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「輝き」

沢 吹

小説

264文字

僕は夢を見た。命令をされる夢。

 

「おい、おまえ!」

乱暴な料理長。

「はいっ、何でしょう!」

素直な僕。

「この魚の鱗の数を数えたまえ。剥がしながら数えたまえ。」

立派な髭をなでながら言う。眉間の皺はまるで轟渓谷である。

「ははぁ!」

素直な僕。

 

こうして僕はこの仕事に就いたのである。コツを掴んだのである。

数える時は目の前に鏡を置いて、剥がした鱗を舌の上にキレイに並べていく。

舌ベラが活きの良い魚のように蠢き始めたらそれが100枚なのだ。

天職である。かれこれ3年、もう少しで数え終わるし正職になれる筈である。

 

© 2012 沢 吹 ( 2012年4月22日公開

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