テレ旭よ永遠なれ

亀頭院性

小説

965文字

この作品は本当に下らないので暇な時や、何かの待ち時間以外決して読まないで下さい。

昼下がりの気怠い時間帯におあつらえ向きのあの音楽が流れてきた。新宿、渋谷など繁華街を歩いていると時折耳にする、高収入求人バニラの音楽をエンドレスに流すとその曲のメロディーに聞こえてくると言われる。「今年は、初めての来日から40年。結婚なさって35年、芸歴30年という記念イヤーでございます。Dying・Carl(ダイぃング・カール)さん、実は今日奥様もご一緒においでいただきました。どうぞお入りください。」司会者がゲスト紹介を終えると、スタジオの拍手が二人を包み込んだ。

ー都内某所一週間前ー

下衆柳木黒子に依頼され俺はテレビ旭日プロデューサーを恫喝していた。「あんたにとっても悪い話じゃないだろうが。」「えぇ?、撮影中不慮の事故で撮影機材がDying  Carlのズボンに引っかかる。引っかかった勢いでスラックスが破れるか下に引きずり降ろされるかする。あんたは、俺の会社の役員になって役員報酬を年3000万もらう。俺の会社は非上場企業だ。情報公開を極限まで抑えられる。税務署以外あんたの役員報酬なんて分かりゃしねーよ。」「えぇ、まぁそうなんですが。僕はちょっと理解に苦しむんですがなぜそこまでしてゲストのズボンを破りたいのかなーって。〇〇さんに一体何の利益があるのかなーって。」「良いじゃねーか。もう局のお偉いさんとあんたと俺とでサシで話しただろうが。それに今までお前のお小遣いとか女とか色々世話してやっただろ。俺のことが信用できないってのか?」「分かりました。やります、やりますよ。」

ー照明を当て始める、番組放送まで残り30秒を切る。「30秒切りました」「20秒」 「10秒」 「5,4,3,2,1」。「あぁ、僕もテレ旭にはもう戻れないのか」様々な思いが胸に去来すると同時に彼の横をジブアームが倒れていく音がする。どうやらDying Carlは、一つ目のジブアームをよけ切ったようだ。だがこちらは、すでにお前のズボンを破るために倒すべきジブアームの数と角度を計算し切っている。案の定、一発目のジブアームが半分倒れ掛かったところで、別のジブアームが巧妙にDying Carlのスラックスを引きずり下ろした。スタジオは、悲鳴に包まれる。下衆柳黒子は「アソコのサイズもアメリカンなのね」とつぶやく。僕は、スタジオを後にした。

 

 

2018年9月23日公開

© 2018 亀頭院性

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