「あいつ、両親に捨てられたらしいよ」
ああ、転入生のことか。
僕はすぐに理解した。
転入生のれいという男は両親に捨てられ義理の親に育てられたらしい。
しかし、その家庭も貧しいようだ。
結局、彼は今、クラスで孤立している。
いつも一人。
「君、名前はたしか、れい、だよね」
彼は不安げな視線を僕によこした。
でもこくんと頷いた。
僕は彼と少し話をした。
それから毎日彼と話をした。
弱者に接することの喜びを知った。
彼は間違いなく弱者だ。
彼は僕に従うはずだ。
従うのではなかったのか。
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