今日、こんな話を聞いた。
Wikipediaを見たことのない人はもはや少数派なのだろうが、Wikipediaで検索をしてはいけない項目があることを知っている者もまた少ない。
✗✗✗✗という俳優(名前を失念してしまったのでここに記すことはできない)の項目のページにはられている肖像写真、それを見ると呪われる、そんな噂が数年前からささやかれている。そもそもその俳優は知名度があるとはいえず、わずかな映像作品のタイトルがならんでいるにすぎない。ただ、そのなかの一本である『✗✗✗』(やたらと長い題名なので覚え切れない)が幻のホラー映画としてその筋には知られていて、その関係で検索する者が運悪くそのポートレイトにたどりつき、そして呪われるという。
厄介なのは、いまではWikipediaがある種の権威をもってしまったことである。かりにWikipediaそのものを検索しなくとも、検索サイトの上位にはWikipediaへのリンクが上位に来るし、画像を検索すると例の画像が結果に表示される(ほどその俳優についての情報が少ない)始末である。
けれども、その噂が噂レベルでとどまっているのは、やはり俳優そのものの知名度の低さによるものであろう。
が、やがて噂は噂そのもので注目を集めることとなる。呪いのWikipediaはそれ自体が興味の対象となった。
おもしろいことに、積極的に呪いを見つけようとしても、決して呪いにたどりつくことはできなかった。ゆえに、まだ噂は噂のままである。
一方、意図せず呪いを受ける人の数はひろがっていった。呪いは感染する、というのは事実であるようだ。
その肖像は、すでにWikipediaだけにとどまってはいなかった。よくあることだが、あれやこれやのサイトに引用されたり、出処もあかさずに使用されたり、それを子引き孫引きしたりされたりした。
もうネット上の地雷と化していたのだが、地雷というものは踏みさえしなければ爆発しないものである。そして、爆発しないかぎり、地雷は数をますばかりなのだ。
その話を聞いて、Wikipediaを利用するのをやめると決めたのだが、インターネットを利用することはやめられそうにない。
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