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濁った精子

北橋 勇輝

タグ: #純文学

小説

816文字

  「濁った精子」
             北橋 勇輝
 私と女は同じクラスだが一度も会話をしたことがなかった。女の髪は肩ぐらいまで伸びていて、色は黒く輝いている。
 その女が座る席を男子二人と女子一人が囲んで喋っている。
 女の席は私の席から斜め右上にあるので、会話を聞くことは簡単だった。会話の内容は映画の話で、女たちはよく笑っていた。
 教室に担任の教師が入って来ると、それまで騒いでいた同級生たちが叱られた赤ん坊のように黙って自分の席に着いた。
 私は教師の話を聞かずに、その女のスカートから出ている白い脚を垣間見た。白い肌から黒の靴下、そして学生靴。私は頭の中で女の足の匂いを嗅ぐ自分を想像した。気が付くと私は勃起していた。だが股間はブレザーで隠れて見えないので、誰かに見つかる心配はなかった。私は大きくなった性器を股間辺りに力を入れて起こした。そして倒れると、また起こす。その動きを私は何も考えず癖のように繰り返した。
 水がいっぱいに満たされたコップをこぼさないように私はその女の顔を忘れずに帰宅した。
 私は二階に上がって自分の部屋に入った。机の前に座るとズボンとパンツを下ろし、固くなった性器を優しく握って上下に動かす。私は動かしながら目を閉じて、頭の中でその女の顔を広げた。次に私は女を裸にした。そして以前に見たアダルトビデオで女優が言っていた台詞をその女が言っているように想像した。出来るかどうか不安だったが問題なく成功した。
 その台詞は女のもので、その声は女のものだった。
 私はそろそろ来ると思い、箱からティッシュを数枚、取り出し、ティッシュの上から放尿をするように射精した。
 まただ。今まで私はこの女を使って何回も自慰をしているが、また私に罪悪感が襲ってきた。女には悪いと毎回思うが、麻薬のように私はそれを止めることが出来ない。
 母が一階から、
「ご飯出来たよー」と大声を上げる。
 私はティッシュの上に出した精子を見た。その精子は女を使って出したからか、どぶのように濁っていた。

© 2013 北橋 勇輝 ( 2013年3月25日公開

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