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荒磯

哀しき森(第1話)

萩原蔵王

岩打つや荒磯、波立つや荒磯、霜降を破るや荒磯

タグ: #散文詩 #自由詩

283文字

一疋いつぴきの鷹が岩礁がんしゃうに留まつてゐた。

隣には鷹匠たかしゃうの男が立つてゐた

菅笠すげがさが風にあほられてゐた。

鷹は悠々と佇んでゐた。

さうして男のゆがけに留まった。

波は厳荘げんさうとしてゐた。

寸分のうれひさへ在つた。

岩礁に砕けて悲しさうにわらつてゐた。

鷹匠の男は荒磯から波濤はたう俯瞰ふかんしてゐた。

静かな朝であつた。それでゐて喧騒けんさうであつた。

ほんの少しの優美ゆふびさへ在つた。

鷹は悠々と佇んでゐた。

悲しみばかりが彼らへの救済すくゐであつた。

波は厳荘としてゐた。寸分の苦しみさへ在つた。

波は騒擾そうじゃうとしてゐた。

鷹は悠々と佇んでゐた。

波は蕭然しゃうぜんとしてゐた。

寸分の虚しさを混ぜた、充実した、しかしどこか焦燥とした波だつた。

一疋の鷹は岩礁に留まつた。

© 2026 萩原蔵王 ( 2026年1月21日公開

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