「うーん」と黙ってしまう。
「な、京輔くんもこれ抜いてや。私、疲れた」「えー」「一本づつ交代でやろ」「もー」と言いつつ仕方無いから、ぼくは剣道人形の前に立って抜くべき竹刀はどれなのかと考える。
適当に抜いたら何が起こるかわからない。壁の文字は「ひとつだけ」「抜いてください」だから、正解はどれか一つだけだ。悠一郎はどこに正解を隠すだろう。ぼくは考える。あいつの性格ならきっと……裏の裏を掻いてきっとど真ん中だ! 「行くぞ、千晴! この部屋の封印は、おれが解く!」一緒にいるうちぼくも中2病菌に感染してしまったらしい。「どりゃあぁぁ!」もういい加減、千晴に撤退してほしいぼくは脇腹に刺さっている竹刀を抜いて「どやあぁ!」天井に剣先を向けた。ぱちぱちと音が響く。「京輔くん! 火ぃ着いてる!」「え!?」見ると竹刀の先端で火花が飛び散っていた。火花は徐々に大きくなって先端を真っ黒に染めて行く。「うわ!」ぼくは慌てて放り捨てる。すると竹刀はひゅんっ! と垂直に飛ぶ。「わぁぁっ!」ぼくらが急いで部屋の隅っこへ逃げてる間に、空飛ぶ竹刀は天井にズガン! と激突。そして力をなくしてその場に落ちた。
「何なん……これ……」
千晴は壁に身を寄せた。
ぼくは天井の激突痕を見遣る。すると「封印を解く鍵は此処に」と赤い文字が書いてある。
「此処」っていうのは天井か? 鍵は天井にあるのか、屋根裏にあるのか。何れにしても上の方へ行かなきゃならなそうだ。でもどうやって? はしごも脚立もありゃしない……ってそうだ、そういう事か!
ぼくは閃いた。点と点が繋がったのだ。
「でも、アタシは、負けないっ!」
いつの間にか撮影を再開していた千晴が、再び竹刀に手を掛ける。今度は背中のど真ん中。
「んっ、んんっ、硬いの……っ、抜けなぁぁあぁい……っん、くぅ……っ、はぁ……あぁんっ!」
違う、千晴。そこじゃない。ここでやるべきゲームは、黒ひげ危機一髪じゃなくて、脱出ゲームの方だ。ぼくらはまず天井を探るためにはしごか脚立か何かを手に入れなくちゃならない。そしてそれはおそらく、あのゴミ溜めの中か、漆黒の子供部屋の中にあるのだろう。
と、考えたけど、ぼくは言わない。それはやっぱり、今ここで第三者が侵入するのは悠一郎がかわいそうだと思うからだ。あいつはもう少し一人で考えた方がいいと思うし、ホールケーキを壊す事は問題の本質ではないのに、そこを責められると余計にこじれそうな気がするからだ。
「っく、あぁぁぁ……っ!! 抜けたぁぁぁぁっ!」
千晴は竹刀を抜くと、ぼくに向かっていぇいとピース。すると天井から槍がズドンズドンと3本落ちる。千晴をトライアングル状に囲んで、スカートの裾を裂いた。
槍は三つ股で、床の上に垂直で刺さる。切っ先は鋭く、本物のようだ。
千晴は縮こまってぼくを見る。
さすがにぼくもドン引きだ。これ、立ってる場所が悪かったら死んでたんじゃないのか?
ぼくは悠一郎は侵入者を殺す気はないと踏んでいたけど、果たしてそれは本当にそうなのだろうか。ここを訪れる人たちを、ギリギリの所まで困らせて適当に追い払うのがあいつの考えだと思っていたけど、そうではなくて、やはり「魔王」を名乗ってしまうくらいだから「邪魔者はみんな殺す」くらいに思っているのだろうか。
「ねぇ、京輔くん……」
泣き出しそうな顔で千晴が言う。
「ん?」
「「ハゲた男」って、こいつの事かな……?」
春日井は防具をまとった黒人形を指す。
「そやな……。こいつハゲっぽいもんな」ぼくは兜の中を覗く。顔面も黒一色で顔がない。髪の毛もなさそうだ。
「じゃあやっぱ、こいつがこの部屋のキーパーソンやんな」
「……」ある意味そうだけど、でもこいつはきっと当て馬だ。本当のところは……。
ぼくは千晴に言うべきか逡巡する。
「それじゃもうこの竹刀、全部抜くしかないよねっ。やらぬより、やって後悔! 青春だもの♡」
と言うと千晴は胴のど真ん中に刺さる竹刀に手をかけて、腹部に足を掛けて踏ん張りながら「うぅぅぅん、んんっ、抜けてぇぇぇっ!」と声を出す。
「ちょ、もうやめろて。魔王やっぱ本気やで、危ねぇて」
「危ないかもだけど、でも大丈夫だよっ! だって……わたしは自分を信じてるからっ!」
……っておーい! 耳障りの良いこと言ってるけど、ただの向こう見ずの無鉄砲じゃね〜か〜!! 今回ばかりは本当に心配したというのに。と、ぼくが唇を尖らせていると、穴の中でギチギチだった竹刀が不意にずるずるずるっと抜け出して、最後は「すぽっ」と気持ち良い音を出した。バランスを崩した千晴が尻餅をつくとその時、胴着の中から、「THREE、TWO、ONE、ZERO」とやたら発音の良い声がして、防具を着たまま人形が尻からジェット噴射して、しゅ〜っ!! と飛び立った。「うおおおお」「こわい!!」ホラーだった。胴着のすそがひらひらして、狭い部屋をひゅんひゅん飛びまわる。ぼくらはほふく前進で入口へ向かう。剣道着の人形はボディに竹刀を数本刺したまま、天井すれすれの場所を飛んでる。「ハゲどマン」の扉から部屋の外へ出ると、ぼくらは中の様子を伺う。剣道の防具は暫く宙を舞っていたけど、そのうち天井の角に思い切り頭突きをすると、ふらふら落ちた。天井がずーんと揺れて、衝撃で何かが落ちる。床の上に小さな金属音が響いた。
ぼくらはそれでもまだ様子を伺うけれど、人形が本当にもう動かなさそうだったので、恐る恐る中に入ると、千晴はさっき床の上に落ちたものを拾う。
「きょーすけくん! きたこれやったよ!」
彼女の手には一つの鍵があった。
早速千晴が、部屋の奥の扉に掛かる南京錠に鍵を差し込むと、すんなり入って鍵が回り、錠が解けた。
「やったね、行こう!」
千晴がスキップで足を踏み出す。
扉を開けたその先は、これまた細い通路だけど、さっきの「EMPRESS」の通路とは違って、曲がり角はすぐに訪れる。道なりで左に曲がると、広い場所に出た。
一面には行く手を阻む白い壁と、うずたかく積み上がるガラクタの塔があった。
何故「塔」だと思ったのかというと、壁に「←THE TOWER」と書いてあったからだ。
塔の中身は、ミルクシティで使われていたカートやカゴ、棚にワゴンに冷蔵庫など……どこか見覚えのあるものばかりで、その隙間を埋めるようにスケッチブックやキャンバスや、パレットに水入れ、使いかけの絵の具とか、木製のデッサン人形とか、絵筆なんかが刺さっている。
これ作ったの、悠一郎だよな? ばっかじゃね〜の、あいつ!
ぼくは唇を噛んだ。何か悲しくなりそうだったから。
そびえたつ白壁は無表情で、この先に行く手立ては何も想像できない。
もしかしてぼくが来なくても、千晴は悠一郎の所まで辿り着けなかったんじゃないだろうか。
「千晴、こっからどうする?」
「うーん……」
「これ以上行くのはもう無理やろ? ドアとかも何もねぇし」
「でも……。ここで帰るのって何か悔しい」
「……」
千晴を止めるつもりで来た道で、ぼくは思いがけず悠一郎の心の中を覗いてしまった。
「魔王」としてここに籠もるようになってからも、悠一郎はぼくの前では変わらずに笑って話していた。……少し元気がないとは思っていたけど。それでもぼくといる時のあいつは、ほとんどいつも通りだった。今の悠一郎が自分の思うように行ってなくて、それでしんどそうなのは解っていたつもりだった。
けれどぼくが思うより、あいつの痛みは深くて傷口は想像以上に膿んでいた。
最短ルートで行ったぼくは、誰よりも早くあいつの所へ辿り付いたけれど、何も解っていなかったんだと思う。
「誰か来られるもんなら来ればいい。ていうか、無理だろうけど」ぼくは彼の言葉を思い出す。
もし初めに通常ルートで辿り付いていたら、何か違ったのだろうか。
「こいつ、でーら邪魔ーっ!」
千晴が金槌をぶん回して、ガラクタの塔を殴っている。
「ちょ、やめろて、崩れるやろ」
「崩そうとしとるんやて!」
眼帯の顔がぼくを見た。
「あかんて! 危ないやん!」
「危ないかもしれんけど、大丈夫やって!」
「大丈夫やないわ、こんなもんが崩れたら、シャレにならんやろ」
ぼくは改めて、ジェンガのように積み上げられたカートや冷蔵庫や棚やカゴ、それから画材を見上げる。
がつーん! 千晴がこの塔を殴るたび、ゆらゆら揺れる。
「もうやめろや、帰るぞ!」
ぼくは千晴を掴んで無理矢理止めようと思うけど、金槌を振り回しているから近付けない。
「こんな中途半端な状態じゃ、帰れへんやん」
上段から、スケッチブックが落下する。
千晴は金槌をふるうたび、ハイになっていくようだった。暴力が血を騒がせるのか、血が騒ぐから暴力をふるうのか。よくわからないけれど。あ、これって、勃起したから抜きたくなるのか、抜きたくなったから勃起するのかというのと同じかもしれない。千晴の情熱がどこから来てるのかぼくには理解出来なかったけれど、そもそもぼくだって、自分の性的衝動がどこから来てるのかよくわかっちゃいない。そんなものかもしれない。
と、納得したところで危険は去らない。物理的な問題はまた別だ。
「お前の気持ちは分かるけど、ふつーに危ないで、これ!」
「だいじょーぶやって! あっち側に倒れるように叩いとるもん!」
「あほか! こんだけバランス悪かったら、どこへ倒れるかわからんやろ!」
金槌が挟まっていたカゴを吹き飛ばす。そうすると、ガラクタの塔はバランスを崩してゆらぁとこっちに向かって倒れてくる。
「危ない!」
「え?」
ぼくは千晴の手を引っ張って駆け出した。「ゆらぁ」の反対方向へ。
どーん、がしゃーん、どんっ、がしゃがしゃっ。
落下音と衝撃音が背後に響く。
振り返ると、塔は崩れて辺りにものが散乱している。
「危なかったな」
千晴は何も言わない。
「おれの言った通りやろ?」
「うん……でも」
千晴が顔を上げてぼくを見詰める。
「わたしの言った通りにもなった。……ありがと」
そして彼女はまた俯く。
「勢いだけで行動しすぎやで」
「うん……そやね」
巨大なものが倒れたのがショックだったのか、しおらしい。
「でもさ、その代わり何か出て来たで」
ぼくは塔の向こうに隠れていたものを指した。
「……車輪の絵?」
それは、大きな車輪の絵が描いてある、把手を失ったドアだった。この期に及んで突破口が見つかるなんて。
ぼくはずっと千晴をこの先に行かせるべきではないと考えていたけれど、それは間違いだったのかもしれない。
悠一郎が「来られるもんなら来ればいい」と言っていたのは、誰かに来て欲しかったからじゃないのだろうか。そして実際、行こうとしている千晴がここにいて、ぼくはそれを手伝ってもいいんじゃないのかって思う。悠一郎のために。いいや、実のところぼくは千晴の熱に動かされただけかもしれない。いや、でも、そうではなくて……。ぼくは自分でもどっちなのか解らなくなる。
ただこの先に行きたいという衝動を感じる。
違うんだ、誰のためでもない。ぼくはぼくとして、この面倒くさい方法で友達に会いに行ってみたい。そうする必要があると思った。強く。
「あそこなら壁、殴って壊して行けるんやないの?」
ぼくは千晴に教えてやる。彼女が悠一郎にとって迷惑かどうかは、悠一郎が決めれば良いのだ。
「マジ!?」
「うん、多分。あれ、もともとドアやった感じあるし」
「そっか!」
「おれも手伝うわ」
「ほんと!? それじゃ、トランクの中から何でも好きなもん、使って」
と言われてぼくは、床の上に置いてある千晴のトランクを開けて、中を拝見。全体にピンクやグリーンなどのパステル調だけど、ぼくはそのたったひとつの真っ黒いバールのようなものを手に取り、彼女の隣へ立つ。
「ナイス、バールのようなもの♡」
千晴が笑って、ぼくは「えーい」と金の車輪の絵めがけてバールのようなものを振り上げる。
がつーんと手応えを感じると、交代で千晴が金槌を振り上げる。ごーん。音が響いて、板が軋む。この扉はベニヤっぽくて、頑丈ではなさそうだ。
ぼくはもう一度バールのようなもので殴る。めりっと板がへこむ。「あっ、いいこと思い付いた!」千晴はドアの境目を殴り始める。がんがんがんがん。扉が奥へ倒れ始める。「それいいな」ぼくも同じようにがっつんがっつん叩いて、上の段の蝶番を痛めつけた。
戸板が傾いていて、向こうの黒い壁が見えて来る。
ごんごんとぼくが叩くと、「あーもう、めんどくさー!」千晴は思いっきり金槌を振り上げて、ガツーン!と一撃、フルスイングで扉を殴った。
下段の蝶番が吹き飛んで扉が倒れる。
「開いた……!」
千晴は仁王立ちでその向こうを見据えた。ぼくはちょっと様子を伺いたくて、壁の影に隠れる。
「……誰?」
入口の向こうから悠一郎の声が聞こえる。
「あなたが魔王なの?」
千晴はその場で立ったまま話している。
「そうだよ」
「子供だよね!?」
千晴は悠一郎の、彼の言うところの暗黒の居住スペースへ足を踏み入れた。
「そうだね、未成年だからね。でもそういうきみも子供だよね?」
「まあね。……って、あれ? どこかで会ったことあったっけ?」
「どうして? 僕はきみのこと、知らないよ」
「うーん……うーん……待ってね、えっとね……」
千晴は俯いて考えるけど、すぐに「あーっ! わかった! 『行方不明の南中二年生男子・川本悠一郎くん』やん!! そっこら中にビラ貼ってあるで!!」顔を上げた。
「……」
悠一郎は何も言わないようだ。
そろそろぼくの出番だろうか。
「おすおす!」
ぼくは千晴の肩越しで悠一郎に顔を見せる。
「え? 京輔!?」
「元気やった?」
「あぁ、まぁ相変わらずだよ。ねぇ、この子、誰?」
「あー、おれと塾が一緒の春日井千晴っていう人」ぼくは千晴を手で指し示す。人差し指は差さしてないぞ。
「初めまして。春日井です……ってういか、どういうことなん!? 京輔くん」
「あー……まぁ、色々や。色々あるんやて。な!」
「うん、そうだね」
「色々って何?」
「まー……そやな……」
千晴は片眼でじりっとぼくに迫る。その眼力が強すぎて、逃れる術がないと悟ったぼくは、一応悠一郎にも目で合図して、二人の関係を説明する。
悠一郎とぼくは小学校からの付き合いで、悠一郎が魔王になったのはこの夏から。ミルクシティに一人閉じこもった悠一郎は魔力があることに気付いて、ぼくは何となく……というか本当は、行方不明になった悠一郎の部屋で見付けたスケッチブックにミルクシティをモデルにしたような絵が沢山描いてあったから……ここにいるだろうと思って来てみたら案の定だった、ということを。
「ふーん、でもそうならそうと教えてくれてもよかったやん! 何で黙っとったん!?」
「だってお前聞かへんかったやん。「魔王と友達なん?」って」
「そりゃそうやわ! そんなこと誰も思わへんて!」
まーそうだよな。ぼくは千晴の目先を煙に巻きたいだけだ。
「……じゃぁさ、川本くんが魔王なら、大瀧市のホールケーキクラッシュ事件は、川本くんがやったってことでいいの?」
「うん、そうだよ」
悠一郎は悪びれずに言う。
「ちょっと……何考えとんの? あれ本当に迷惑やでね。あんたのせいで私、今年の誕生日はちっさなケーキにろうそく14本も立てたんやよ!?」
「良かったね」悠一郎が微笑むと、千晴は「良くない!」と声を荒げる。
「どうして? 祝ってくれる人がいるんだから、ホールケーキの有無なんて些細な問題だろ? それに普段の生活では要らないモノじゃないか。ホールケーキがなくなったって、本当は誰も困りやしないんだから」
「何言っとんの、私が困っとるって言っとるやろ。普段の日やなくて、特別な日やでみんなで大きなケーキでお祝いしたいやん!」
「だから壊すんだよ! みんな楽しそうでズルいんだよ! 目障りなんだよ! ケーキ使って愛情確かめ合ってんじゃねーよ!」
悠一郎が立ち上がる。すると千晴はぐっと身を乗り出して、彼とテーブルを挟む感じで対峙した。
ゴスロリ少女とゴスロリ少年(ぼくはこのジャンルの呼び名を知らないよ)の対決は、なんだかとっても非現実的で、もしぼくがこういうのが好きだったら堪んないんだろうなーと思うので、今この瞬間だけでもゴシック愛好者になってみようと密かに決意する。
「何なん! それって結局自分の問題やん! あんたの問題に大瀧市民を巻き込まんといてよ!」
眼帯の少女が身を乗り出して言う。眼福。
「うるさい! 僕はもう耐えられないんだ! そうやって幸せを見せつけられてると、どうして僕はみんなが出来ていることが出来ないんだって、悲しくなるんだよ。いいじゃないか、みんな。ケーキなんかなくたって、ちゃんと楽しくやってるんだから」
黒い半ズボンから伸びる脚は、白のハイソックスで包まれてる。眼福。
「そやけど、でもケーキあったらもっと楽しかったもん。一年に一回しかないお祝いなんやよ。私ずーっと楽しみにしとったんやでね! 謝りぃよ!」
「嫌だ。僕は悪いことをしてはいない。きみたちが恵まれ過ぎているんだ。この世界は弱者に厳し過ぎる。もう少し弱さに寄り添ったっていいじゃないか!」
二人は一歩も譲らない。漆黒のスカートの裾は冒険の壮絶さを表すように破れているけど……ごめんやっぱりまったく興味が持てない。やっぱりぼくが好きなのは……と、思考が拡散しかけたところで気付く。悠一郎は拳を握って俯いたまま、それ以上何も喋らない。こんなに感情的な悠一郎は初めて見る。千晴ももう何も言わない。
……次はぼくが何かを言う番か。
「ん〜、でもさー、悠一郎、お前も家族に愛されとるやん。おじさんもおばさんも、お兄さんもみんな心配しとるで」
「嘘だよ」
「んなことないわ。お前がいなくなってから、ビラ作って張ってお前のこと探しとるで」
「ほんとやで。うちらの学校の掲示板にも貼ってるし」と千晴が言う。
「ふぅん……。でもそれだけのことがやれるなら、ここまで探しに来ても良いとは思わないかい? ちょっと考えれば、そして僕の部屋からヒントを探したり、普段の僕をちゃんと見ていたら、ここに居る事なんて容易に想像が付く筈だよ。だからね、そこまで至っていないのは怠慢だよ。結局彼らは自分たちがやりたいだけのことをして、僕のことを愛した気になっているんだ。本当に僕を求めているのなら、京輔や春日井さんのように、ここまで辿り付いている筈だね」
悠一郎の思考はどこかでもつれているような気がする。けれどそれがどこなのか、ぼくには言い当てられない。だからこの悲しい言葉を上手く否定出来ない。
「僕はね、タイムリミットを8月31日までって決めたんだ。明日までは待つ。けれど日付が変わっても僕を迎えに来なかったら、その時は僕の魔力でこの世界を……」
そしたら今度はすべての「犬棒かるた」を「肉棒かるた」にする魔法をかけてくれって思ったけど、後で言う。
「明日にしたのは何で? 夏休みの終わりやで?」
千晴が聞く。
「違うんだ。明日は僕の誕生日。だから良い区切りだろう? 14歳の幕開けは、どちらにしてもきっと華々しいものになるさ」
「……川本くんは、誕生日は大きな丸いケーキでお祝いしてもらいたくないの?」
「……」
「本当はそうなんやろ? そやで誕生日に見付けてもらえたら、ケーキ壊すのも止めるんやろ?」
悠一郎は千晴を見詰めた儘で何も言わない。
千晴は邪魔くさそうに眼帯をひっぺがした。
「あのさー、川本くんの言う事ももっともやと思うけど、私、やっぱ言わな伝わらへんと思うんやって。こんなとこで一人閉じこもってポエムとか書いとっても、誰も読んでくれんし、読まれんかったら伝わらへんよ。川本くんさー、自分の気持ちとか、家族にちゃんと言ったことある?」
「……ない」
「そやろ。やでさ、一応言ってみるべきやと思うよ、私は。ちゃんと自分の気持ちを素直に言って、でもそれで駄目やったら、そん時はここに戻ってきて、ケーキでもういろうでもぶっこさせばえぇと思う。まーでもちょっとだけにしといて欲しいけど」
千晴が悪戯っぽい表情で笑った。
「わかった。ありがとう、春日井さん。世界をどうにかする前に、みんなにちゃんと話してみる」
悠一郎が頬を紅潮させて、嬉しそうに笑う。
と同時に、部屋の中が真っ暗になって、冷房も切れた。
室内が徐々にぬるくなっていく。
「あれ? おかしいな」
悠一郎は眉間に皺を寄せて、力を使おうとする。
だけど何も起きない。
「あれ? あれ?」
指をぱちんと慣らしても、床の上に手を付いても、何も発動しない。
「おかしいな。魔力が消えたみたいだ」
悠一郎はきょとんとするけど、そのうち一人で笑い出す。
「あははは。まぁえぇわ。もう使う必要がないって事かもしれんな」
言葉が訛った。
悠一郎は首のネクタイを緩めながら、壁に掛かったカーテンを開けて窓も開けた。
日光が降り注いで秋めいた風が吹き抜ける。涼しい。
「実は私、サンドウィッチ持ってきたんやけど、みんなで食べへん? 川本くんのフライング誕生日会兼ねて」
「イイネ!」
ぼくは親指を立てた。
千晴はバスケットの中から、手作りらしいサンドウィッチを出してテーブルの上に並べると「京輔くん、歌おう」と言って、手拍子しながら「ハッピバースデートゥーユー」と歌い始めるのでぼくも2フレーズ目から歌に入る。
「おめでとう〜♪」最後まで歌いきると、悠一郎は嬉しそうに「ありがとう」と言って、そして千晴に勧められるがままに、フルーツサンドを手に取り食べた。
「ろうそくに「ふ〜」するのは、おうちでちゃんとやるんやで」という千晴の言葉に、悠一郎は素直に頷く。
ツナサンドを食べながら、ぼくはどうしても引っかかっていることを思い出す。
「なー悠一郎さー」
こんな時を逃したらもう二度と言えない気がして、ぼくはちょっと思い切って口を開いた。
「『誕生日おめでとう』の反対ってわかるか?」
「ん? ……誕生日やろ? うーん……『命日、ご愁傷様』とか、そんな感じか?」
「そや。おれがお前の誕生日を祝うっていうのは、そういうことやでな。あんまり死ぬなよ」
「は?」
「だから〜、生まれてきたことを祝うってことは、死んだら悲しいってこと」
「あー、解ったわ」
悠一郎が少し照れくさそうに笑って、そしてやっぱりぼくもさすがにクサすぎ! と思ったから、ツナサンドの残りを一気に頬張って飲み込んだ。
「あっ! そや! もう一個、魔王に会ったら聞きたいことがあったんや!」
たまごサンドを握り締めたまま、千晴が声を上げた。
「あのさ、最近『豆』って字が、変な風に変わってまうやん? あれってもしかして、川本くんの力のせい?」
「あ、うん。そやで」
悠一郎はあっさり認める。ぼくは内心ブーイングだ。
「やっっっぱりそうなんだ〜〜!当たってたー! 私ね、蜂の巣掲示板に『魔王のせいじゃね?』って書いたんだけど、袋叩きにあってでら最悪やったんやよ〜。『特定しました』とか言われるし!」
おおおお。あの342番の名無しちゃんは千晴だったのか! ぼくは恐ろしいものを見る目で彼女を一瞥する。横顔から見える睫毛は上向きだ。
「京輔が頼むもんで、僕がやったったんやわ」
「マジでっ!! ちょっと、黒幕アンタやったん!?」
「おっ、おお。黒幕やなくて、プロデューサーやて。フューチャリングやて」
「何でもえぇわ! エロ京輔のあほ〜!!」
千晴は楽しそうにぼくを罵倒した。その様子を見て悠一郎が笑ってる。これって幸せかもって思った。

2024年7月19日公開 (初出 2014/9/2 個人ブログ(現存せず))

© 2024 幾島溫

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"魔王は僕の友達"へのコメント 2

  • 投稿者 | 2024-07-28 11:11

    めちゃくちゃ面白かったです。中2でこれ書くとは凄すぎる。キャラ立ちもいいし、読後感も爽やかで最高。
    ところで、もうだいぶ昔「笑っていいとも」という昼の生放送バラエティ番組で、クリスマスゲストの徳田ホキが、タモリに向かって「メリークリトリス」ってはっきり言ったの、リアルタイムで観てました。
    「今すごいこと言いましたね」と小堺一機が固まってたの思い出しました。

    • 投稿者 | 2024-07-29 15:08

      めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます!当時、確か3週間位で書いたので、その頃の頑張りが報われます…!
      そして自分の説明文が悪かったのですが、「中2の夏休みの物語」という意味で、中2で書いた訳じゃなかったです。すみません。しっかり大人になってから書きました笑

      いいとものメリークリトリス事件は知らなかったですが、すごいですね。そんなことがあったとは。小堺さんも災難でしたね笑

      著者
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