んでもって糞の臭いが充満する部屋で俺ちゃんは全裸でアームカットをくり返しちゃってた。胸部にナイフを突き立てて肉を裂くと、鋭い痛みと強烈な快感が全身に走っちゃう。走っちゃうんだ。堪らねぇよ、これが生きてるって実感をともなう奇跡的な何かだよ、って思っちゃう。思っちゃうんだ。んで俺は今日、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も皮膚を傷つけた。あれー俺ちゃんって何度、って言葉を何回脳内で用いたんだ、って八回だ八回。つまり俺ちゃんは今日八回アームカットをキメちゃった、って事になる。それは紛れもねぇ変えられねぇ事実で過去から現在、そして未来にまで続いてる不可思議な性質を宿した何かじゃん。もっともっともっともっともっともっともっともっとこの俺ちゃんに刺激をくれよ、くれよ、くれよ。最高だぜ、この痛みはよ、今日も俺の身体に紛れもねぇ生きてるっていう証を刻みつけちゃったよ。昨日も今日も明日も永遠に飽きるまで胸部を傷つけることを止めねぇんだもんね。全裸でアームカットキメると何でこんなに気持ちいいんだろう、心地良いんだろう、ぶっ飛ぶほどの快感を得られるんだろう、って疑問に答えてくれるやつは何処にもいねぇ。今つけたばっかの真新しい新鮮な傷口から赤黒い血液があふれ出て俺ちゃんの胸を汚しちゃう。汚しちゃうんだ。俺の頭んなかで浮かんでは消え、浮かんでは消えてく膨大な言葉の数々、それを大切にしてぇと思った、もし仮に俺自身がそれを忘れちゃったとしてもだ。って言うか俺ちゃんはさっきから誰に向かっておしゃべりこいちゃってるんだろうね、ってそりゃ俺ちゃんの内部に創り上げた創造主に向かって語りかけてんのさ、ってのは周知の事実。んで俺ちゃんは神の存在なんてこれっぽっちも信じてねぇ無神論者だし、もし仮に創造主がいたとしてもクソみてぇな性質をしてるだろうから、俺は自らの頭んなかに創造主を定めちゃったのよねん。そいつと会話するのが俺ちゃんの日課だけど、返事がねぇから話してる意味なんてねぇんじゃねぇの、って勘違いしちゃいそうになっちゃって、仮初の相手でも話を聞いてくれる奴いるってぇのは何だか良いもんだ、ってかマジで楽しいね。俺の血液を塗布した筆でキャンバスに絵を描いたら怪物じみた化け物じみた悪魔じみた絵が出来上がるんだろうか。真一文字に傷をつけたから次は縦に皮膚を裂こうとしてナイフの先端を肌に突きつけた。んで腕を引くと新たな傷が出来て、俺ちゃんは歓喜に涙しそうだけど、実際のとこ塩分を含んだ水滴なんて俺ちゃんの眼球からは一滴もこぼれ落ちねぇのさ。俺ちゃんの胸には薄っすらと残った治りかけの傷から、瘡蓋になったもん、そして今日刻みつけた新しいもんで構成された無数の傷跡がある。これがこの俺ちゃんが今まで生きて来たって証明の一つだろうけどさ、精神にはどれくらいの傷跡があるんだろうね、って考えて遊んじゃう時もあるのさ、ってんな事どうでも良いっつぅの。んでそれが一体何だってんだ? んな思考がこの俺ちゃんに有益なもんを与えてくれるってぇのか、ってそれすらもどうでも良い。セリーヌと名付けたこの愛しのナイフちゃんはこの俺に痛みと快楽を同時に与えてくれる大切な宝物じみたもんだ。俺ちゃんはアームカット中毒者なのさ、胸部を傷つける事でしか生きていけねぇのさ、ってほど悲観的でもねぇ気がするけど、実際のとこどうなんだろうね、ほんとんとこマジでマジで。まぁアームカットは楽しいからしばらくは俺の娯楽の一つとして選択肢に残しておこう、って思っちゃうわけ。んでもってアームカットに即飽きた俺ちゃんはナイフを放り投げる、とその凶器が壁に当たって床に落下しちゃった。ところでこの部屋が糞とションベンの混ざり合った臭気に満ちてんのは、この俺ちゃんが躾を覚える前の子犬みてぇに所構わず排泄と排尿キメちゃうからじゃん。場所をわきまえずにウンコとションベンキメる時の開放感と来たら、外でセックスするほどの快感を超えてる気がしちゃう。しちゃうんだ。野外プレイならした事あるけどね、って注釈状態症候群気味の僕ちゃんは語尾に音符マークとハートマークを合わせた記号を付けちゃった。付けちゃったんだ。んでもって俺ちゃんは強烈にタバコを吸いたくなって、ってか全身にニコチンを供給、ってか補充したくなって、足下にあったハイライトを拾い上げると箱から一本取りだして口に咥えてから先端にライターで火を灯しちゃった、ちゃんちゃんお仕舞い、にはならずどうやら俺ちゃんの人生はまだまだ続くらしい。堪らねぇよな、ラム酒を着香したハイライトの風味が醸しだす煙の美味さと来たら、マジでぶっ飛べるぜ。冷房の設定温度は十六度だから、真っ裸でいると少し肌寒いけど、それくらいの方が気持ちいい、ってか快感を覚えるくらいの室温になっちゃってる。なっちゃってるんだ。んでもって口から排煙をたれ流し濁流状態気味の僕ちゃんは白目を剥きながらタバコの味を噛みしめるみてぇにして味わってる最中だ。そうだろ、俺ちゃんの内部に宿る仮初の創造主よ、快感は本物だろ? 答えはねぇが、それは沈黙自体が解答ってやつになってる気がしちゃってならねぇ。群れたがる凡人は群れてろよゴミカス、俺ちゃんはな、俺ちゃんは孤高の一匹オオカミで、死ぬまで快感を摂取し続けて破滅へと向かうのさ、ってかもしかしたら俺ちゃんの人生っていう道のりは栄光に続いてんのかもしれねぇんだけどさ、実際のとこはどうなのかまだ分からねぇ、って感じ。クソが、ゴミカスが、ヘドロが、って思いながらタバコを吸って煙を吐く、って動作をくり返して、この強烈なイラ立ちを緩和させるためにニコチンを脳にまで行き渡らせようと躍起になってる最中だ。俺ちゃんは自分の内部に強烈な憎しみや怒りや悲しみや切なさを宿してんのか、そこんとこどうなのか、マジで分からねぇ分からねぇ分からねぇ分からねぇ、けどんなチリみてぇな思考どうでも良いから加速して宇宙の何処かに置き去りにしてまた地球に意識が降臨キメちゃう僕ちゃんの人生はさ、刺激に満ちてる気がしちゃうのさ。あーハイライトウメェ、マジで堪らねぇ、マジで最高だ、これが、これこそが生きてるって事だよ、って誰にともなく言いてぇけど、そういやおしゃべりする相手なら脳内に何時でもいるね、マジで愉快愉快。超刺激的な人生がこの俺ちゃんを待ち受けてる気がしてならねぇ。タバコときたらウイスキーだろ、って思っちゃってグレンリヴェット12年を手に取るとコルク製の蓋を開けてラッパ飲みぶっこいちゃった。ぶっこいちゃったんだ。シロップを連想させる甘さが口内に広がったあとで、アルコール度数四十パーセントの刺激が押しよせてきちゃう。そういやしばらくセックスにふけってねぇな、女を抱いてねぇな、オマンコにチンポコをぶちこんで前後運動ってもんをしてねぇな、って考えちゃう。俺にとっちゃ女は快楽の道具でしかねぇけど、大切にしてる奴らもいるんだ、ってんな事分かってるんだもんね。俺は俺ちゃんだけの価値観で女を見て、その上で快楽の道具でしかねぇと思っちゃってる。それならオナホールでも代替えが利くじゃん、って思っちゃうのさ。恋愛なんぞにうつつを抜かしてる奴らの気持ちなんてこれっぽっちも理解できねぇ俺ちゃんは精神的に不感症なのかな、残忍なのかな残酷なのかな冷酷なのかな、ってんな事本当の本当の本当の本当に心底からどうでも良いね。互いに見返りを求める恋人関係なんざクソみてぇなもんだね、って断言しちゃいたい。んでもってタバコを吸ってからウイスキーで煙を胃に流しこんじゃう。流しこんじゃうんだ。最高に美味な琥珀色の液体に煙が溶けて胃からニコチンとアルコールが吸収されるんだろうか、それとも液体は胃に、煙は肺にそれぞれ行きわたるんだろうか。リモコンを手に取り、エアコンに向けてボタンを押し、室温をさらに下げようとしちゃうけど、何度ボタンを押しても十六度から表示が変わらねぇ。クソ食らえだと思ってリモコンを背後に放り投げちゃった。アームカットの痛みとアルコールとニコチンの相乗効果でトリップしてる最中の僕ちゃんはあまりの快感に失禁しそうになる。理性ってやつがまだ機能してるらしい、んなもん捨て去って獣じみた俺ちゃんの本性を現してぇ。だから刺激、刺激、刺激、刺激、刺激、刺激、刺激、刺激がまだまだまだまだまだまだまだまだ足りてねぇのさ、不足しまくってるのさ。酒とタバコとアームカットだけじゃ俺はまだまだ満足しねぇらしい、俺の欲望は満たされねぇらしい。虚しさはねぇけど、何だろこの感情は、根本的な何かを見落としてるのかもしれねぇな、この俺ちゃんはさ。それを誤魔化すためにさらにアルコールとニコチンを摂取してぶっ飛んじゃう。ぶっ飛んじゃうんだ。酒とタバコはマジで最高に最高だけど、思考を駆使すればもっともっともっともっともっともっともっともっと楽しくて刺激的な遊びのアイディアが浮かんじゃうんじゃねぇの。そうだな、例えば全裸のまま外に出るとか、ってぇのは昔やったことあって、まぁ深夜だったから誰にも見られなかったけど、真昼間に自慢のデカチンを見せびらかしながら胸を張って歩くのも悪くはねぇと思うんだ。んでもって酒瓶に口をつけ内部の液体を飲んでノドをさらに潤した後でハイライトを吸って胸に抱いてる最中のこの不可思議な感情を緩和させる、ってか消失させようとしちゃう。しちゃうんだ。そろそろ本当に肌寒くなって来ちゃったから何かを着なくちゃならねぇ。けどけどでもでもけどけどでもでも今の俺ちゃんの感情にぴったりとフィットした衣服はなんだ、ってちょっとばかし思案しちゃう。しちゃうんだ。俺は何時も外出キメる時はTシャツにジーンズか、ジャージ姿の時が多いけど、今はそんな気分じゃねぇし、今のとこ外に出るつもりは微塵もねぇ、かと言ってジャケットは暑いし、何を着るかちょっとだけ迷うところだ。立ち上がって床に視線を走らせちゃうと、糞とションベンの間を縫うみてぇにして俺が脱ぎっぱなしにしてる衣服が乱雑に散らばってた。散らばってたんだ。そうだな、男物の服じゃなくて、今日は女装するのも良いかもしれねぇ、って素晴らしいアイディアを思いついちまった。女物の服は落ちてねぇかな、って思って漁ると、普段着しか見当たらなかった可哀想な僕ちゃん、じゃねぇ、俺は人生で一度も自分を可哀想だなんて思ったことはねぇ幸せ者、かもしれねぇな。そういや女物の服はクローゼットの中に仕舞ってあったな、って事実をここにきて思い出しちゃう俺ちゃんだけど、今日はセーラー服にするか、肩が露出してる服にするか、スカートを穿くかで絶賛思案中。そうだそうだ、あの服、ってか衣装って言ったほうが適切なアレにしよう、そうしよう、そう決めちゃったんだ。クローゼットまでの余りにも短い旅路を楽しむために俺はタバコを口に咥えて着火はせずにウイスキーを手に持ち前進キメちゃった。つっても狭い部屋だから目的地に着くのに対して時間は掛からなかった。俺はクローゼットの前に立つと、それを開けちゃった。開けちゃったんだ。室内に満ちた糞とションベンの臭気とは違う黴臭さがクローゼットの内部から漂ってきた気がしたけど、俺の嗅覚は麻痺してるから本当にこの中が黴臭いのかは不明だ。んでもって整然と吊るされた女物の服の中から目当てのもんを探す。これでもねぇし、これでもねぇ、ってやってる内に何かが指先に触れて俺の脳の神経にまで電流が走ったみてぇな感覚がした、のはただの錯覚だろうけど、目的のものは無事見つかった。それは魔法少女キューティーデビルっていうアニメの主人公であるデビルちゃんが魔物と戦う時に着る衣装だ。最高じゃねぇかよ、早く早く早く早く早く早く早く早くこれを着て俺ちゃんも変身キメちゃいたいよ、マジでさ。獲物に飛びかかるあの獰猛な蛇みてぇに、俺ちゃんは一歩後ずさりしてその衣装に飛びついた。上半身をクローゼットの中に突っこむっていう態勢の俺ちゃんは衣装の質感を肌で感じて楽しんで、ついでに他の服に囲まれてる幸福感も味わう。
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