読め、読まない

沢 吹

小説

150文字

寝転がる、鼓動、心臓がやや左にある。

 

天井にはクモの巣が垂れる。主のいない朽ちたクモの巣である。

 

西日が入り込む。許可をしていないのに入り込む。

 

時計が刻む。当たり前の顔をして1秒、1秒、1秒と刻む。

 

人間が呼吸する。皆、一様に覆い隠す。自分を自分で覆い隠す。

2012年4月30日公開

© 2012 沢 吹

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