メニュー

東京組曲

礼 室町

小説「暗殺の血」を投稿させていただいております。
かなりハードな小説なので息抜きに軽い詩を書いてみました。

645文字

東京はぼくの

第二のふるさと
ビルやネオンがわが山で
流れる車がわが川で
電信柱の林のなかの
小さな小さなアパートの
小さな小さな台所
ナベを振ってもお尻が
ごっつん
皿を洗えばしぶきが
スプラッシュ!
せまいんだよ うヘッ
キツイんだよ うおッ
つらいんだよ うわッ
マナ板のように叩かれて
へこんで
つぶれて
汚されて
同じことの繰り返し
それでも洗えばもとに
戻るんだ

それでも洗えばもとに
戻るんだ

 

●ぼく(室町 礼)
新宿歌舞伎町の入口アーケード下で
若い女性に声をかける。
「あの、もしよければお茶でも」
●若い女性
「いいわよ」
二人でマンモス喫茶『王城』に入る。
●ぼく(室町 礼)
「早速だけど、岸政権ってどう思います?
安保法案ってさ….最悪でしょ」
●若い女性
「あなたそんなに岸首相に興味があるのでしたら
あなたが総理大臣になったら?」
怒って出ていく。
●ぼく(室町 礼)の独白
東京へ集団就職して初めての休日の
ナンパのはなし。ほんとうは世間話でも
したかったのに中卒で孤児院育ちのぼくは
なにを語ればいいかわからなかった。
ウブすぎる。
バカすぎる。

 

東京が第二のふるさとで
浅草─渋谷というけれど
新宿ジュク池袋ブクロが大好きで
だれかと言葉を交わすわけでもないけれど
ざわざわ
ごちゃちゃ
ぞろそろと赤の他人のにぎわいが
第二の故郷の名物だから
さまよう森のように独りで歩く
ときどき切なくなるけれど
ウンメイを受け入れるのが
ぼくの仕事
ぼくの試練
ぼくの祈り
孤独も馴れれば清涼剤
ちらほらとふってきた
ガラス屑のような粉雪を

手で受けて
さあ
踊れよ 東京組曲

 

© 2025 礼 室町 ( 2025年11月18日公開

読み終えたらレビューしてください

みんなの評価

0.0点(0件の評価)

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

  0
  0
  0
  0
  0
ログインするとレビュー感想をつけられるようになります。 ログインする

著者

「東京組曲」をリストに追加

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 あなたのアンソロジーとして共有したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

"東京組曲"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る