風がそよぐ程度…..

水馬十駕 ―Mizuma_Zyukka─

エセー

1,682文字

初投稿といえばそうなんですが、そんなことよりも『破滅派』がどういった土壌か、一切分かりません。誰か助けて下さい。

こんにちは。水馬十駕と申します。

本当は小説を書くために息巻いてここに馳せ参じたのですが、私がこの『破滅派』というオンライン文芸誌を初めて知ったのが、今からわずか数時間前という、勢いのみでここへやってきたSNS初心者です。

 

ここにアカウントを作ってからやっと、破滅派に投稿されている作品たちを拝見したが、見れば見るほど素人がやって来る場所ではないのではないじゃないか。こんな不肖めが小説を投稿するスペースなどないと判断し、急いで、一旦エセーの場所へと逃げました。

元はと言えば小説なんて、本気で書こうとしたわけじゃないし。家の柱にもたれ不貞腐れる自分は真夏の熱さにやられた子供のようです。

でもひとまずは水馬がいた痕跡だけ残しておこうと、震える手を動かして書かせていただいている次第です。

 

こういう時は自己紹介をするべきでしょうか。

文章が好きです。文字の羅列がとても好き。書くことだけではなく読み込むことも好き。

小説はもちろん、詩、脚本、扇風機の取り扱い説明書、不貞をはたらいたアイドルの謝罪文、パンフレットの紹介文、隣に住んでいる人が送っているメール、河川敷に住んでるユユユおじいさんが肌身離さず持っている預言書、私の頭の中で夢の脚本を書いている男のインタビュー記事、CHANELの鞄に入れる予定のラブレター、老衰したお婆ちゃんが残したダイイングメッセージ。

この世の中にはたくさんの文章に満ちているので、飽きがこない。ずっと徒然とした空気の中で社会人が徘徊している真夏が続いているみたいだ。

と、こんな調子じゃ駄目でしょうか。

もっと、Twitterとかそういう発信が出来る場所で勉強してからくればよかったなぁ………。

 

 

 

 

そもそもSNSの利用経験があまり少ないのは、単純になくても困らないという理由だったが、いつかは表現したものを発信したいという思いがあった。ある日、床下の貯蔵庫の蓋を開けると、いつの間にかその思いが中一杯に膨らんでいた。

大きく大きく、いつ爆ぜるとも知れない膨れ上がった思いを目の当たりにして思わず飛び退いて尻もちをついて、背を向け逃げようと立ち上がったが、私はその足で自室に戻りパソコンを前にし凛とした騎士然とした表情で、『小説 投稿サイト』と検索していた。

暗い部屋で浮かび上がる液晶に映った有象無象の記号の羅列を飲み込もうとしたがあまり親和性を感じずにいくつか断念した。

しかしその中で辿り着いた『破滅派』は、風邪をひいたときに飲み込むゼリーみたいに、通過した感覚すら残さず、すっ、と喉を通って胃がある部分に留まった。そして私は熱に浮かされたような気分でアカウントを作成していた。

そこに何か運命や好奇心を感じたのではなくって名前が面白くて紹介文に惹かれただけで、なんの考えもなしにここまで漕ぎつけてしまって、もう後戻りできないというだけなので、このサイトにそんなに愛着があるわけではない。ただゼリーみたいと思っただけだ。

 

 

SNSをしなかったのは、何かを発信することによって、『類友呼び』の力でひねっくれた自覚のない性悪なおせっかいからのコメントしか来ないのではないかという疑惑の念からであったが、よく考えれば、発信するという事は見ず知らずの人に見せたい欲望があるからで批判のコメントなどはむしろ快楽の種子ではないか。本人にとって臭い物なのに反応してくれたのだ。

 

 

なにはともあれ、この作品を提供させてもらうありがたい場所であんまり好き勝手しないようにしよう。一番に優先すべき人は限りある時間を割いてこれを最後まで読もうとしてくれているあなただ。文章を読むなんてそう簡単に出来た事ではない、人間は焦点を合わせようとするだけでエネルギーがいるんだから。

 

 

と、まあこんなところでいいだろう緊張した。これが最後の投稿にならないように頑張るので名前だけ憶えてもらって、もし近くに寄ったら遊びに来てもらえると、ありがたいです。

2022年3月17日公開

© 2022 水馬十駕 ―Mizuma_Zyukka─

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