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さつまいも

ベジタブル・リズム(第10話)

荻原 凛斗

土の中で、静かに眠っていた宝物。
紫色の皮を脱げば、ほっくり、あたたかい黄金色
秋の陽だまりのような、甘くて優しい記憶を
詩にのせて。

314文字

10.さつまいも 土の中の残り火

 

夕焼けを そのまま固めたような

赤紫の 厚いコートをまとって

あなたは 深い土の底で

静かに 甘味を練り上げている

 

春に植えられた 一本の苗が

夏の光を 葉に受けて

地下の回廊へと 運び続けた

ひかりの貯金

 

掘り起こせば ずっしりと

大地の 確かな手応え

泥を払えば 現れるのは

秋を象徴する 誇り高い色

 

ゆっくりと 火にかけられ

熱い砂や 蒸気の中で

あなたの 頑なな心は

黄金色の 蜜へと変わる

 

パカリと 二つに割れば

立ち昇る 白く甘い湯気

それは 凍えた指先を温める

冬の入口よ 小さな灯火

 

ホクホクと あるいはねっとりと

頬張るたび 心がほどける

あなたは 厳しい季節を超えるための

土がくれた 最高のご褒美

© 2026 荻原 凛斗 ( 2026年1月25日公開

作品集『ベジタブル・リズム』第10話 (全13話)

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