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情緒不安定な太陽

三沼薫

自己の再構築です。誰かのための作品になってるでしょうか。サクッと読める短編の欄に載るのが忍びないんで、一気に全文載せます。

小説

72,511文字

んでもって糞の臭いが充満する部屋で俺ちゃんは全裸でアームカットをくり返しちゃってた。胸部にナイフを突き立てて肉を裂くと、鋭い痛みと強烈な快感が全身に走っちゃう。走っちゃうんだ。堪らねぇよ、これが生きてるって実感をともなう奇跡的な何かだよ、って思っちゃう。思っちゃうんだ。んで俺は今日、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も皮膚を傷つけた。あれー俺ちゃんって何度、って言葉を何回脳内で用いたんだ、って八回だ八回。つまり俺ちゃんは今日八回アームカットをキメちゃった、って事になる。それは紛れもねぇ変えられねぇ事実で過去から現在、そして未来にまで続いてる不可思議な性質を宿した何かじゃん。もっともっともっともっともっともっともっともっとこの俺ちゃんに刺激をくれよ、くれよ、くれよ。最高だぜ、この痛みはよ、今日も俺の身体に紛れもねぇ生きてるっていう証を刻みつけちゃったよ。昨日も今日も明日も永遠に飽きるまで胸部を傷つけることを止めねぇんだもんね。全裸でアームカットキメると何でこんなに気持ちいいんだろう、心地良いんだろう、ぶっ飛ぶほどの快感を得られるんだろう、って疑問に答えてくれるやつは何処にもいねぇ。今つけたばっかの真新しい新鮮な傷口から赤黒い血液があふれ出て俺ちゃんの胸を汚しちゃう。汚しちゃうんだ。俺の頭んなかで浮かんでは消え、浮かんでは消えてく膨大な言葉の数々、それを大切にしてぇと思った、もし仮に俺自身がそれを忘れちゃったとしてもだ。って言うか俺ちゃんはさっきから誰に向かっておしゃべりこいちゃってるんだろうね、ってそりゃ俺ちゃんの内部に創り上げた創造主に向かって語りかけてんのさ、ってのは周知の事実。んで俺ちゃんは神の存在なんてこれっぽっちも信じてねぇ無神論者だし、もし仮に創造主がいたとしてもクソみてぇな性質をしてるだろうから、俺は自らの頭んなかに創造主を定めちゃったのよねん。そいつと会話するのが俺ちゃんの日課だけど、返事がねぇから話してる意味なんてねぇんじゃねぇの、って勘違いしちゃいそうになっちゃって、仮初の相手でも話を聞いてくれる奴いるってぇのは何だか良いもんだ、ってかマジで楽しいね。俺の血液を塗布した筆でキャンバスに絵を描いたら怪物じみた化け物じみた悪魔じみた絵が出来上がるんだろうか。真一文字に傷をつけたから次は縦に皮膚を裂こうとしてナイフの先端を肌に突きつけた。んで腕を引くと新たな傷が出来て、俺ちゃんは歓喜に涙しそうだけど、実際のとこ塩分を含んだ水滴なんて俺ちゃんの眼球からは一滴もこぼれ落ちねぇのさ。俺ちゃんの胸には薄っすらと残った治りかけの傷から、瘡蓋になったもん、そして今日刻みつけた新しいもんで構成された無数の傷跡がある。これがこの俺ちゃんが今まで生きて来たって証明の一つだろうけどさ、精神にはどれくらいの傷跡があるんだろうね、って考えて遊んじゃう時もあるのさ、ってんな事どうでも良いっつぅの。んでそれが一体何だってんだ? んな思考がこの俺ちゃんに有益なもんを与えてくれるってぇのか、ってそれすらもどうでも良い。セリーヌと名付けたこの愛しのナイフちゃんはこの俺に痛みと快楽を同時に与えてくれる大切な宝物じみたもんだ。俺ちゃんはアームカット中毒者なのさ、胸部を傷つける事でしか生きていけねぇのさ、ってほど悲観的でもねぇ気がするけど、実際のとこどうなんだろうね、ほんとんとこマジでマジで。まぁアームカットは楽しいからしばらくは俺の娯楽の一つとして選択肢に残しておこう、って思っちゃうわけ。んでもってアームカットに即飽きた俺ちゃんはナイフを放り投げる、とその凶器が壁に当たって床に落下しちゃった。ところでこの部屋が糞とションベンの混ざり合った臭気に満ちてんのは、この俺ちゃんが躾を覚える前の子犬みてぇに所構わず排泄と排尿キメちゃうからじゃん。場所をわきまえずにウンコとションベンキメる時の開放感と来たら、外でセックスするほどの快感を超えてる気がしちゃう。しちゃうんだ。野外プレイならした事あるけどね、って注釈状態症候群気味の僕ちゃんは語尾に音符マークとハートマークを合わせた記号を付けちゃった。付けちゃったんだ。んでもって俺ちゃんは強烈にタバコを吸いたくなって、ってか全身にニコチンを供給、ってか補充したくなって、足下にあったハイライトを拾い上げると箱から一本取りだして口に咥えてから先端にライターで火を灯しちゃった、ちゃんちゃんお仕舞い、にはならずどうやら俺ちゃんの人生はまだまだ続くらしい。堪らねぇよな、ラム酒を着香したハイライトの風味が醸しだす煙の美味さと来たら、マジでぶっ飛べるぜ。冷房の設定温度は十六度だから、真っ裸でいると少し肌寒いけど、それくらいの方が気持ちいい、ってか快感を覚えるくらいの室温になっちゃってる。なっちゃってるんだ。んでもって口から排煙をたれ流し濁流状態気味の僕ちゃんは白目を剥きながらタバコの味を噛みしめるみてぇにして味わってる最中だ。そうだろ、俺ちゃんの内部に宿る仮初の創造主よ、快感は本物だろ? 答えはねぇが、それは沈黙自体が解答ってやつになってる気がしちゃってならねぇ。群れたがる凡人は群れてろよゴミカス、俺ちゃんはな、俺ちゃんは孤高の一匹オオカミで、死ぬまで快感を摂取し続けて破滅へと向かうのさ、ってかもしかしたら俺ちゃんの人生っていう道のりは栄光に続いてんのかもしれねぇんだけどさ、実際のとこはどうなのかまだ分からねぇ、って感じ。クソが、ゴミカスが、ヘドロが、って思いながらタバコを吸って煙を吐く、って動作をくり返して、この強烈なイラ立ちを緩和させるためにニコチンを脳にまで行き渡らせようと躍起になってる最中だ。俺ちゃんは自分の内部に強烈な憎しみや怒りや悲しみや切なさを宿してんのか、そこんとこどうなのか、マジで分からねぇ分からねぇ分からねぇ分からねぇ、けどんなチリみてぇな思考どうでも良いから加速して宇宙の何処かに置き去りにしてまた地球に意識が降臨キメちゃう僕ちゃんの人生はさ、刺激に満ちてる気がしちゃうのさ。あーハイライトウメェ、マジで堪らねぇ、マジで最高だ、これが、これこそが生きてるって事だよ、って誰にともなく言いてぇけど、そういやおしゃべりする相手なら脳内に何時でもいるね、マジで愉快愉快。超刺激的な人生がこの俺ちゃんを待ち受けてる気がしてならねぇ。タバコときたらウイスキーだろ、って思っちゃってグレンリヴェット12年を手に取るとコルク製の蓋を開けてラッパ飲みぶっこいちゃった。ぶっこいちゃったんだ。シロップを連想させる甘さが口内に広がったあとで、アルコール度数四十パーセントの刺激が押しよせてきちゃう。そういやしばらくセックスにふけってねぇな、女を抱いてねぇな、オマンコにチンポコをぶちこんで前後運動ってもんをしてねぇな、って考えちゃう。俺にとっちゃ女は快楽の道具でしかねぇけど、大切にしてる奴らもいるんだ、ってんな事分かってるんだもんね。俺は俺ちゃんだけの価値観で女を見て、その上で快楽の道具でしかねぇと思っちゃってる。それならオナホールでも代替えが利くじゃん、って思っちゃうのさ。恋愛なんぞにうつつを抜かしてる奴らの気持ちなんてこれっぽっちも理解できねぇ俺ちゃんは精神的に不感症なのかな、残忍なのかな残酷なのかな冷酷なのかな、ってんな事本当の本当の本当の本当に心底からどうでも良いね。互いに見返りを求める恋人関係なんざクソみてぇなもんだね、って断言しちゃいたい。んでもってタバコを吸ってからウイスキーで煙を胃に流しこんじゃう。流しこんじゃうんだ。最高に美味な琥珀色の液体に煙が溶けて胃からニコチンとアルコールが吸収されるんだろうか、それとも液体は胃に、煙は肺にそれぞれ行きわたるんだろうか。リモコンを手に取り、エアコンに向けてボタンを押し、室温をさらに下げようとしちゃうけど、何度ボタンを押しても十六度から表示が変わらねぇ。クソ食らえだと思ってリモコンを背後に放り投げちゃった。アームカットの痛みとアルコールとニコチンの相乗効果でトリップしてる最中の僕ちゃんはあまりの快感に失禁しそうになる。理性ってやつがまだ機能してるらしい、んなもん捨て去って獣じみた俺ちゃんの本性を現してぇ。だから刺激、刺激、刺激、刺激、刺激、刺激、刺激、刺激がまだまだまだまだまだまだまだまだ足りてねぇのさ、不足しまくってるのさ。酒とタバコとアームカットだけじゃ俺はまだまだ満足しねぇらしい、俺の欲望は満たされねぇらしい。虚しさはねぇけど、何だろこの感情は、根本的な何かを見落としてるのかもしれねぇな、この俺ちゃんはさ。それを誤魔化すためにさらにアルコールとニコチンを摂取してぶっ飛んじゃう。ぶっ飛んじゃうんだ。酒とタバコはマジで最高に最高だけど、思考を駆使すればもっともっともっともっともっともっともっともっと楽しくて刺激的な遊びのアイディアが浮かんじゃうんじゃねぇの。そうだな、例えば全裸のまま外に出るとか、ってぇのは昔やったことあって、まぁ深夜だったから誰にも見られなかったけど、真昼間に自慢のデカチンを見せびらかしながら胸を張って歩くのも悪くはねぇと思うんだ。んでもって酒瓶に口をつけ内部の液体を飲んでノドをさらに潤した後でハイライトを吸って胸に抱いてる最中のこの不可思議な感情を緩和させる、ってか消失させようとしちゃう。しちゃうんだ。そろそろ本当に肌寒くなって来ちゃったから何かを着なくちゃならねぇ。けどけどでもでもけどけどでもでも今の俺ちゃんの感情にぴったりとフィットした衣服はなんだ、ってちょっとばかし思案しちゃう。しちゃうんだ。俺は何時も外出キメる時はTシャツにジーンズか、ジャージ姿の時が多いけど、今はそんな気分じゃねぇし、今のとこ外に出るつもりは微塵もねぇ、かと言ってジャケットは暑いし、何を着るかちょっとだけ迷うところだ。立ち上がって床に視線を走らせちゃうと、糞とションベンの間を縫うみてぇにして俺が脱ぎっぱなしにしてる衣服が乱雑に散らばってた。散らばってたんだ。そうだな、男物の服じゃなくて、今日は女装するのも良いかもしれねぇ、って素晴らしいアイディアを思いついちまった。女物の服は落ちてねぇかな、って思って漁ると、普段着しか見当たらなかった可哀想な僕ちゃん、じゃねぇ、俺は人生で一度も自分を可哀想だなんて思ったことはねぇ幸せ者、かもしれねぇな。そういや女物の服はクローゼットの中に仕舞ってあったな、って事実をここにきて思い出しちゃう俺ちゃんだけど、今日はセーラー服にするか、肩が露出してる服にするか、スカートを穿くかで絶賛思案中。そうだそうだ、あの服、ってか衣装って言ったほうが適切なアレにしよう、そうしよう、そう決めちゃったんだ。クローゼットまでの余りにも短い旅路を楽しむために俺はタバコを口に咥えて着火はせずにウイスキーを手に持ち前進キメちゃった。つっても狭い部屋だから目的地に着くのに対して時間は掛からなかった。俺はクローゼットの前に立つと、それを開けちゃった。開けちゃったんだ。室内に満ちた糞とションベンの臭気とは違う黴臭さがクローゼットの内部から漂ってきた気がしたけど、俺の嗅覚は麻痺してるから本当にこの中が黴臭いのかは不明だ。んでもって整然と吊るされた女物の服の中から目当てのもんを探す。これでもねぇし、これでもねぇ、ってやってる内に何かが指先に触れて俺の脳の神経にまで電流が走ったみてぇな感覚がした、のはただの錯覚だろうけど、目的のものは無事見つかった。それは魔法少女キューティーデビルっていうアニメの主人公であるデビルちゃんが魔物と戦う時に着る衣装だ。最高じゃねぇかよ、早く早く早く早く早く早く早く早くこれを着て俺ちゃんも変身キメちゃいたいよ、マジでさ。獲物に飛びかかるあの獰猛な蛇みてぇに、俺ちゃんは一歩後ずさりしてその衣装に飛びついた。上半身をクローゼットの中に突っこむっていう態勢の俺ちゃんは衣装の質感を肌で感じて楽しんで、ついでに他の服に囲まれてる幸福感も味わう。これからこれからこれからこれからこれからさぁ、この衣装を着て遊ぶのさ、って女装すんなら女物の下着も必要不可欠だね、って思っちゃった俺ちゃんは当然のようにブラジャーとパンティーもクローゼットの中から拝借こいちゃった。こいちゃったんだ。んでブラジャーを装着して、パンティーを穿き、いよいよキューティーデビルちゃんの衣装を着るときが来ちゃった。来ちゃったんだ。上着の右袖に手を通し、首を出し、その後で左袖にも手を通して、上着は無事装着キメた。次はスカートだから、無駄に官能的に腰を少しくねらせながら穿き、チャックを閉めて完了だ。これでこれでこれでこれでこれでこれでこれでこれでこれで完璧な俺ちゃんの一丁上がりってわけ。この姿で外に出たら、人間共はどんな反応を見せるんだろう、そんな想像すると脳から快感物質が発生して俺ちゃんは気持ちよくなっちゃうのよねん。今の自分のまっさらな姿を確認しなきゃ、って考えつつ室内をぼんやりと眺めてると、ある物を視線が捉えちゃった。捉えちゃったんだ。それは姿見で、あの鏡で自分の今の状態を確認したら最高に楽しいんじゃねぇの、って思っちゃう。ウイスキーを手に持ち、床にツバを吐くみてぇに咥えてたタバコを吐き出し、俺ちゃんは歩き出した。んで姿見の前に俺ちゃんが降臨、降臨、降臨キメた。イエスキリストが人間共の前に降臨するみてぇに、って表現したほうが適切かねぇ、聖書なんてどうでも良いけど、一つの娯楽として読んだことのある僕ちゃん、ではねぇ。確かテレビや漫画などで得た知識の一つだ。読書なんてクソ食らえだ、文学やクラシックや絵画みてぇなお芸術にはまったく興味がねぇのさ。俺が好きなのはアニメやロックや漫画などのエンターテイメントなんだ。鏡のなかの自分の姿を見て俺は感動に打ち震えちゃう。打ち震えちゃうんだ。鏡のなかでは三十八歳くらいのハゲでデブの中年オヤジが魔法少女キューティーデビルの衣装を着て立ってる。これは余りにも可憐で可愛らしくて花みてぇな性質を内包してる外見じゃねぇか、って思っちゃうわけ。俺はアゴに手を当ててしばらく思案した後で、名案を思いついちゃった。ついちゃったんだ。俺ちゃんはその場で一回転するとキューティーデビルちゃんのキメポーズと取っちゃった。きゃるん、って感じのこのポーズをした俺ちゃんはマジで可愛らしい女の中の男、男の中の女だ。んでもってタバコを咥えるとライターで火を点けて、鏡面に煙を吹きかける、けど鏡のなかにいる自分自身に排煙が届いてんのか、届いてねぇのかは分からねぇままで、俺ちゃんはんな事は重要な問題じゃねぇ、って思いこもうとしてウイスキーをラッパ飲みキメちゃった。キメちゃったんだ。キューティーデビルのコスプレをした中年の男がタバコとウイスキーを嗜んでる姿はどこか神々しさすら感じるけど、神なんてクソ食らえだね、そうだろ俺ちゃんの内部で創り上げた創造主よ、って脳内で問いかけると、無言の肯定が跳ね返ってきた。んでもってタバコを吸いながらウイスキーを地面に落とし、床と酒瓶の衝突音を聴覚で楽しんだ後で煙を吐きだしてハイライトの風味を十分に堪能こいちゃう。こいちゃうんだ。んでもって俺ちゃんは急激な尿意に襲われたから、スカートの中に両手を突っこんでパンティーを膝までずり下げて襞みてぇなもんの付いたスカートの隙間からチンポコを出して鏡面に照準を合わせて放尿キメちゃった。キメちゃったんだ。鏡のなかの俺ちゃんの顔から首、首から胸、胸から腹、腹から腰、腰から股間に至るまで俺ちゃんのションベンで汚しに汚しまくっちゃった。違う、これは汚染じゃなくて俺ちゃんのションベンは聖水だから浄化っていう神聖な儀式の一つだ、って今まさに俺ちゃんが決定こいちゃったね。鏡の中の俺ちゃんはニヤケ面さらしながら、こっちを見ちゃってる。見ちゃってるんだ。俺はチンポコを振って残尿を出しきると、肉感的な拳銃って奴をスカートの中に収めちゃった。俺ちゃんの銃口から発射された銃弾は他でもねぇ俺ちゃんを撃ち抜いたけど、外に出てそこらを歩いてる奴にションベン引っかけたらどれほどの快感が得られるんだろうか、なんて考えて遊んじゃう。遊んじゃうんだ。堪らねぇよ、俺ちゃんが考えるお遊戯って奴はさ、やっぱ発想が凡人とは一味も二味も違う、どころか地球から宇宙の果てくらいまでの距離感を覚えるのさ。んでもって俺ちゃんの膀胱ってどんだけションベンを溜められるんだよ、って思っちゃうほど俺の膀胱は宇宙並みに広大だ。あれー俺ちゃんの膀胱って一つの小宇宙で伸縮自在で自由ってやつを内包してるのぉー。んなこと知るかよゲロカスのチンカス野郎、って不意に憤りの念が湧いて床にツバを吐いちゃった。吐いちゃったんだ。んで俺ちゃんはまた楽しい楽しいお遊戯を思いついちゃったから即実行に移しちゃった。目を見開いたまま鏡面に向かって口付けかました。んでもってションベンを舐め取って、ベロに刺激が走るのを感じて遊んだ。うがいするみてぇにして味わうと、しょっぱい、っていう率直な感想を抱いたけど、厳密にはただしょっぱいだけじゃなくて、色々な味が複雑に絡み合ってて面白い風味がしやがる。ションベンを飲むのは初めてだけど、俺ちゃん昔の恋人やセフレ達に飲尿プレイさせた事がありまくるから、そいつらから味の感想は聞いてて、知識としてどんな味かは知ってたけど、実際に飲んでみるとまた違った感想を抱いちゃう、ってか冷静に冷酷に冷淡に分析して遊んでみたくなっちゃうのよねん。鏡の中を覗きこむと、ハゲデブ中年男が睨みつけるみてぇにしてこっちを見てる。愛しい愛しい俺ちゃんよ、お前はもっと楽しい事がしてぇか、刺激が欲しいか、快感を摂取してぇか、って声に出して問いかけると、イエスって答えが脳内で騒々しいラッパの音みてぇに響き渡った気がした気がした気がした。んでもって俺ちゃんは口直しにグレンリヴェットを飲んで、口の中をションベンの味からシロップの味に変えて数秒待ってからタバコを吸ってぶっ飛ぶほどの快感を得て生き続けるのは最高だな、って感想を抱いちゃった。抱いちゃったんだ。んでもって長期間このボロアパートに引きこもってたから流石に外の様子が気になってきた。窓の方に視線をやると遮光カーテンでお日様の光は遮られてちゃってた。俺は窓の方へ歩き出した、その時、下着がずり落ちゃうけど、足首に絡まったのもお構いなしに歩を進めちゃう。進めちゃうんだ。んでカーテンの前、厳密には窓の前まで来ると遮光カーテンに手を掛けた。もう本当に長い間この部屋にいるから今が冬か秋か春か夏かも分からねぇし、スマホも電源を落としたままこの部屋の何処かで爆睡こいちゃってるから現在の時間が昼か夜か朝か深夜かも分からねぇ。でもでもけどけどでもでもけどけど窓を開ければ済む話じゃん、一発で解決じゃん、ちゃんちゃんお仕舞いじゃん、万事OKって奴じゃん。だから俺は遮光カーテンを勢いよく開けちゃった。開けちゃったんだ。変だな……日差しが入ってこねぇで室内は照明の淡い光で照らされた状態のままだ。つまりは薄明るい。更にヤニが染みこんで黄ばんだレースのカーテンも開ける。すると窓の外は真っ暗だった、ってか不自然に真っ黒だ。よく見てみると、窓は黒く塗りつぶされてる。クソが、これじゃ外の世界が見えねぇじゃねぇかよ、マジでさ。一体誰がこんな事をやりやがったんだ、って思ったところで、思い出した。そういや昔俺ちゃんが遊びの一環でマジックで窓を塗りつぶしちゃったんだね。試しに黒く塗りつぶされた窓ガラスを垢の詰まった爪で引っ掻くと、爪の先に黒い欠片が付着しちゃった。しちゃったんだ。何だこれはクソ野郎、ってこりゃマジックが乾燥して欠片みてぇなもんになちゃった奴だね。俺はとつぜん強烈な怒りに駆られて机の前のイスを手に持つと全速力で走ってそれを窓に叩きつけちゃった。叩きつけちゃったんだ。甲高い音が室内に反響して、窓ガラスが粉々に割れちゃた。俺ちゃんはご機嫌に鼻歌を歌いながら窓の外を見た。久しぶりの外の世界とのご対面、ってやつだ。雲にまみれた空には太陽が宙吊りになっちゃってて、その眩しさに俺ちゃんは目を細めた後で目蓋を閉じ残光を可視しちゃった。しちゃったんだ。それから再び目を開けて、視線を下にズラすと植えこみの中に落下したイスが見えた。んで柵の向こう側でジジイがアホみたいに目を見開いて俺ちゃんのイスを見つめてる。そのまま心臓発作でも起こして死ねばよかったのに、って俺ちゃんに殺人の趣味はないのよねん。人殺しなんて退屈だ、世の中にあふれてる想像力のねぇ奴がやる馬鹿な真似だ。だから俺は今までもこれから先もずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと生き物を殺めることはねぇだろう、って予感がある、ってかこれは紛れもねぇ確信だ。例え自分が殺され掛けたとしてもやり返すつもりは毛頭ねぇ、と思っちゃうのは俺が人生を楽観視し過ぎてるからなのかなぁ、って思っちゃうわけ。んで、退屈だからもっと楽しい遊びを考えようと思った。んでもってそのまま床にぶっ倒れて天井を眺めちゃう。眺めちゃうんだ。仰向けの状態の俺はこのボロアパートの内臓に風穴が開いたな、って思っちゃった。思っちゃったんだ。まぁ何て言うかさ、穴を開けたのは他でもねぇ俺ちゃん自身なんだけどさ、愛する愛する我が家に銃弾をぶち込んで破壊したって事になっちゃうのかねぇ、これはさ。んで俺は仰向けの態勢のまま床を移動し、姿見が頭に当たるのを旋毛で確認すると、手探りでタバコを探し、口に咥えてライターで火を灯しちゃう。灯しちゃうんだ。んで一服かまし、排煙が天井に昇ってくのを見つめてこの世界の摂理について思考を巡らせちゃう。一体この世界の仕組みはどうなってるんだろうね、って考えても考えても考えても考えても一向に答えなんて出ねぇ。誰か明確な回答をこの俺ちゃんに提示してくれよ、例えば俺ちゃんの内部にいる悪魔じみた性質の創造主とかから答えを聞いてみてぇもんだぜ。広がり続ける俺ちゃんの思考、思考、思考の行きつく先はさ、一体何処なんだろうね、って思っちゃうのさ。垂らされた一筋の光、それを手中に収める事が出来れば、この俺ちゃんも華麗に変貌を遂げちゃうのかな、そう魔法少女キューティーデビルが普通の女子校生から魔法少女に変身しちゃうみてぇにさ。んでもってこれまた手探りでウイスキーを探り当てると、蓋を開けて飲んじゃった。飲んじゃったんだ。タバコと酒は抜群にウメェし、アームカットも快楽をくれるけど、俺ちゃんの人生には何か決定的に欠けてるもんがある気がしちゃう。それは多分人間共との交流、ってやつだろうなぁ、って薄々気づいてたけど認めたくなかったのかなぁ、はい認めた認めた認めました即認めました。でも一人でいる時間のほうが好きなんだよなぁ、俺みてぇにぶっ飛んだ奴と関わったらそりゃ楽しいと思うけど、俺みてぇな稀有な感性を保持してる人間ってかなり希少で絶滅危惧種に近いんじゃねぇだろうか。まぁこの地球は狭いようでいて広い感じ的な何かだから頭のネジが外れまくった人間も少なからずいるだろう。ところで俺ちゃんが仰向けで床を移動してる時の姿って傍から見たらゴキブリみてぇなんじゃねぇの、そうなんじゃねぇの、そうに違いねぇんじゃねぇの。まぁどうでも良いけど、ここらでまた新しい遊びを考えて実行に移すか、って時が来た気がしちゃうけど気のせいだろうか、とも思っちゃって、いやまったく思わなくて、いやいややっぱり思い直して、俺にとっての超刺激的な遊びって一体何なんだろう、って考えちゃうのさ。そうだな、例えば飛行機からパラシュート無しで飛び降りるとか、そしたら死んじまって快楽を摂取できねぇか、死んだら物質に還るだけだもんね。なら生きてる内になるべく刺激的で楽しい事をしまくりてぇじゃん。もっとぶっ飛んだ遊び、俺を満足させてくれる何か、最高の遊具、それらを探し求める旅に出るのも悪くはねぇと思っちゃった。だから俺は立ち上がった。んで久しぶりに外出キメるか、って発想が脳裏に浮かび上がるみてぇにして明滅しちゃった。しちゃったんだ。最高に楽しい遊びが俺ちゃんを待ち受けてんのか、もしくは絶望か、いや希望ってやつかもしれねぇ、希望になんてまったく興味ねぇけどさ。この俺ちゃんは根本的に希望って代物をまったく信用してねぇのさ、って誰もいねぇのに気取りながらタバコを吸ってウイスキーを飲む、ってこのボロアパートが俺ちゃんを見てるか、さっきの一撃で致命傷、ってかもう死んだかもしれねぇけどさ。クソだぜマジで、ヘドロが出そうだぜ、口からか肛門からか尿道からかは分からねぇけどさ。人間の本質をあぶり出すにはどうしたら良いんだろうね、凡人共の本性を表に出すにはどうすれば良いんだろうね、この俺ちゃんがそれをやってやる、ってほどの固い決意みてぇなもんはねぇけどさ、ってかどうでも良いからんな思考このボロアパートに捨てて早く外に出なくちゃならねぇと思っちゃった。捨てられた思考の末路か、んなもん考えても仕方ねぇし不毛だけどさ、俺ちゃんから思考を取りのぞいたらもっともっと獣じみた本質が現れるんじゃぇの、んな事どうでも良いけどさ、俺ちゃんは今日どうでも良いってセリフを何回脳内で使ったんだろう、でもでもでもでもでもでもでもでも本当に心底から快感以外のもんはどうでも良すぎる、って強く思っちゃうんだ。窓から生ぬるい風が吹きこんで来るから、今の季節が冬か夏じゃねぇって事だけは分かるけど、春か秋かのどっちかは知らねぇ。俺はもちろんこの衣装のまま、キューティーデビルに変身したまま外出するつもりだ。キューティーデビルは魔物をぶち殺す時にどでかいナイフをその小さな細腕に抱えて敵をぶった斬って血飛沫を上げる、ってのが毎回あるお馴染みのシーンで観てると興奮してくるけど、俺ちゃんにも何かを殺したい、っていう感情があるのかな、そんなハズ絶対にねぇのにさ、たまに自分が分からなくなる時があるのは俺ちゃんが平凡な人間だからなんだろうか、って勘違いしちゃいそうになっちゃって、でも俺ほどぶっ飛んだ生きかたを自ら選んで過ごしてる人間は他にいねぇんじゃねぇだろうか、って思い直しちゃう。思い直しちゃうんだ。とりあえず玄関まで行くと、靴とクロックスが並べられてるのが見て取れた。俺にしてはちゃんと整理して置いてあるけど、過去の俺は何を考えて靴を並べたんだろうね、って疑問に思っちゃう。時折快楽から外れた妙な行動を取るな、俺ちゃんは……。無意識のせいなんだろうか、でも俺は顕在意識を鮮明にさせるために快感を摂取してる、って自覚してもいる。とにかく靴は窮屈だからクロックスを履こうとして、けど止めて、結局裸足で行くことに決めちゃった。決めちゃったんだ。ドアノブに手を掛ける。今俺は久しぶりの外出をしようとしてるから胸が躍ってるよ、緊張はねぇ、恐怖もねぇ、不安もねぇ、ただ胸が高鳴ってるのを感じる。んでもって俺は玄関のドアを開けた。久方ぶりの外の世界とのご対面キメちゃった俺ちゃんは懐かしい、って感情は微塵もなくて、ふーんまったく変わってねぇな、って感想を抱いちゃった。抱いちゃったんだ。お日様の光が獰猛な性質を宿してるから、俺は目まいを覚えて少しだけ目をつぶって何か頭ん中に思い浮かべようとするけど、それが上手く出来ねぇでいる状態。でも取りあえず歩き出さなきゃ何も始まらねぇから、俺は一歩右足を踏み出した、ときたら次は左足で、つまり俺は歩くっていう一種の偉業を達成しちゃった、っていうかまだまだこれは途中経過だな、って自覚しちゃう。外の世界はまるで変わってなくて、安心感も懐かしさもねぇけど、心底からつまらねぇ、って思った。これならまだ部屋の中にいた方が楽しめるってもんだけど、まだ結論を付けるには早合点気味だ。俺は階段の方まで歩き出して、外に出るときポケットにタバコとライター、手にはウイスキーを持って出たことを忘れて、ねぇ! 酒にはタバコが必要不可欠だし、ついでに懐かしのアームカットちゃなんかもそこに加えれば文句なしだけど、外の世界ではどんな快感が俺を楽しませてくれるんだろう。階段まで歩いただけで息切れ、しねぇ。ただ精神的に疲れただけだ。ずっと家にいたから俺ちゃんの体力も精神力も減退してるのかもしれねぇな。だって何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時もアームカットしてるかタバコ吸ってるか酒飲んでるか寝てるかなんだもん、そりゃ体力も落ちるわな。んでもって階段を降りてくと、どでかい眼鏡を掛けたやけに地味な風貌をした黒髪の女とすれ違った。そいつは通り過ぎるとき俺ちゃんを避けるようにして階段の端を歩いてたから睨みつけてやったけど、その女は終始下を向いたままでこの俺ちゃんと目を合わせようとしなかった。この世界はこんなつまらねぇ人間共であふれ返ってるのかよ、退屈な世の中になったもんだねぇ、って知った気になっちまう。まだ人間と遭遇したのは一人目だ、結論を急ぐにはやや早計過ぎる。んで俺は立ちくらみがしたから壁に手をついて目をつぶり、身を預けてしばらく小休憩ぶっこいちゃった。ぶっこいちゃったんだ。下らねぇな、外の世界も、こんな状態になるなら外になんて出るんじゃなかったな、って弱気になる僕ちゃんじゃねぇ。立ちくらみが治まったらまた歩き出そうと思っちゃってる。ウイスキーでノドの渇きを潤して、立ちくらみが治まるまでしばらく待つ。んでさっきの女が背後から忍び寄って俺を突き飛ばそうとしてる映像を思い浮かべちゃった。したら何だかあの女に抱き着きたくなって、んで一瞬だけ本当に引き返してみよっかなぁ、って発想が浮かんじゃったけど、俺は立ちくらみが治まったら前進しなくちゃならねぇから、それは選択肢から除外しちゃった。しちゃったんだ。んでもってまもなく立ちくらみは治まって、俺はまた階段を降りれるようになっちゃった。んで階段を降りきってさらに歩く。すると本当に懐かしさを感じるまるで変わってねぇ駐輪場に到着こいちゃった。こいちゃったんだ。俺の自転車を探そうとして色々見てると鍵を差したままのタイヤがパンクして塗装が剥げてる自転車が見つかちゃった。これはこれは俺ちゃんの自転車に違いねぇな、だって俺ちゃんって自転車の修理なんてしないし普段から手入れもしねぇし鍵は差しっぱなんだもん。俺はそいつにまたがってグレンリヴェットを籠に放りこんで駐輪所から黄色い塗装が剥げて中の鉄骨が剥き出しの自転車で発進キメちゃった。鉄柵を飛び越えるほどの技術はねぇから普通に敷地の入り口から出ちゃった。出ちゃったんだ。でもでもけどけどでもでもけどけどチンポコから精液は出ねぇし、そもそも勃起してすらいねぇ。俺ちゃんの萎んだチンポコがこの銃口みてぇに硬くなる日は来るんだろうか、来ねぇんだろうか、こう御期待、ってアニメやドラマの次回予告を脳内で垂れ流す。外界の情報は俺にとっちゃすべてノイズだから遮断しなくちゃならねぇと思って引きこもってたけど、実際に外に出てみると結構楽しい、って凡人が抱くみてぇな感情は覚えねぇ。今のところただ無感情に行動してるだけだ。いや紛れもねぇ懐かしさは感じちゃったか。俺ちゃんみてぇな天才や鬼才が凡人みてぇな情感を抱くだなんて焼きが回ってんなぁ。不意に俺の目の前をカエルが跳ねながら通過しようとしてるのが視界に入っちゃった。入っちゃったんだ。俺は想像の中でこのボロ過ぎる愛車であの生き物をひき殺してたけど、実際には現実の俺ちゃんはカエルを避けて進んだ。女装した中年の男がスカートが風でめくれるのも気にせずに進む、進む、進む、進む、進んじゃう。進んじゃうんだ。ペダルにのせた足に力をこめて進む速度を上げる、上げる、上げる、上昇させる。心地いい風を全身で感じながらウイスキーをラッパ飲みして飲酒運転キメてぶっ飛ぶ俺ちゃんはやっぱ破滅型の人間なのか、快楽の正体は一体何なんだ? 快感は一体どの感情の表皮なんだ、それとも人間が生きてくうえで必要不可欠なもんなのか、なんて考えながら全力疾走して民家の塀にぶつかり自転車ごと盛大にすっ転んじゃう俺ちゃん。んでもってそこらに転がったウイスキーを手繰り寄せて、仰向けの状態で空を眺めながらグレンリヴェットを飲んじゃう。地上を照らしてるあの惑星を見ながら飲む酒はマジでウメェ、こりゃ室内にいたんじゃ味わえねぇ開放感だ。情緒不安定な太陽よ、お前の精神が安定するのは一体いつになるんだ。んでもってポケットの中をまさぐってハイライトとライターを取りだし新品のタバコのフィルムを剥がして銀色の紙も千切ってタバコを一本口に咥えてライターで火を灯し、青空の下で一服かます。空に向かって消えてく排煙はいつかあの惑星まで届くんだろうか、だなんて考えちゃう俺ちゃんは詩人の才能がありまくるんだろうか。んでもって俺ちゃんは太陽を見飽きると、身体をアクロバティックに一回転させてうつ伏せになった。けどけどでもでもアクロバティックってのは冗談だから普通に身体の向きをゆっくりと変えただけだ。んでほふく前進で進むっていうバカげた遊びをしてみたけど結構疲れるから直ぐに止めて小休憩キメた。息が上がってるよ、マジでさ、実際のとこ。しばらく休憩して息が整うまで待つあいだに妄想遊びをしようと思って、赤ん坊にタバコを吸わせる映像を思い浮かべたら、そいつはむせて泣き叫んでた、って姿が思い浮かんだ。思い浮かんだんだ。楽しげで悲しげで切なげで優しげな弾丸、そいつを俺のこめかみに撃ちこんで遊んでくれないか、って独り言をつぶやいて口の端を持ち上げちゃう。んで完全に呼吸の整った俺は腕と足を駆使して自分の身体とアスファルトのあいだに空間を作ると這い這いで進みだしちゃった。始めは緩慢な速度だった這い這いだけど、次第に速くなってく。両手両足を巧みに使って這い這いする俺ちゃんには、ほふく前進よりこっちで移動したほうが性に合ってんだろ、って思っちゃう。思っちゃうんだ。這い這いの速度はさらに上がる。これはもう高速這い這いだ。高速道路で移動してたとしても人間共は絶対に違和感を覚えねぇだろう。と、何処からか悲鳴が聞こえたから顔を上げると男女のカップルがこっちを見てた。女の方は驚きに目を見開いて、男の方は物珍しそうにこの俺ちゃんを無遠慮に観察してた。「見てんじゃねぇ、殺すぞ」俺が呪詛を吐くと、そいつらは目を逸らして逃げるようにこの場から去って行った。俺はスカートがめくれて尻が丸出しになってるのも構わずに這い這いをし続ける、けどさすがに疲れて来た。これは栄養補給をしなくちゃならねぇと思って、ポケットに入れておいたウイスキーを取りだし、蓋を開けて口をつけちゃった。つけちゃったんだ。俺ちゃんって一日中タバコ吸ってるかウイスキー飲んでるな、でもでもけどけどでもでもけどけど、どんなに飲んでもどれだけ吸っても悪酔いしねぇしヤニクラも起こさねぇ得意体質の僕ちゃん。そんな僕ちゃんはこの二つの嗜好品を人間よりも愛してて、ただの快楽の道具を越えた何か神秘的なもんかもしれねぇな、と思い始めてる、ってんなわけ無い無い。ただの嗜好品以上でも以下でもねぇ、俺が快感を得るための道具でしかねぇんだ、すべての物事はね。快楽を捨てた人間には一体何が残るんだろうか、って考えちゃう。坊さんとか悟りを開くってことをした奴らは何が楽しくて生きてんだ、人のためとか優しさだとか思いやりとかんなもんにはまったく興味がないぜ。俺ちゃんは俺ちゃんの人生の道のりを独裁主義者みてぇに歩んでいくだけだぜ、戦争には興味がねぇけどよ、ってか起きても起きなくても構わねぇ他人事の一つだ。でももし、もし現代の日本が戦場になったら一体僕ちゃんはどう過ごすんだろう。んでもって俺ちゃんはその場に寝っ転がってくの字の態勢になって指をしゃぶって目を閉じた。しばしのお休みタイムを堪能しようっていう腹積もりだ。次第に眠気が増して行き、俺は眠りの世界へと誘われた、気がしただけ気がしただけ気がしただけで、目が冴えて全然眠れねぇでやがる。太陽か、陽光が地上を炙ってるから、日光が俺を照らしてるからか、このままじゃ俺ちゃん天国へと召されちゃうよ、そんな場所があるなんて到底思えねぇけどさ。生きてぇと願ってねぇし、どっちかってぇと地獄のほうに興味のある僕ちゃん。天国ってのは退屈なのさ、って無神論者なのに知った気になっちまうよ、マジでさ。んでもってその場で寝っ転がりながら指をしゃぶって自分の世界に浸ってるとクラクションの音に思考が遮られちゃった。遮られちゃったんだ。俺はんなもん無視して指をしゃぶったまま目を開けねぇで、自分の内部に広がる世界ヘ戻ろうとしちゃった。俺の精神は外側に向かってんのか内側に広がってんのか、どっちか分かんねぇけど、きっとその両方な気がしちゃう。しちゃうんだ。ところでまたクラクションが鳴ったから、一体何の文句があるんだ、俺ちゃんは道の真ん中で指をしゃぶりながら眠ろうとしてるだけで無害なのに、一体何の用があるんだ、って思って目を開けちゃった。開けちゃったんだ。したら目の前にトラックの姿があって運転席のほうに視線をやるとトラックの運ちゃんがこっちを睨みつけるようにして見てる。けど気にしないでまた目をつぶって指をしゃぶっちゃう、と車のドアが開く音がした。「何してんだ、邪魔なんだよ!」「いま眠ろうとしてるからそっちこそ邪魔すんじゃねぇ」ケンカだ、きっとケンカが始まるんだ、けどけどんな事お構いなしの俺ちゃん。「ってかお前三沼か?」「何で俺の名前知ってんだよ」俺はここにきて初めてケンカを吹っかけてきてるタクシーの運転手に興味が湧いちゃった。湧いちゃったんだ。一体何者なんだこいつは、何で俺ちゃんの苗字を知ってやがんだ、って思ってそいつの顔をよく見てみた、したら即思い出した。「お前、ミザリーじゃね」「そうそう、マジで久しぶりだなぁ。元気にやってるみてぇだな」「ああ、マジでこの通り」俺が元気溌剌ってのは俺の今の状態を見りゃ一目瞭然だ、ってそのくれぇ分かるのよねん。「ミザリーは仕事中?」「見りゃ分かんだろ、忙しいんだよ」ミザリーはかつての女装仲間で、二人でつるんで色んなぶっ飛んだことをやりまくって楽しみまくって快楽を摂取しまくった仲だ。本当に何ヵ月ぶりだろう、いや年単位で会ってなかったかもしれねぇ。俺は素直にこの態勢のままアスファルトの端に移動してトラックの障害物を取り払ってやった。何て優しいんだろう俺ちゃんは、友達を大切にする心は失ってねぇんだ。恋愛感情は醜いもんだって知ってるけど友情は損得勘定抜きだから純粋だ。「また遊ぼうぜ」ミザリーはそう言い残すとトラックの運転席に戻って挨拶代わりにクラクションを鳴らしてこの場から去って行った。ミザリーは相変わらず髭面でガタイが良いけど、女装するとすっごくすっごくすっごくすっごくキュートなんだよね。俺ちゃんに勝るとも劣らねぇくらい女物の服が似合ってる、って記憶を思い出してる俺ちゃんは目を開けて街の景色をながめてる。高級なウイスキーでも再会の土産代わりにくれりゃ良かったのに、って思うけど、再会っていうには余りにも短い時間だったな、俺ちゃんにとってはほとんど一瞬の間と称しても良い気がしちゃう。また一緒に女装してぶっ飛んだことをしてみてぇもんだぜ、そういや仕事中はちゃんと仕事着を着てんだな、関心関心、ってかどっちかってぇと何だか残念な気分になっちまった。仕事中であろうがプライベートであろうが奥さんの前だろうが子供を送り迎えする時ですら女装してて欲しかったなぁ、っていう俺ちゃんの願望、願望、願望。まぁ俺も人のライフスタイルにとやかく口出しできる立場じゃねぇしね。だってさ、さっきまで部屋にいる時全裸だったし、ジャージで出歩くこともあるし。とりあえず今日タバコ何本吸ったけ、って計算してるところが貧乏だった頃の悪癖が抜け切ってねぇ証拠でもある。あの頃と変わってねぇようで変わってんのか、変わってるようで変わってねぇのか、幾ら考えても答えは出ねぇ。それはこれから証明すれば良い事だ、他でもねぇ俺ちゃん自身にね、って結論に行きついてそこで思考を放棄しちゃった。しちゃったんだ。クソみてぇな若い頃の人生はどうでも良いけど、ミザリーやその他の仲間たちと過ごした日々は最高に刺激的で楽しかったなぁ、って過去に思いをはせるのは歳取った証拠かねぇ。俺ちゃんはまだしばらくこのままの態勢でぼんやりとした時間を楽しむつもりだった。何も起きねぇ時間を楽しむだなんて、刺激とはかけ離れてる気がするけど、次の快感を摂取する前の静寂ってやつじゃね。さぁ次はどんな悦楽が俺を楽しませてくれるんだ、って面白いことが起きるのを待ってても時間を無駄にするだけだから積極的に思いついたアイディアを行動に移さなくちゃ楽しい事なんてやってこねぇのさ。そんなのボンクラの凡人のゴミカスの過ごし方だ、俺ちゃんは自らのアイディアで、自分の力で、自分の意思で行動に移して刺激を摂取しまくるのさ、それが俺の生き方なのさ、ってところでようやく立ち上がる僕ちゃん。どうやら高速這い這いで疲弊した身体が回復したらしいから、これでようやく次の遊びに移れるぞ。次は何をやって楽しもっかなぁ、這い這いで移動するのも女装して出歩くのもチャリを全速力で漕ぐのも楽しいけどこれはまだまだ俺ちゃんにとっては想定の範囲内ってやつだ。これから先はもっともっと俺の想像を超えるような刺激が待ち受けてるハズなんだ、そうに違いねぇんだ、そうじゃなきゃわざわざ外出した甲斐が無いってもんよ。んでもって歩いてると目の前を三輪車に乗ったガキが通過したから蹴り飛ばして退かし、三輪車にまたがる。泣き叫ぶガキを無視して出発進行キメようとしたら母親だとおぼしき厚化粧をした女がやってきて俺に文句を言って来た。「何するんですか! この子泣いちゃったじゃないですか、可哀想に」ウザくなったから立ちあがって女にスネ蹴り食らわしたらビンタで返して来たからガキの頭にゲンコツをお見舞しちゃった。しちゃったんだ。さらに泣き叫ぶガキと喚き散らす女、そんな奴ら無視して俺は三輪車にまたがり直した。んでもって再度出発進行してペダルを漕ぐ、俺は泥酔してて普通の自転車だと身体が前後左右に揺れちまうけどこれなら補助輪が付いてるら万事OKだ。「警察呼びますからね、そんな格好までして」「勝手にしろ」ガキを抱きかかえながら俺の後をついてくる女がウゼェから俺ちゃんはアスファルトにツバを吐いた。まぁでもこの衣装は似合ってるだろ、メスザル。とにかくマジでウルセェからガキを黙らせてほしい、首を絞めて失神させるって手段を使っても良いからガキの口から発生するやかましい騒音を止めて欲しい、殺さない程度にね。つーかこれ歩いた方が速いな、まぁ良いや、ユーモアだユーモア。人生にはさ、ユーモアっていうスパイスも必要不可欠じゃね、ってか確信めいたもんがありやがる。ユーモアが必要だ必要だって俺が創り上げた創造主が絶叫するみてぇに言ってる気がしちゃう。しちゃうんだ。女は俺を通り越して眼前に立ちはだかって三輪車の進路を邪魔してくる。「邪魔だ。ぶん殴るぞ」「やってみなさいよ、あんたみたいな変態怖くないんだから」虚勢だな、その証拠に目には涙が溜まってるし全身が震えちゃってる可哀想な子羊ちゃんだ。でもそれとこれとは話しは別、俺ちゃんの快楽への道のりを遮るものはブチのめすって決めてるんだもんね。だから俺は立ち上がって女の顔面に拳をめりこませた、って事はつまり殴ったってわけ。鼻血を噴き出しながらガキを放り投げるようにしてぶっ倒れる女、んで俺はショックで泣き叫ぶのを止めたガキが放物線を描いてこっちに飛んで来たから見事キャッチした後で三輪車に乗せてやった。「坊主、これは返すぜ」マヌケな顔で俺を見てるガキ、んでもって俺ちゃんはポケットの中にハイライトがまだある事実を確認して安堵し、タバコに火を点けちゃった。んで一服かましながら手足をバタつかせて痛みにもがいてる女の姿をじっくりと観賞こいちゃった。こいちゃったんだ。どんな映画よりも俺の人生のほうが遥かにリアリティがあってぶっ飛んでるのは当たり前だ、だってこりゃ紛れもねぇ現実の出来事なんだもんね。ウイスキーは何処かに置いてきちまったらしい、多分ミザリーと再会した場所に転がってるだろう、主人に置き去りにされた可哀想な可哀想なグレンリヴェットちゃん、いつか俺以外の誰かがお前を迎えに行くよ。俺はメスザルから財布をくすねて隣町の酒屋までウイスキーを買いに行こうっていうアイディアを思いついた。素晴らしい発想じゃねぇか、冴えてるね俺ちゃん。アスファルトに転がったブランド物のバッグを開けて中の長財布を取りだし一万円札を二枚抜き取る。しけてんなぁ、って思っちゃったけど、ブランド物のバッグと財布を使ってる割りには入ってる金が少なかったけど、けどけどけどけどけどけどけどけど、隣町で酒を買うにはこれで十分か。んで俺は尿意をもよおしてきたから電柱に向かってションベンをしてからアスファルトにションベンでハートマークを描いた。俺ちゃんには絵画の才能もあるのか、ハートマークの形はこれ以上ないくらい良い出来だ。ちなみにメスザルのバッグにもションベンをたっぷりぶっかけておくのを忘れねぇ。んでもって二万円をポケットにねじ込むとこいつらを放置して歩き出しちゃう。歩き出しちゃうんだ。今何時くらいだろう、結構あったかくなってきたな、この衣装で外に出たのは正解だった、過去の俺ちゃんナイスプレイ! 俺ちゃんはふと思い直して引き返すとまだもがいてる女のスカートに手を突っこみ下着を脱がすとそれを装着しようとしたけど上手いこと股間に収まらねぇ。とりああえず俺は女のオマンコにタバコを一本突っこんでやった、二万円のお代がわりだ。「釣りはいらねぇぜ」アニメのセリフを真似して指を二本突き立てると、颯爽とその場を去る俺ちゃん。ガキはもがき苦しんでる母親に興味を失ったのか笑顔で三輪車を漕いでる。オモチャに夢中なんだ、あの三輪車が壊れるまで使い倒すつもりなんだ、飽きるまで遊ぶ気なんだ。俺と一緒だね、クソガキ、お前も快感の片鱗をガキの頃に味わって大人になるにつれ変化してく快感を摂取するほどに成長するんだね、そう思うと我が子の成長を見てるみてぇで涙ぐんじまった。涙もろい俺ちゃんにはハンカチが必要だけど、普段から持ち歩いてねぇから腕で涙を拭った。下品な紫色の女の下着を穿いたままだから俺ちゃんは本物の女の子みてぇに内股で足をくねらせながら歩いちゃう。人間の雌の気持ちを少しだけ理解して立派な成長を遂げちゃったね俺ちゃん、素晴らしい成長っぷりだね俺ちゃん、他の奴には絶対に真似出来ねぇ生き方をしてるね俺ちゃん。俺ちゃん、俺ちゃん、俺ちゃん、俺ちゃん、俺ちゃん、俺ちゃん、俺ちゃん、俺ちゃん、俺ちゃんはさぁ、最高にマジで最上級にぶっ飛んでるだろ、俺ちゃんの内部にいる仮初の創造主よ。んでもってタバコを口に咥えてライターで先端に火を灯して一服かまし、日差しっていう自然の恩恵を享受しちゃう。しちゃうんだ。やっぱ青空の下で女装しながら吸うタバコは最高だ、内股だけど。そろそろ脱ぐかこんなもん、メスザルの分泌液で汚れてるから、こんなもん長時間穿いてたら性病が移っちまうよ。だから俺は下着を脱いで三輪車を漕いでるガキの頭に被せて遊んじゃった。遊んじゃったんだ。ガキは母親のパンティーを被ってるのもお構いなしに三輪車で遊んでるから、こいつは将来俺みてぇな大物になるに違いねぇな、って思っちゃったね。俺はその場から離れるために歩き出しちゃうけど、離れるために、って表現を使ったら何だか俺ちゃんが逃げてるみてぇだからしゃくに障る。じゃあ逃走かますか、って掛け声でも掛けたほうがルパンみてぇで楽しい気もする、けど直ぐにそんな考えどっかにぶっ飛んで行っちまって、俺ちゃんはタバコを吸いながら歩き出した。歩きタバコはダメなのよん、ここは喫煙禁止エリアなのかもしれねぇのよん、って創造主の指摘なんてお構いなしだ。そりゃ私的な指摘だ、公的な指摘ならまったく考慮に入れねぇが、どっちにしろ指摘なら詩的な指摘のほうが良い、って韻を踏みまくりで今日も絶好調な俺ちゃん。俺ちゃんはさ、部屋にいた時よりも何か精神が輝いてる気がしちゃう。気がしちゃうんだ。今俺の顔を鏡で見たらこれ以上ないくらい活き活きとしてる表情が確認できるだろう。丁度良いところに車が停まってたからサイドミラーを覗きこんで、自分が今どんな表情をしてるのか確認こいちゃう。こいちゃうんだ。やっぱりだ、やっぱり活力にあふれた溌剌とした表情をしてやがる、と思ったら窓がゆっくりと開いてサングラスを掛けたチンピラ風の男が話しかけてきた。「何してんスか」「いや、俺って美男子だから直ぐ自分の顔見たくなるんだよね」「そうなんスか、それより良い店知ってますよ」「興味ねぇな」なんだ店の宣伝か、恐らく着飾った女と酒を飲むああいう類の店だろう。俺は速攻でその場から去った。行ってみるのも面白いかもしれねぇけど、今はこの身体に酒を補給しねぇことには始まらねぇ。それもタリスカー12年をストレートで飲みてぇ気分だから、そういう店に俺の目的のウイスキーは置いてねぇだろう。あの潮を思わせる味、スモーキーって言葉がぴったりな燻製したみてぇな風味のタリスカーが猛烈に飲みたくて仕方がねぇ。そういやハイライトってラム酒が着香されてるけど、本物のラム酒って飲んだことねぇな、どんな味がするんだろうか、って想像しながら歩くのも楽しいけど、まだまだまだまだまだまだまだまだ刺激的な遊びからはかけ離れてる。何か今のは凡人の平凡な日常って感じの過ごし方だ。まぁ緩急が大事なのかもしれねぇけど、何もねぇ時間があるからこそ快感を摂取した時の気持ち良さが際立つのかもしれねぇけど、って考えながらさらに歩く。でも俺ちゃんって本物の女と見紛うほど女装が似合ってんのに何であのチンピラ声を掛けてきたんだろう、同性愛者だと思われたのかな、もしくはバイセクシャルだと勘違いキメちゃったのかなぁ。薬物をキメてそうな顔つきしてたけど、眼球はサングラスで隠れててよく観察しきれなかったな、奴のサングラスを奪って自分の顔に掛けたらよりイカシた俺ちゃんになったかもしれねぇのにな、って今更ながらにちょっぴり後悔、しねぇ! とりあえず駅まで歩くか、って決めて、ってかキメて、ってか脳内思考トリップぶっこいて歩く速度を上げちゃった。上げちゃったんだ。早歩きってわけでもねぇけど、遅々とした動作ってほどトロくもねぇ、その中間ってとこ。だけどだけどだけどだけど胸を張って肩を怒らせて堂々と歩いちゃう。最寄りの駅までもう少し、って感じでそれまでも栄養補給を手軽に行うために自販機でコラコーラゼロを買って飲んだり、缶コーヒーを買ってカフェインの効果で意識をシラフに近づけようと試みちゃう。試みちゃうんだ。けどけどでもでもけどけどでもでも酔いが冷める気配は全くねぇ、ポケットの中に収まったハイライトの箱の中にあるタバコは後半分くらいってとこだろうか、数えてねぇから厳密には何個あるか分からねぇんだけど、貧乏性の凡人みたくんな意地きたねぇ真似出来るかよ。んでまもなく駅について券売機で切符を買って改札口を抜けて電車を待つ、待つ、待つ、待っちゃう。待ってる間に自販機で炭酸水を買って飲みながら待つんだけど、タバコでも吸おうか、ここでタバコを吸うのも悪くねぇけどさ、駅のホームで喫煙禁止なのよねん、って脳みそではんな知識があるけど、俺は一本口に咥えて先端に火を灯してた。今日は平日なのか休日なのか分からねぇけど、俺以外に人間共の姿は少ねぇ。どうやら通勤ラッシュの時間帯ではねぇ、って事実が分かっちゃう。分かっちゃうんだ。駅の時計で現在の時刻ってやつを確認するのも一つの手だけど、俺ちゃんは戯れであえて時計を見なかった。もちろんスマホなんて気の利いたもんあのアパートの一室に置き去りにしてあるし、支払いも滞納してるだろうから、もうとっくに通信機能が止められてるんじゃねぇだろうか、ってな事を考えて遊んで、んでこれはつまらねぇ遊びかもしれねぇけど、俺ちゃんの人生って余りにも行き当たりばったり過ぎるって思っちゃう、ってか細い糸の上で綱渡りしてるみてぇな刺激があって最高に面白い。細い糸の上を綱渡りする、だなんて自分の人生をそう例えちゃうんなんて本当に凡人みてぇな発想だな、って考えると俺ちゃんは噴き出しちまった。たまには平凡な思考に意識が浸されるのも悪くはねぇわな。でもでもでもでもけどけどけどけどもっと過激で刺激的で激烈な人生のほうがぶっ飛べて白目剥けるほどの快感を得られるだろう、まさにそれがこの俺ちゃんの求めて止まない娯楽じみた何かあって、最高の遊びであって、最上級の喜びでもあるんだ。快感、快感、快感、快感、一体俺は快楽を摂取し続けた先に何を見出そうとしてるんだろうね、ってんな事知るかよウンコカスゴミゲロチリヘドロが! って脳内で呪詛を吐き散らしながら炭酸水を飲んでハイライトを堪能してる最中の俺ちゃんは電車がなかなかやって来ねぇイラ立ちから物に当たりたくなってた。実際に本当にマジでマジで自販機に蹴りを食らわせて、ストレスを解消させちゃった。したら自販機のスロットが回りだして七七七を叩きだした、幻覚が見えた気がした、ってかこりゃただの妄想妄想、んで大量のジュースがあふれるほど出てきたら面白いのに、って思っちゃった。タバコを一本吸いきった瞬間に丁度電車が来たから、俺はタバコを指で弾くとポケットに手を突っこんで車内に足を踏み入れちゃった。車内はそこはかとなく冷房が効いてる気がしちゃうから、今は秋なのかもしれねぇな、って推理できる。俺ちゃんの明晰な頭脳を駆使して導きだした答えは、今は秋では冬でも春でも夏でもなくて俺が引きこもってる間にこの日本に生まれ落ちた新たな季節だ、ってんなわけ無い無い。イスは満席だったから電車の中でドアに背中を預けてしばらく揺られてると前から小汚い格好をした浮浪者っぽい男が近づいてきた。俺は気にせずにスマホのカメラで俺ちゃんをこっそり撮影してる俗物のことを無視して居眠りしそうになっちゃった瞬間、股間をまさぐって来る感触によって意識が鮮明になった。浮浪者がニヤケ面晒しながら俺ちゃんのスカートの中に手を突っこんでチンポコをしごいてる。しごいてるんだ。「こいつ痴漢だ!」男の手を取って頭上に掲げさせる俺ちゃんを他の連中が物珍しそうに見る。でも俺ちゃんが怖いのか、ただ単に関わりたくねぇのか、見て見ぬフリをキメこんじゃってる。キメこんじゃってるんだ。見て見ぬフリは同罪だぞ、クソ凡人共め、って呪詛を吐くと一人のスーツを着た男が俺たちに近づいてきた。「次の駅で降りましょう」「そうだな、こいつをとっちめてやらなきゃ」、俺も紳士じみた風貌の男の冷静なセリフには同意見だった。その後で、俺は浮浪者の手を絶対に離すつもりはなくて、こいつの手首に赤い跡が残るくれぇしっかりと握ってた。小汚い男はまだ笑ってて、今の状況分かってんのかよ、お前は犯罪者なんだぞ、可憐な俺ちゃんに痴漢っていう卑劣な行為を働いたんだぞ、って内心でこいつを呪い殺そうとしながら睨みつけてた。車内にしばらく沈黙が満ち、次の駅で停まる、って放送がその膜みてぇなもんを破った。まもなく駅に停車し、俺と紳士と浮浪者は駅のホームに舞い降りちゃった。俺は天使で紳士が神、浮浪者は悪魔ってとこだろうか、だなんて心底からバカげたことを考えちゃう。考えちゃうんだ。「ここで待っててください」紳士がその場から離れて浮浪首と俺ちゃんだけが残されちゃう。残されちゃうんだ。「最近の政治はクソだよな。国民の事を考えてねぇ」「そうですね。でも自民党しか政治は出来ないんじゃないでしょうか」だなんて、互いに知ったかぶって話す。厳密には知ったかぶってんのは俺のほうで、目の前のこいつは本当に政治に詳しいのかもしれねぇけど、俺ちゃんはさっきこいつがチンポコを触ったことも忘れかけて二人の間には何だか打ち解けた空気が流れてた。「この人が痴漢にあったと言ってます」紳士が駅員を連れて戻って来て、俺を指さす。「一緒に来てください。話しを聞きますから」無事浮浪者は解放されて、何故か俺ちゃんの方が犯罪者扱いされちゃった。んでもって取り調べを受けた日からしばらく経って俺ちゃんはまた自分のボロアパートで過ごしちゃってた。過ごしちゃってたんだ。誤解は解けたけど何で俺ちゃんが変質者扱いされなくちゃならねぇんだ、痴漢はあの浮浪者の方じゃねぇか、っていまだに憤りの気持ちは消えてない可哀想な可哀想な可哀想な可哀想な可哀想な僕ちゃん、冤罪にも程がある。あのクソ駅員、誤解される格好をしてるあなたにも責任がある、って言いやがったからブチのめしてやろうと思ったけど止めた。逮捕されちゃうのは、逮捕されちゃうのはこの俺ちゃんでもちょっとばかし嫌なのよねん。だってさ、刑務所ん中じゃ大した快楽も得られねぇ、って容易に想像がつくからだ。俺は腹いせ、ってかストレス解消に女装した奴らばかりが集まるカフェ、っていうか飲み屋に行こうと密かに考えてたけど、俺ちゃんいつも一人だから隠し事をする相手すらいねぇ状態。こんな日常に嫌気は差さねぇけど、ウサ晴らしは誰にだって必要だ、それは天才の俺ちゃんにも必要不可欠なもんだ。スマホの支払いもして懐かしい連中に連絡が取れるようになった俺はミザリーにLINEでメッセージを送っちゃった。既読がなかなか付かねぇけど、やっぱ仕事が忙しいんだろう、って友達の内面や生活事情を推し量っちゃう情に厚い僕ちゃん。ミザリーは妻と子供にも女装してる事を打ち明けてるが、配偶者の前では絶対に女物の服は着ねぇ、って謎のこだわりを持ってる変わった野郎だ。でも理解のある妻と子供で良かったね、ミザリーちゃん。ようやく既読になった、飲み屋にはいかねぇけど、俺らみてぇな趣味の奴らが集まる個人的な飲み会があるからお前も来いよ、っていう返信の内容だった。もちろん俺ちゃんは即イエス、ってメッセージを送り返しちゃった。送り返しちゃったんだ。んでもってタリスカーを飲みながら、ラッキーストライクを吸ってる俺ちゃんだけど、このタバコ最近二十円値上がりしたな。新幹線からも喫煙席は排除されちまったし、全国の愛煙家は肩身が狭いんじゃねぇだろうか、って喫煙禁止エリアや駅のホームなどで所構わずタバコを吸ってる俺ちゃんは関係ねぇけどさ。ラッキーストライクは鉛筆の味がするなぁ、ガキのころ鉛筆がぶっ壊れるまで齧って遊んでたから味が似てるのが分かるんだよね。タリスカーの方は相変わらず、スモーキーで独特な甘味もあってウメェけど、新たな嗜好品ってねぇもんかな、って思っちゃう。女か、第三の嗜好品である女が今の俺ちゃんには欠けてる気がしちゃうけど、この歳にもなると十代や二十代の頃よりも明らかに性欲が減退してて、余り女を求めなくなる、つぅか普通のセックスに興味なくなるから、超ド級の変態プレイじゃなきゃ満足できなくなるんだよね。スカトロ、野外、SM、寝取り、全部試したけど他にもっともっともっともっともっともっともっと超刺激的で面白いプレイはねぇもんかねぇ。命を懸けた危険なプレイじゃなくてユーモアに満ちた思わず爆笑しちまうような変態プレイってねぇのか。まぁ命懸けの遊びもぶっ飛んでて面白いのかもしれねぇな、って思い直しちゃう。思い直しちゃうんだ。ってのは冗談で、例え自分の命だとしても自分自身を殺すのも殺人になるかもしれねぇから、命を懸けた遊びなんかには興味はねぇ。とりあえず俺ちゃんはまたまた外出キメなくちゃならねぇんだけどさ、一人で外を出歩くとき不安や恐怖心や緊張感を感じるようになって、それと闘わなくちゃならなくなったんだよね、ってのは紛れもねぇ冗談。俺ちゃんはキューティーデビルの衣装でも全裸でも街中を闊歩できる、って自信、って確信、ってか信念にみなぎってる。みなぎってんだ。最高のお遊戯、超刺激的な遊具、ぶっ飛んだ遊園地、などなど俺ちゃんのアイディアは留まることを知らねぇ。加速して、ぶっ飛んで、一周回って、帰還キメてトリップしろよ、しろよ、しろよ! 最近じゃアルコールやニコチンの刺激にも慣れてきちまった。俺ちゃんの感覚が鈍磨してるのかな、って勘違いしそうになっちゃって、俺ちゃんは精神的に不感症じゃなくて感覚が刃物みてぇにこれ以上ないくらい鋭利で鋭敏なんだ、って確信がある。また確信だ、俺は一日に何回確信って感情を胸に抱いちゃうんだろうね、んな事はゴミ箱に放り投げて収集車で運ばれて焼却炉で燃えちまえよ、クソがゲロがヘドロがチリが! あー退屈だ、最高にぶっ飛んだ楽しい事がしてぇ、って思考の堂々巡りってやつを体感してる最中の僕ちゃんはタバコを吸い切ると親指をしゃぶっちゃった。母性と父性に飢えてんのかな、家庭環境は控えめに言って劣悪な方だったけど、人格者の両親に育てられたらもっとマトモに成長して普通の大人になってたのかな、ってこの世界では俺ちゃんだけがマトモで他の奴は全員精神的に腐ってる、って他でもねぇ俺ちゃんが今まさに決定こいちゃったね、俺の親友たち以外は腐ってんだろ、マジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでさ。それとも俺ちゃんがまだ出会ってねぇだけで、ぶっ飛んだ楽しい刺激的な関係を築けるヤロウ共は地球上に存在すんのか。そんな奴らと出会った日にゃ俺ちゃん脳内で思考っていう探査機が宇宙旅行しちゃうだろうね、だから一緒に酒とタバコと女を摂取しながらイカレた事をしてみてぇのさ。んでもってタリスカーを飲んでラッキーストライクに火を点けて嗜好品を味わうけど、何か不可思議な違和感を覚えちゃう。覚えちゃうんだ。昔の俺はこの二つの嗜好品さえあれば生きていけると思ってたけど、精神的に成長した今の俺ちゃんには合わなくなってんのかな、って違う違う、今の気分に合ってねぇだけで嗜好品は裏切らねぇ、人間共と違ってね、って注釈を語尾に置いた後で加速して思考から離れようとするも引力、ってか強烈な重力によって引き戻される、ってか飲みこまれる、って表現した方がうってつけ状態の僕ちゃんにはやっぱグレンリヴェットとハイライトが合ってんなぁ、って強く思っちゃった。すべてがクソ食らえだから取りあえず睡眠こいちゃおっかなぁ、クソ食らえ、クソ食らえ、クソ食らえ、クソ食らえ、マジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでクソ食らえだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! んで俺ちゃんは眠りに眠って夢の世界に誘われちゃった。んで、空想の世界に舞い降りた俺の眼前には、糞とションベンにまみれた子供達がブランコやすべり台で遊んでいる。「んで、俺よぅ……なんで俺は恋愛なんて糞みたいな行為をするんだ?」人生にはさ、もっと楽しいことがありまくり、最高気分じゃねぇかよ。んで娯楽をもっと脳で摂取すれば、もっと意識が宇宙にぶっ飛ぶ。ウイスキー血管に打ち込んでもう半端じゃな気分だね。だからもうお前もキメなよな、ミザリーちゅわんと語尾に音符マークをつける。そう呼んでやると、プライドの高い男女であるミザリーは、鬼のような形相浮かべる。んでもって、僕の親友であるミザリーは、ナイフを振りかざし、その先端で俺の脳天を突き刺した。まぁ結局、なにが言いたいかってぇとさ、俺の頭からションベンが噴出。んでもって噴水の様に天井にまでその液体が届いた、気がしただけ。でもねぇな、それ現実、現実、紛れもない現実。「あたしはねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ! セックスに勝る快感は無いと思ってるのよぉ」それは一つの真実でもある。だが真実は映画やロックや酒などの娯楽にもあると俺は気づいちまった。だからつまり、美しいエンターテイメント的な何かに感情が触れれば、優しい気持ちになれちゃう。んでもって跳ねる、跳ねる、うねる。とりあえず俺の頭部からションベンが流れすぎて、ふらつく。でも本当のところ、生きて幸せになってやりたい。楽しげな気分でウイスキーを頭から浴びると、琥珀色の液体が俺の全身を濡らして、んでもって、最高にいい気分だ。そんな心で、俺は水鉄砲をポケットから取り出すと、ミザリーに向けて撃った。「女に暴力ふるう男って最低!」噴射された水はミザリーの頬をかすめて、壁にめり込み、砕け散った欠片の粒を俺の脳が吸い込んだ。もういい加減うるさいし、嬉しいし、楽しいし、ぶっ飛んでるし、何がなんだか分からない。俺はミザリーの顔面にとび蹴りを食らわそうとするが、奴はそれを軽く避けた。んで俺は壁に激突しちゃう。しちゃうんだ。んで、顔面ヒキガエルみたいに潰れて、純粋な痛みが全身を循環する。んで、さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! メリーゴーランドで楽しげに眼を回しながら、現実に意識を接近させる。でもこの痛みのおかげで俺は鮮明な現実を感じとれる。んで、もう真実に辿たどり着きたい気分に終止符を打つべきだ。楽しい生クリーム自殺の後で、アイスクリーム再生。んで復活して、どこからか現れた人間共の糞をおどり食い。「口のまわりが人間共のクッッッッセェェ糞でベトベトでマジうめぇよ」最高、もっと見せろ、見せろ、見せろ。「んで、お前の刺激もその程度かい?」凡人の一人が俺の脳天にナイフを突きたてた。頭から濁流のように血を垂れ流しながらも、俺はワイルドターキー八年を豪快にあおった。そして白目を剥むく、という快感に満ちた表情をした。琥珀色のウイスキーはマジで舌に最高の刺激が走る。んで車を無免許で運転する。「キミ、ねぇキミ。もっと赤ちゃん的な生き方をしたらどうかな?」そんな人間共の言葉を耳にした俺は、こいつらから善意を吸いとって、一瞬だけ優しい気持ちになれた。「あんた頭おかしいんじゃないの? 吐き気がしてくるわ」んでミザリー様お怒り中で、俺の眼球にナイフを突き立てようとしちゃうが見えない壁に阻はばまれて俺は無事、ってのは嘘で俺の眼球は抉りとられた。んで何とそれが気持ち良いので、意識がまた宇宙にぶっ飛ぶ。マスターベーションしたい。人間どもの前でオナニー見せたい衝動に身を任せながらチンポコを出した。「とりあえず、その小鳥のようなお口でさえずりながら、チンポちゃんをしゃぶっても良いんだぞ?」ミザリーはフェラが大嫌いと見せかけて、本当は好き過ぎるのにプライド邪魔している。だからイラマチオキメられると、気持ち良さのあまり嘔吐する様な男なんだ。こんな風に、ミザリーが俺の脳内で生きているという明確な事実を悟っちゃった。悟ちゃったんだ。そうかこれが悟りっていう境地的な性質の何かか、って勘違い、勘違い、勘違いキメちゃう。結局、ミザリーにフェラで一発抜いて貰って、奴の口内に精液を発射した。んで、俺はとりあえずミザリーのトラックに乗って街中暴走し始める。俺はそのまま回転寿司屋に突っ込んで、店員にとても丁寧な態度で注文するが、警察を呼ばれて逮捕された。「君は何であんな事をしたんだ? しかも無免許で運転なんかして!」警官はハエみたに愛らしい眼で俺を見つめてくる。そんな男の警官に、バイセクシャルの俺は勃起した。んで俺は幼女でも尻毛が生えてる老人でも、楽しみながら掘れる。性別の垣根など取っ払っちまった俺らはシックスナインの格好で抱き合い、そしてお互いのチンポをフェラし合った、んで射精の感覚が心地よくて眠ってしまった。その二時間後、取調室で警官が俺に銃を向けてきた。「とりあえずお前は死刑ね! 首吊って死ね。うざいから」優しげで、楽しげで、悪意に満ちた暴言を吐かれた俺は手錠を掛けられた。取り合えず夢の中ではあと百年は出所できないらしい。んで、それってつまり終身刑ってやつじゃね? それなら処刑されたほうが全然マシな気がする。んでもって今度は牢屋の中で、楽しくも愉快な仲間たちと遊びまくる。密かに手に入れた酒で大盛り上り、のすえ盛大にケンカした。って事は結局みんなアル中ってこと。んでウイスキーは天使で神で人間的な飲み物だ、天使や神なんて心底からどうでも良いけどね、って注意書きを添付中。まぁ何ていうか、ホモ野郎の奴らによって、尻の穴を掘られまくったね、染みだらけの肛門で毛も生え放題なのに、よくもまぁ勃起なんてするもんだ。んでもって、空想の中の刑務所は、なぜかパソコンもCDも車だってある。さらにソファーの感触が気持ち良くて眠りたいのに目が冴えて眠れない。キャプテンビーフハート聴いてみると、奴の濁声が俺の胸を心躍らせる。んで最高に美味なワイルドターキー八年を飲む。アルコールは俺の大事な嗜好品で、最後の救いだ。「んで俺って仮性包茎でチンカス溜まりに溜まってんだけど、しゃぶってくれる幼女っていねぇかな?」って囚人の一人に話しかける。ドラッグなんかより、血液にキメるならワイルドターキーとかグレンリヴェットといったウイスキーが良い。ここでの生活は当然のように酒が飲み放題で最高だ。「お前は死んだほうが世の中のためだよ、このゴミクズ」ホモ野郎にこんな言葉を吐かれた。まぁ暴言を吐かれるような時もあるか、とひとり納得しちゃう。次の日になると何故か釈放されていた。自由の身になった俺は、交番の前でチンコを晒してまた逮捕され、ふたたび刑務所ぶっ込まれる。以上は夢の中の話で、実際に俺はボロアパートの室内で眠りこけたままだから、つまりこれは明晰夢ってやつか? 誰よりも幸せなんだから、というのは欺瞞だから、美少女の声で歌を流して欲しい。「まぁつまり、俺は快感が好きって事なのかも知れねぇな。結局さ……」みんな友達でみんな愛していて、人類全員どんな奴だって好きなんだ、ってのはすべて綺麗ごとの虚構だ。心がほんの数秒だけ確かにあった気がするが、それは遠い昔の話でもう忘れた。俺のゴミみたいで最高に興奮する人生は、どうやらまだ続くらしい。脳の破片が飛散して循環するためのプロセスをすっ飛ばした。んで俺は自由の国のアリスのような草原に立ってた、これって現実だな。俺の楽しい楽しい最高の友人たちと喋りまくって酒飲みまくり。んで、みんな目が充血して思考が冴えわたる。ところで赤ん坊をつくるのが自然の摂理なのかは、はなはだ疑問だ。なぜなら地球は地獄で、ほんの僅かの天国的な割合だからだ。とにかく俺らはみんなウイスキーをキメて、へべれけに酔っ払う。そしてそのまま笑顔ばかりを浮かべるクソ人間どもの常識を覆してやりたい。悪魔と天使と神には地獄見せてやるから。でもみんな友達になりたい、というのはやっぱり偽善で嘘で欺瞞だ。「それでそれでそれで? これから皆でどこへ行くのさ、三沼くんぅぅぅぅん!」友達の一人であるミネチンがぺちゃくちゃと言葉をたれ流した。と思ったら他の友人が俺の顔を殴ってきた。だから俺ふっ飛んで、目の裏側で惑星が前後左右に揺れている。だけどやっぱ傷つけられても親友だから仕方ない。そんな愛と悪意のあるコミニケーションに、俺は嬉しくなっちまう。んでまた皆でウイスキーをグラスに注いで、乾杯した。「キミはねぇ三沼。とてもとても気持ち悪い美しい鼻毛が伸び放題で煌いてるよ、うんうん」したり顔でしきりに頷いている真吾の脳内には、綺麗なお花が咲いているに違いない。これでお話はお終い、というのは冗談で、まだまだお話を続けました、というのも嘘で、結局、話は続く。最後の友人である茂木が俺に向けて心情を吐きだす。「君の感情はとても鮮明にプリズムみたいに光を乱反射してるから、ムカつくかもしれない!」奴は俺に尻を向けると、クセェガスをぶちまけてきた。それは周囲に充満して、苦しくて幸せで、その中で、俺らみんな意識を失った。俺が目覚めるのはしばらく後の話だ。現実での生活なんて、どうでもよくなり、また夢の世界に戻る。んでもって俺達は、可愛らしいお花ちゃんが生え放題の草原に立っていた。花々は窄めたおちょぼ口から、流れるように綺麗な言葉を連射しまくっている。「こんにちわ、こんにちわ、こんにちわ。よくここに辿り着きましたね」「ここは快感を摂取しまくった人間だけが入れる場所なのです」「あなたで四百人目のお客さんですね」先の尖った針が付いてるこの注射器で、楽しげな快感を人間共に与えてやるつもりだ。「俺たちはお前を自殺に追い詰めるつもりだ。それが何よりの楽しみなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」人間共がショボくて下らねぇ、つまらねぇ、本質を欠いたセリフを吐きだす。そんな自分たちに酔ってやがる。その姿がとてもとても滑稽で、俺は酒がめちゃくちゃ進む。『あの手この手を使って、人間を悪に染めて、さらに死に追い込むクズ共の言葉や映像を信じるな! 聞くな! 見るな! 壊せ! 奪えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』俺が心の中で叫ぶと、人間共はいっせいに震えだして失禁しまくった。「ウンコ糞みてぇなゴミカス創造主とか言うミジンコ以下でゴキブリより遥かに下らねぇ存在のゲロは、マジで死んだほうが世のため人のためだ。だから俺らこの手で握り潰した後、もがき苦しめて存在を消そうとして、また心はそのままにして拷問にかけ続けて遊ぶ。遊ぼうぜ。いや、俺らを楽しませろぉぉぉぉおおお! 人間共がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」俺は咆哮を上げて、悪魔や天使や神共を震え上がらせた。「許して下さい! 許して下さい! お願いですからぁぁぁぁぁぁぁぁ! 許してくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」んで、人間代表を気取ってる俺が何も切れない概念的なオモチャのナイフを取りだす。それを他の平凡な人間共にチラつかせて、見せびらかして、遊ぶ。すると奴らゴキブリ未満みてぇな生き物は、恐怖のあまり失禁しながら涙をたれ流す。んで、俺ちゃん嬉しすぎてヤベェ! 人間共よ、快感は本物だろ? そこで俺は目が覚めて、ボロアパートの床で仰向けになってる状態でいる事実に気付いちゃった。気付いちゃった。ぶっ飛んでてイカレてて、最高の夢だったな。普段は夢も見ねぇ睡眠状態か、たまに見てもクソつまらねぇ凡人が見るみてぇな夢しか見ねぇのに、今日の夢は最高だったな、あんな感じの世界だったら毎日でも体感してみてぇもんだぜ。やっぱ俺ちゃんの空想の延長線上にあるものだったから支離滅裂だったけど、あれほど狂気に満ちた夢を味わえるなんて、涎が出てきそうになっちゃうのよねん。ところで俺ちゃんの部屋にはベッドや布団なんて気の利いた凡人が使うようなもんはなくていつも床に直に眠っちゃってる。眠っちゃってるんだ。冷房を効かして全裸で寝るときの気持ち良さときたら、目が覚めたら失禁してる時も多いけど、それすらも快感の一種だと思ってる俺ちゃんはションベンを拭きもせず部屋を片づけもせずに俺は俺ちゃんだけの人生を楽しんでる最中気味の生活習慣。夢ん中でワイルドターキー八年を飲んでたから久しぶりにアルコール度数五十パーセントのあの超刺激的な琥珀色の液体ってやつをストレートで飲みに飲みまくりたくなった。こりゃミザリーと一緒にぶっ飛んだことをやりながら、どっかで飲まねぇとやってられねぇ、って思っちゃうのさ。夢で体験した快楽よりももっともっともっともっともっともっともっともっとぶっ飛んだことをやりてぇのさ、ってかワイルドターキーなんて俺ちゃんの部屋にあったけ、って床に転がってる酒瓶や戸棚に乱雑に突っこまれるウイスキーの中から目当てのもんを探しちゃう。探しちゃうんだ。目当てのもんは見つかったけど中身は空だったから、厳密には発見した、って事にはならねぇか。瓶のデザインも好きなんだけど、俺が用があるのは中身の液体だ、って一体あの美しい液体は何処に行っちまったんだ、ってそりゃ過去の俺ちゃんの胃袋の中に消えちまったのさ、気取った言い方をすると消失こいちまったのさ、だから身体ん中を巡り巡ってションベンとして出て、今それは床にこびりついてんのさ。俺ちゃんのションベンの跡のどれかを舐めれば少しはワイルドターキーの味がするんだろうか、だなんてバカげたつまらねぇ発想に行きつくけど、これは本当にバカげてて、おまけにつまらねぇんだろうか、考え方によっては楽しげな発想なんじゃねぇだろうか。糞も食いてぇから、乾燥した糞を爪でこすって口に運ぶと、苦味と酸味の乱痴気騒ぎが口内に広がって、俺ちゃん舌を蠢かして、それを十分に味わった後で飲みこんだ。どうだ、糞やションベンを口に含んで飲みこむなんて、そこらの凡人にゃ到底真似できねぇだろう、俺は己の発想と思考と精神の素晴らしさに舌鼓を打っちゃった。打っちゃったんだ。でも実際のとこ、現実では自分の排泄物に舌鼓を打ったばかりだ。インターフォンが鳴って、スマホを確認するとミザリーが到着した、との事だった。鍵掛けてねぇから勝手に入れ、ってメッセージを送ったら即行でミザリーが俺ちゃんの部屋に登場キメちゃった。キメちゃったんだ。「ようこそ、俺の巣に」「ってかクセェな、何の臭いだ?」「糞とションベン」「本当に変わってねぇよなぁ、お前は」奴は女装してた、女子校生みてぇな服装をしてやがる、ってかまさに制服そのものだ。「そんな服どこで手に入れたんだ」「娘のやつだ」自分のガキの制服を着るオヤジってのもぶっ飛んでて面白い。カツラやウィッグは付けてねぇ、角刈りの頭をさらけ出しちゃってる、っていうかこいつも世間にすべてのさらけ出しちゃってるのかもしれねぇな。その姿がとっても似合ってたから何だか俺は可愛らししと思って妙な気分になっちゃった。尻を掘るか、こいつの肛門にチンポコをハメるか、でもまだまだそんなプレイは後のお楽しみにとっておきてぇ。ミザリーは買い物袋を手に下げて、俺の前に座った。「何でお前素っ裸なんだよ」って言ってるこいつの視線は俺のどでかい自慢のチンポコに定まってる。ミザリーもバイセクシャルだから、俺ちゃんの貞操も狙われるかもしれねぇな、って思ってちょっと笑っちまった。「何が可笑しいんだ?」不思議そうな目で俺を見てくるこいつに正直に言ってやった。「お前、俺のチンポコ狙ってるだろ」「狙ってねぇよ、ふざけんじゃねぇよ、俺には妻がいるんだぞ」何だ、下らねぇプライドが邪魔して本心で打ち明けてはくれねぇか。その証拠に否定のセリフは口にしたけど、その声質はどこか弱気だった。感情の機微に敏感な俺ちゃん、相手の声音で何を考えてるのか予想できゃう相手を思いやる心を持ってる俺ちゃん、ではねぇ気がしなくもねぇような感じ的。他人の事なんざ知ったこっちゃねぇが、ミザリーは友達、ってか親友だから、俺は友情を大切にする男だし、相手の気持ちを推し量りたい、って思うのも当然なのかねぇ。「とりあえず酒飲もうぜ、酒」「ああ、そうだな」この一体感みてぇな甘いような微妙な空気を誤魔化すみてぇに目の前の女子校生の格好をした男はそう言った。つぅか何か流れを断ち切るみてぇなしゃべり方だった。俺とハメ合うのがそんなに怖いかねぇ、と思ったけど、こいつはこいつなりの考えがあるのかもしれねぇな、って思って俺は酒を飲むことにした。ミザリーが床に広げたのはスーパーで買って来たとおぼしき惣菜とアサヒスーパードライのロング缶六本セットと俺のためかサントリーオールドと自分のための焼酎だった。俺は基本的にバーボンかスコッチを飲むのが主流だけど、ジャパニーズウイスキーもたまに飲む、ってか日本の酒も悪くねぇと思ってるウイスキーの銘柄に対しては寛容な優しい男の中の男。つまみは枝豆とナッツ類、それに唐揚げや裂きイカなどバラエティに富んでてこれならいい晩酌が出来そうだと思っちゃったけど今は真昼間だ。ミザリーが俺ん家に来たって事は今日は仕事が休みの休日だと思うけどトラックの運転手って休みが土日だと決まってるわけじゃねぇだろうから今日は平日なのかもしれねぇな、って曜日の感覚がとっくの昔に何処かにぶっ飛んじまった僕ちゃん。「グラスあるか?」「ああ、あるよ。ちょっと待ってろ」俺ちゃんは立ち上がって、台所に行こうとした瞬間のミザリーの色っぽい視線が俺ちゃんのチンポコを捉えてたことをこの先ずっと永遠に忘れねぇだろう、死んだら忘却しちゃうけどね。グラスを二つ用意して、氷を入れたけど、まず俺らは缶ビールで乾杯することにした。「乾杯、誕生日おめでとう」ってミザリーが言うから何だと思ったらただの悪ふざけだった。MOROHAの革命って曲の歌詞を歌っただけじゃん。「誕生日じゃねぇよ」「知ってるよ、ふざけただけだ」「ふざけてんのはこっちも知ってる」そんなやり取りをする俺ちゃん達だけど、俺の人生って終始ふざけてる気がする、って自覚が多少なくもねぇのよねん。俺ちゃん自身は真剣に生きてるつもりなんだけど、俺ちゃんのやるぶっ飛んだ遊びはユーモアに満ちてる。自分を客観視しなくてもそれくらい分かるのさ、俺ちゃんはどこまでも主観的だから客観なんてクソ食らえだと思いながら生活を送ってるのさ。とりあえずプルタブを開けて缶と缶をぶつけあって本当に乾杯しちゃう。しちゃうんだ。俺は一気飲みして、数秒でアサヒスーパードライのロング缶を空にしちゃった。それだけで少し酔いが回ってきた気がするのは気のせいだろうか。ミザリーは俺とは対照的に本物の女みてぇに何度も飲み口に口をつけて少しずつ少しずつ飲んじゃってるんだ。「嫁さんとはセックスしてんの?」「いきなり何だよ。まぁたまにね」何だかはぐらかすみてぇな返事だ、ってところで俺ちゃんは気づいちゃったね、こいつらの夜の事情って奴はきっとセックスレス状態なんだろう、んでミザリーは旺盛な性欲を持て余してんだろ。「たまに俺は渚ちゃんと遊んでるよ」「渚ちゃん、誰だそれ」「素人投稿動画の女」こんどは俺のマスターベーションライフを打ち明けて、奴の精神を揺さぶろうと思っちゃった。思っちゃったんだ。「へぇー、どんな内容」興味津々ってやつだ、こいつも素人好きだからやっぱり食いついて来やがった。「社長夫人の女が、昔の男に調教される内容」「マジか、最高じゃん」寝取られと寝取りが好きなこいつの性的嗜好にぴったりと合ってんだろう、渚ちゃんが乱れる動画を観たらこいつは間違いなく勃起するに違いねぇ。俺でもたまに性欲を覚える時があるけど、その時は渚ちゃんにお世話になってる。目にモザイクはかけられてるけど、性欲を持て余した全国のヤロウ共に向けてあんなに乱れた姿を惜しげもなく晒しだす女はこの世界に渚ちゃんだけだ、ってわけじゃねぇ、そういうコンテンツはこの地球上にあふれ返ってて、わざわざ異性と親密な関係になってセックスにまで至らなくても簡単に性欲は発散出来ちゃう。出来ちゃうんだ。愛だの恋だのぬくもりだの下らねぇんだよマジでさ、人間を含めた動物の本質は心のつながりじゃなくて快感の一言に尽きちゃうだろ。俺たちは視線を合わせて、頷き合うと、立ち上がり、抱き合ってキスしちゃった。もうこの衝動を抑えられねぇって感じの振舞いだけど、俺ちゃんはどっちでも良かったのさ。ただミザリーが俺に対して興奮してんのはその表情や視線で分かっちゃってたんだ、マジでさ。んでもって鳥同士の軽いキスみてなもんを何度も交わした後で、唇を強く押し付け合う。ミザリーの酒クセェ口臭が漂ってくるものの、俺ちゃんの口だってもう何年も歯を磨いてねぇからクセェだろう、日常的に糞を食ったりションベンを舐めたりしてるからこいつの口臭よりも遥かにクセェだろう。口臭に関しては俺ちゃんの勝ちだな、この男女よ、って俺ちゃんも人の事を言えた義理じゃねぇか、って考えつつミザリーが涙で潤んだ目で見てくるから俺は奴を抱きしめる手に力をこめて全身をこすり付けるようにしてディープキスを始めた。「ああ、堪らないわ。最高よ、こんなの、本当に本当にあたし……」女口調になるミザリーと終始無言でディープキスに興じる僕ちゃん。俺は一端ミザリーから身体を離し、足下にある缶ビールを口に含むと目の前の男か女か分からなくなってるだろう状態のミザリーの口の中に唾液混じりのビールを流しこんだ。んでもってこいつはもう我慢出来ねぇ、って感じでスカートを脱いでパンティーをずり下ろすと、勃起したチンポコをこの俺ちゃんのチンポコに擦りつけて来た。生理的反応で俺のチンポコも次第に大きくなってく。俺らはチンポコを擦りつけ合うのに夢中になっちまった。俺は妙な気分にはなっちゃいねぇんだけど、ミザリーの心臓が激しく鼓動してんのがこの俺ちゃんにまで伝わってきそうな勢いだ、ってのはただの幻想、幻想、幻想、幻想だ。俺に取っちゃこれもぶっ飛んだ遊びの一つで刺激の一つで快楽を得るための手段の一つにしか過ぎねぇ。俺ちゃんたちは手を取り合って踊りだしたり、踊ってる途中にチンポコを擦りつけ合ったりして遊びに遊びまくった。壁にぶつかるのも気にせず、姿見がぶっ倒れたのも気にせず、糞やションベンを踏んじまったのも気にせず踊りに踊りまくって、チンポコを擦りつけに擦りつけまくって遊びに遊びまくる。やがてミザリーが射精して、この遊びは終了となっちゃった。何だか残念な気分なっちゃう僕ちゃん、だってさ奴は満足したかもしれねぇけど、俺ちゃんの方は射精してねぇからだ。ミザリーの見てる前でパソコンを立ち上げてFANNZAっていうサイトに行くと購入した動画から渚ちゃんを選んで、チンポコをしごきだしちゃう僕ちゃん。んでもって相変わらずこの女は裏切らねぇな、って思いながら渚ちゃんが夫と電話しながら元彼にオマンコを弄られてるシーンで射精しちまった。ある日俺ちゃんは女装仲間の八重に誘われて、面白い遊びをしようと思ってるんだけどキミも参加しないか、ってありがたいありがたいありがたいありがたいメッセージを頂いちゃったから即OKしちゃった。楽しくて刺激的なお遊戯には積極的に参加キメちゃうのが俺ちゃんのスタンスってやつだ。八重は体育教師で、女子校の体育館の鍵を持ってるからその場所に自由に入れる、って聞いたことがある僕ちゃん。今回の楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しいぶっ飛んだ遊びってのも休日の体育館でやるらしい。吹奏楽部やバスケ部が使ってるんじゃねぇだろうか、って考えるけど、んなどうでも良い思考は置き去りキメちゃって俺はその遊びが一体どういうものなのか想像を巡らせちゃう。巡らせちゃうんだ。もしかしてもしかしてもしかしてもしかするとだよ、女子校生とヤレるのかもしれねぇな、バスケ部の健康的な身体つきや吹奏楽部の地味だけど魅力的な肢体を思い浮かべながらミザリーが残していったサントリーオールドをラッパ飲みぶっこくのは堪らなく楽しい。まぁ女子校生とヤッた経験はありまくりだから、それだけじゃクソつまらねぇと思っちゃうんだけどさ。新たな酒を俺ちゃんの部屋に補充しておいたし、色んな銘柄のタバコも買っておいたからしばらくは嗜好品には困らねぇけど、最近ぶっ飛んでイカレた事をし過ぎてんのか、部屋でニコチンとアルコールを摂取してるだけじゃ物足りなくなって来ちゃった。来ちゃったんだ。最高のこれまで誰も体験した事のねぇ刺激的な遊びをしてぇ、どんどん積極的にぶっ飛んだ遊びに参加してぇ俺ちゃんは好奇心のアンテナってやつが勃起したチンポコみてぇに頭の上に立ちまくって色んなメッセージを敏感に受信しまくってる。しまくってるんだ。今回はミザリーも参加キメるって言う話で、女装仲間同士のグループLINEで会議しちゃった。しちゃったんだ。どんな刺激的な事がまた俺ちゃんを待ち受けてるんだろうか、って想像してみると胸が躍ってくるから、これは恋だって勘違いしちゃいそうになって、恋なんてゴミカスで本当に心底から下らねぇもんには興味がねぇって結論に行きつきながらロングピースの箱から一本抜きだして口に咥えてライターで火を灯して白目剥きながら一服キメちゃった。キメちゃったんだ。サントリーオールドにロングピースってのはさ、相性はそこそこってとこだ。相性抜群な俺ちゃんとミザリーとの関係性には到底及ばねぇけど、まぁ悪くはねぇ、って感じだ。色んな銘柄を試してみるのも面白れぇな、ラッキーストライク、ロングピース、ショートホープ、アメリカンスピリット、などなど俺ちゃんの好みの味の銘柄はたくさんあるけど結局のところ俺ちゃんはハイライトに行きつくのさ、どんな銘柄を吸ってもハイライトに戻ってくんのさ。ウイスキーもそうだ、ワイルドターキー八年やサントリーオールド、ホワイホースなど色んな種類の酒を飲むけど結局はグレンリヴェットに帰ってくんのさ。そろそろミザリーが迎えに来る時間帯だ、ロングピースとライターをポケットに入れて、サントリーオールドを手に持って、キューティーデビルの衣装で外に出ちゃう、もちろん鍵は掛けねぇし窓ガラスは割れたままだけど、んな些細なことを気にする僕ちゃんじゃねぇ。駐輪場の前の花壇の縁に腰かけてミザリーがやってくるまで日光浴でもしながら嗜好品で時間を潰そうっていう腹積もりの俺ちゃん。どうやら窓ガラスをイスで割った時に、警察に通報はされてなかったらしく、家に居てもいまだに警官は訪ねてこねぇ。それは凡人だったらラッキーのハッピーなのかもしれねぇけどさ、俺ちゃんは拳銃を持つ警察官とぶっ飛んだ遊びに興じる場面を想像してみちゃう。銃撃しながらの掘り合いとか、命を懸けた遊びとか、ホモの警官の肛門に銃口をぶちこんで引き金を、引かねぇ。だって俺ちゃん凡人の中の凡人、生粋の小市民的平凡な人間がやる殺人なんてどうでも良い行為にはまったく興味がねぇからだ。スマホでザ・フーの四重人格を聴きながら酒を飲む、飲む、飲む、飲む、タバコを吸う、吸う、吸う、吸う。楽器破壊の先駆者であるフーの奏でる騒音じみた音楽はとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとっても耳心地がよくて俺ちゃんはアルコールとニコチンの相乗効果も相まって俺ちゃんの脳からドーパミンとセロトニンが大量放出されて心地いい時間を体感できちゃう。できちゃうんだ。と、以前にこのアパートの階段ですれ違った地味な女が自転車を押して帰ってくる姿が見えた。何か俺の方をやたらとチラ見してやがるから戯れで話しかけちゃった。「お前の人生ってさ、退屈じゃね」決めつけるのはどうかと思うけど、俺ちゃんの対極に位置する人生観を持ってるかもしれねぇその女にそう言わずにはいられなかった。すると女が鬼みてぇな形相を顔面にこしらえて、声を発してきた。「私は穏やかな人生を愛してるんです。あなたには分からないでしょうけど」その言葉を聞いて、俺は凡人ってのは本当に心底から下らねぇな、って再確認しちまった。まぁ再確認なんてしなくても最初から分かってた事だけど、去勢された犬や猫や性欲の枯れた老人じゃねぇんだから穏やかな人生なんて心の底では否定してぇに違いねぇ。だからアイツはこの俺ちゃんに図星を突かれて怒ったんだろう、心の何処かではぶっ飛んでイカレた人生を送りたいと思ってるんだろう、じゃなきゃ冷静に返事するか無視キメちゃうだろうからね。女は心なし肩を怒らせながら俺ちゃんの眼前を通り過ぎて、駐輪場に自転車を停めて買い物袋を持って消えて行った。凡人共はみんな俺の前から消えてく、それが虚しいとも思わねぇし悲しいとも思わねぇしましてや切ねぇとも思わねぇ、アイツらと俺とじゃ生きる世界そのものが違うんだ、そこにあるのは隔たりなんてもんじゃねぇ、もっと強固な断絶の類だ、見えない何かが俺ちゃんと凡人を別の世界に分けてるんだ。なんて考えてると、柵の前に大型のトラックが急停車した。そうとうなスピードを出してたんだろう、ブレーキ音がこの街中に響くくらいの大きさだった、って表現したらちょっぴりおおげさかねぇ。さよなら凡人共、俺はもう行くよ、お前らは安全圏で大好きな大好きな平凡だけど穏やかな生活ってやつを死ぬまで一生大切にしながら生きてろよ。俺はウイスキーをラッパ飲みしながらトラックへと向かっちゃった。向かっちゃったんだ。んでもってドアを開けて助手席、っていうか、ミザリーの隣に座ってシートベルトも掛けずにタバコに火を点ける。「シートベルトした方がいいぞ。エンジン改造してあって、これスゲェ速度出すから」「んなこた知らねぇ」「まぁお前がそれで良いなら遠慮なく運転するけどよ」超高速のスピードのトラックに乗るってのは最高の刺激なんだろうなぁー、って考えながらロングピースを吸う。バニラの風味を思わせる甘さが口内に広がり、俺の意識は昇天しちまいそうだ、魂だけ俺の身体から抜けそうだ、天国の存在も魂なんぞもまったく信じてねぇけど、脳内で戯れにそんな表現をもちいて遊んじゃった。遊んじゃったんだ。「お前も飲めよ」ウイスキーを渡そうとすると、ミザリーは躊躇った素振りを見せた。だけど本当は心の奥底ではアルコールを摂取した状態で飲酒運転キメてぇんだろうな、ってのが手に取るように分かっちゃう。「飲酒運転じゃねぇか、危ねぇよ」「んなもん些細な事だろ? ぶっ飛べるからマジでキメとけ」ミザリーは一瞬だけ迷った素振りを見せると、俺ちゃんの手からウイスキーを引ったくってラッパ飲みしちゃった。しちゃったんだ。「お前のせいで後に引けなくなっちまったじゃねぇかよ」「人のせいにすんなよ。本当は飲みたかったんだろ」「そうだけどさ……」これから飲酒運転することに大して興奮してんのか、こいつはメビウスリッチの箱から一本抜き取ると震える手で口に咥えてこれまた震える手でライターを使って先端に火を灯した、って一連の動作を俺はやけに冷静に観察しちゃってた。しちゃってたんだ。車に関しては免許を持ってねぇ俺はちゃんとした運転の仕方は知らねぇけど無免許でなら運転した事ある。その時は女装仲間の持ってるスポーツカーで、隣にそいつがいて丁寧にレクチャーしてたけど、俺ちゃんはんなもん無視してアクセルを強く踏みこんで最高速度でかっ飛ばした、って思い出を思い出してる最中だ。「じゃあ行くからな、マジで行くぞ」ミザリーはこの俺ちゃんに確認を求めるみてぇにして何度も行くぞ、って言葉をくり返すけど、一向にアクセルを踏む気配はねぇ、ただ震える手でハンドルを握ってるだけだ。剛毛の生えたこいつの両腕はすべてを、それこそ概念的な何かすらを破壊する力が宿ってる、って印象を受けるけど、どうやら恐怖心を感じてるらしい。「お前、飲酒運転すんの初めてか?」って聞くとしばらく沈黙した、けどけどそれが肯定の意になっちゃってる。なっちゃってるんだ。「そうだよ、悪いか? 俺も捕まるのは怖いんだよ。でももう良いや。行くぞ!」どうやら踏ん切りが付いたらしく、その眼差しにはもう迷いってもんがねぇ。ミザリーはタバコを咥えたままアクセルを力強く踏みこんだ、瞬間、俺ちゃんの身体がのけ反ってジェットコースターなんて比じゃないほどの命を揺らす遊びが始まった。いきなり超スピードで発進したトラックは車体を振動させながら走ってるんだろが、このスピードによる快感のために俺は果たしてトラックが揺れてんのか揺れてねぇのか判断が付かなかった。付かなかったんだ。最高の遊びの一つ、それは飲酒運転キメてる奴の横でタバコとウイスキーを嗜むってこと。猛スピードで俺の目に映る景色が華麗に姿を変えてっちゃう。変えてっちゃうんだ。ミザリーの方を見ると真剣な表情で運転に集中してるみてぇにも見える、ってかんな印象を受けちゃった。でもでもけどけどでもでもけどけど強烈な度数のアルコールが頭に回って判断力が鈍ってるハズだ、それともウイスキーは感覚を研ぎ澄ませてくれるんだろうか。飲酒運転キメた事のねぇ俺ちゃんには分からねぇけど、酒ってもんは人間をハッピーにしてくれるのよねん、基本的にはね、って俺ちゃんの脳内の注釈すらあのボロアパートに置き去りにする勢いで走る、走る、走る、走る、走るトラック。俺ちゃんは刺激的なドライブを楽しみながらサントリーオールドをラッパ飲みした後で、タバコに火を点けて白目剥きながら一服かましちゃった。時折塀にぶつかりながらも、ガードレールに車体を擦りつけながらも、小学生を轢きそうになりながらも、そのすべてを回避してトラックは進む、進む、進む、進む、進んじゃう。これは楽しい、ミザリーの運転ってこんなに刺激的だったんだ、って新たな発見をしちゃう僕ちゃん。ここで俺が横から手で目隠ししたら確実に事故るだろうけど、俺は親友の邪魔なんてするつもり毛頭ねぇし、まだ死なないで快感を味わっていてぇし、このドライブが永遠に続いて欲しいから大人しくニコチンとアルコールを摂取しながら窓から見える風景を眺めちゃってた。眺めちゃってたんだ。と、車道の側面に自転車に乗ってる警官の姿が見えたけど、そんな姿このスピードの前には即行で消失こいちゃう。こいちゃうんだ。ミザリーは気付いてなかったみてぇだけど、白バイじゃなくて良かったね、パトカーじゃなくて良かったね。「お前ナンバープレートは?」「隠してあるよ、ってかいま話し掛けんな」用意周到なミザリーちゃんに栄光あれ、って思ったところで、トラックは急激に動きを止めちゃった。止めちゃったんだ。車体の振動を感じながら、ってかこのトラックの心臓の鼓動を感じながら、目的地に着いたのかもしれねぇな、って考えてた。「着いたぞ。女子校だ」どうやらマジで到着キメちゃったらしいな、お疲れちゃんミザリー、お前の運転は素晴らしかったよ、まるで命そのものを弄んでるみてぇな感覚だったよ、命を弄ぶのなんざ慣れてるからその感覚にはとっくに飽きてるけどあの運転は超刺激的だったな。けどけどでもでも最高にぶっ飛べるドライブが思ったよりもあっけなく終わっちまって残念な気持ちになっちゃう僕ちゃん、けどけどこれから先は次の遊びが待ってるんだ、って思うとまた胸が躍ってきちゃう。躍ってきちゃうんだ。俺らはさっそうと女子校の門の前に降り立った。すると一人の女装した線の細い身体つきをした男が話しかけてきた。「ミザリーさんと、三沼さん。お久しぶりです」「よぉ、八重か」俺が手を上げて挨拶をすると、本当に久しぶりに再会した八重は俺の頬に口付けをしてきちゃった。してきちゃったんだ。俺ちゃんもこいつの頬にキスで返し、そのあと抱き合う。チンポコをまさぐって来たから俺ちゃんもこいつの股間をまさぐり返す。俺とこいつのいつもの挨拶だが、どうやら気の利いたこのやり取りをあっちも忘れてなかったらしい。ミザリーはというと、さっきの運転とは打って変わって、校舎の付近に位置する駐車場に静かにトラックを停めてる最中だ。んでもってミザリーが来るまで世間話をしよう、って気は毛頭ねぇから俺ちゃんは本題をいきなり切りだした。「んで、楽しい遊びってのは?」「それはまだ秘密ですよ。それはお楽しみに取っておきましょう。どっちにしろ体育館に行けば分かります」なるほど後のお楽しみってわけか。「生徒はいんの? 部活とかやってんじゃねぇの」「勿論いますよ」何だ、どうやら女子校生との乱交パーティーってところだろ、レイプでもすんのか、それとも八重が懐柔した生徒とヤルのか、どちらにせよ普通の乱交パーティーくらいじゃこの俺ちゃんは楽しめねぇ。「何か勘違いしてません?」俺の顔色から何を考えてんのか読み取ったらしい体育教師がそんなセリフを口にした。「三沼さんの性格は知ってます。僕が普通のセックスのためにわざわざこんな所まで足を運んで頂くと思いますか」なるほどセックスじゃねぇと来たか、それなら良いんだけどさ、女子校生とのセックスなんて飽きるまでヤッてる僕ちゃんはそれくらいじゃ満足できないんだもんね、ってのをどうやらこいつは理解してるらしい。理解のある友達を持って本当に幸せだね僕ちゃん、って思っちゃう俺はやっぱクソみてぇなママゴト恋愛よりも遥かに友情ってやつを大切に大切に大切に大切に大切にしてる情に厚い男なんだよん、語尾に音符マークを付けるとそれが高速で回転してる映像が頭ん中に浮かんじゃった。浮かんじゃったんだ。んでもってミザリーが無事駐車を終えて、こっちに向かって小走りでやって来る。きっと奴も俺みたいにこれから何が起きるかあれこれ想像して胸が躍ってんだろう、って容易に簡単に手に取るように分かっちゃう。一体何が俺ちゃん達を待ち受けてるんだろうか、俺は今んとこ乱交パーティーしか思い浮かばねぇけど、どうやら八重の言葉によるとそれは間違ってるから、きっともっとぶっ飛んだ遊びに違いねぇな。ミザリーと八重もさっき俺らがした挨拶を交わす、ってことは互いの頬に口づけしたってわけ。ミザリーも八重も俺もスカートの股間が盛り上がってて、三人揃って目で合図すると股間をくっつけ合った。まるで手を重ね合わせてこれから試合をする選手たちの様な神聖な儀式だ。さぁ、最高にぶっ飛んだ遊びをしようぜ、クソ野郎共。んでもって俺らは肩を並べながら体育館に向かう、途中で互いの股間を突いたり、胸を揉んだり、頬にキスしたり、っていう恋人同士がするような軽いスキンシップ、ってかこれから先に待ち受ける楽しい楽しい楽しい楽しい遊びの前戯って感じのコミュニケーションをしちゃう。しちゃうんだ。八重の服装は露出度の高いセクシーなもんで、ピンク色のカツラを被ってて、何かのアニメや漫画のキャラだと思うんだけど、俺の知らねぇアニメかな。俺らもセーラー服や女物の私服なんて極普通の女装じゃ物足りなくなってきてるから、必然的にそれぞれの推しキャラのコスプレをする時が多くなる。まぁミザリーはいつも娘の制服を着てるけどね、って誰かのために注釈を付けとくのを忘れない親切な僕ちゃんだけど、誰のために? そりゃ俺ちゃんの内部にいる俺が創造した創造主に対してさ、って気取りながらタバコを吸って前進キメちゃう。キメちゃうんだ。俺やミザリーと違って、八重は喫煙も飲酒もしねぇんだったか、と思ったらグローを取りだして穴にタバコを差し、ボタンを押すと、蒸された電子タバコを堪能し始める。何だタバコ吸うようになったのか、じゃあ酒は、って思ってウイスキーを勧めてみるけど、手で遮られる。「僕はワインか缶酎ハイしか飲まないんですよ。でもそのお気持ちだけで嬉しいです。」ワインと間酎ハイに電子タバコか……これはこれはこれはこれはこれはこれはこれはこれは何ともお上品な趣向をしてるじゃねぇか、でもその衣装は下品だぜ、けどけどとっても似合っててセクシーだぜ八重、って頭ん中でつぶやいた。ミザリーを見ると、タバコを吸いながら焼酎を飲んでる、って映像の情報が眼球にぶちこまれて、何だこいつどっちにしろ帰りは飲酒運転するつもりだったんじゃねぇか、って思っちゃうけど文句は言わねぇ大人な僕ちゃん。つーかもしかしたら教員室か教室で寝泊まりするつもりなんじゃねぇだろうか。「ミザリー、今日ここに泊まんの?」何気なく聞いてみる俺ちゃんは好奇心が旺盛なんだろうな、って自覚しちゃう。「そうそう、何か遊んだ後で三人で飲み会するとか」「俺聞いてねぇぞ、まぁどうでも良いけど」久しぶりの再会だから積もる話でもあるのかもしねぇな、って八重の心情を推し量っちゃう。推し量っちゃうんだ。「ご迷惑でしたか? それならタクシーを呼びますよ。もちろん代金はこちらが払います」「ああ、いいよいいよ。俺も飲み会は好きだから」「そうですか、それを聞けて安心しました」って会話に花を咲かせてる、ってカスみたいな表現を用いるくらいにどうでも良い会話をしてたらいつの間にか体育館の前にたどり着いちゃってた。着いちゃってたんだ。「部活やってますから、鍵は開いてます。遠慮せず入って下さい」八重が体育館のドアに向かって手を添えるみてぇにして差しだしちゃった。差しだしちゃったんだ。確かにドアを隔ててんのに体育館の内部で発する部活動をやってる女の掛け声や吹奏楽部の演奏だと思える音色がここまで響いてくる。ミザリーはドアを開けるかどうか迷ってるみてぇな挙動不審な素振りをしちゃってた。対照的に俺ちゃんは落ち着いたもんで、ミザリーは俺と違って優柔不断なのかもしれねぇな、って親友の人間性を推し量る。そういやアイツは躊躇いながらも結局は俺が勧めた通りの行動を取るから、いつも心の奥底では快楽を求めつづけてる哀れな生き物なのかもしれねぇな。誰が哀れだって、凡人共が、俺ちゃん達に同情なんかするんじゃねぇ、同情や共感みてぇなクソみてぇな感情を向けてくる奴がいたら俺ちゃんは即ブチのめしちまうだろう。同情なんていらねぇんだ、共感なんてクソ食らえなんだ、俺ちゃん達はただ最高に刺激的な快感を味わいながら生きていてぇだけなんだ、例えそれが破滅に向かう道のりだとしても構わねぇのさ。破滅? だから何、って感じで、ほんとんとこ俺らの道のりの果てにあんのは栄光だと思うんよ。んでもって俺ちゃんはドアを開けて体育館の中を直視する。バスケ部員が練習試合をしてるし、舞台のほうでは前方を見据えながら様々な楽器を持った吹奏楽の部員たちがつまらねぇ演奏をしてる、と思ったけどまだまだ粗削りだが、その若々しい年齢の人間だけが持つエネルギッシュな演奏をしてて俺の鼓膜を少しだけ楽しませてくれる。キャプテンビーフハートやキングクリムゾンやフーみてぇな技術も個性もねぇけど、何だか輝いてんな、って感想を抱いちゃうのは俺が歳を取った証拠だろうか、どうでも良いけどどの部員の顔も六十点くらいって感じの平凡な顔つきをしてる、けどけど大学生になれば化粧を覚えて外見は化けるだろう。ミザリーはドアから顔だけを出して恐る恐る中を覗いちゃってる。覗いちゃってるんだ。やっぱこいつは優柔不断で臆病者でおまけに繊細なんだ、って確信を抱いた。でもでも根っこの部分では強烈な刺激を求めつづけてる、ってとこは俺ちゃんと共通してて、結局ミザリーと八重と俺は同類なんじゃねぇのか、って思っちゃった。女装って趣味を除外してたとしても本質が一緒なんだ。常に精神が渇望してて、じょうろで快感を注ぎつづけなきゃ生きていけねぇ人間の一人なんだ、今俺たちは三人だけどね、って注釈を付けながら八重の方を見ると我が子を見守る、ってな眼差しで部員たちを見ながらしきりに頷いてた。「みんな可愛いでしょう。生徒たちは僕の子供みたいなものなんです」どうやら俺ちゃんの予想は当たりまくりの的中しまくりの正解しまくりだったらしい。俺ちゃんは普通の人間より鋭い洞察力を保持してる理性のあるケダモノなのか、そこんとこは知らねぇけど、相手が何を考えてんのか手に取るように分かる時が少なくねぇ。この俺ちゃんはきっと思いやりのある人間なのさ、他の誰よりも人間らしいのさ、って悟りの境地にまで達しちゃいそう。悟りか、その言葉は俺ちゃんにとって何の意味も持たねぇ代物じみたもんだけど、平和ってやつを愛する者共には大切なもんなのかねぇ。平和って言葉の対極にある俺ちゃんの人生、人生、人生、人生のブレーキはさ、とっくの昔に俺自身の意思によって破壊されちまってもう修復不可能なのさ。俺は幼少期から盗みを働いたり、年上年下同い年関係なく女とセックスキメたり、酒やタバコを嗜んでたけど三十八歳になった今もそれは変わってねぇのか、酒とタバコは変わってねぇけど、盗みやセックスは形を変えた快感になってこの俺ちゃんを楽しませてくれてる気がしちゃう。しちゃうんだ。「で、これから何すんの?」慈愛の眼差しを生徒たちに送ってる女装した変質者の八重に向けて話しかける。「ああ、そうだった。可愛い生徒たちの一生懸命な姿に当初の目的を忘れてた」手を叩き、我に返った、って意思を表側の世界に表現する八重。わざとらしいが、俺はこれから何が起きるか楽しみで仕方ねぇから黙ってた。「じらさないでくれよ」八重の横でミザリーがじれったそうな表情をして腰をくねらせてる。こいつはオカマなんだな、って再確認しちゃった。しちゃったんだ。けどでもけどでもけどけどけどけどでもでもでもでもオカマって言葉は今の時代じゃ死語だ。世間じゃジェンダーがどうのこうの言ってるけどそんな流行りどうでも良いから早く快楽を摂取してぶっ飛びてぇ、ってのが俺ちゃんの正直な気持ち。「こっちに来てください」八重が俺たちの前に出て、手招きキメてる。こいつ俺とミザリーを先導するっていう腹積もりだな、それにしてもやけに焦らすじゃねぇか。俺達は兵隊みてぇに行進してって、チラ見してくる部員の視線もお構いなしにある場所に誘導されちゃった。それは体育館のバスケコートやバレーコートと舞台を繋ぐための階段がある空間だ。そこには所狭しと大きなバケツが敷き詰められちゃってた。ピンク色の透明な液体がバケツの縁に届きそうなほどに注がれてる。何だこれ、一体どういう事だ、どういうつもりで八重はこんなつまらねぇもんを見せたんだ。「一体なんなのよ!」ミザリーが怒って女口調になってる、素が出てるぞ我が相棒よ。でもでもでもでもでもでもでもでも俺ちゃんにだって不満はある。こんなもんを見せられるためにわざわざこんな辺鄙な場所にまで足を運んだわけじゃないんだもんね。まぁ厳密にはトラックで移動したから足を運ぶって表現は間違ってるのかもしれねぇけど、ってんな些細な事を考えるくらい俺ちゃんは久方ぶりに混乱しそうになっちゃってた。俺ちゃんが憤怒するより先に混乱っていう感情を覚えるのは珍しいけど友達相手には甘いんだよねぇ、俺ちゃんって男は。「中身はローションです。これを生徒たちにぶちまけます」そ、そういう事だったのかぁ、って脳天に落雷が落ちて来たくれぇの衝撃を受けちゃう僕ちゃん。ミザリーの方を見ると笑顔になって全身を震わせちゃってた。震わせちゃってたんだ。やっぱ八重は裏切らねぇな、こいつは俺ちゃん達の参謀ってポジションにいる気がしちゃう。改めて内心で八重を再評価しちゃう僕ちゃん。俺らはそれぞれローションで満たされた大きなバケツを抱えて、八重は舞台、残った俺ちゃんたち二人はそれぞれコートに行っちゃう。行っちゃうんだ。んでもって一生懸命全力で練習してるバスケ部員たちに盛大にローションをぶちまけてやった。「何、何?」「一体何なの!」「止めて!」太腿と腕を露出させたユニフォームを着てるバスケ部員たちは床にまでぶちまけられたローションのせいでその場で滑ったりすっ転んだりしちゃってる。しちゃってるんだ。俺達は無様な女共をじっくりと観賞しながら指さし腹を抱えるほど爆笑しちまう。「ははっ。はははははははは!」もうぶっ飛んでるし最高だし笑っちまうしで何が何だか分からなかった。ミザリーは爆笑し過ぎて腹を抱えながら床を転げ回ってる。滑りながらも何とか転ぶのを免れてた女子生徒がミザリーに足を引っかけ盛大にすっ転ぶ。それを見て、またまた俺ちゃん爆笑、爆笑の暴風雨、暴風雨、暴風雨がこの体育館に満ちてる。舞台のほうで鳴ってた演奏がマヌケなものに変わってるのを聴覚が拾ったからそっちに目をやると八重からくり出されたローションの一撃を受けた吹奏楽の部員たちがぶっ倒れながらも口から楽器を離さねぇでマヌケな音を奏でてる最中だった。俺とミザリーは舞台の上を指さしまたまたまたまた爆笑し続けちゃう。し続けちゃうんだ。楽器を落としながらも、それにすがり付こうとローションの中でもがいてる部員もいて、その姿がさらに笑いを誘っちゃう。誘っちゃうんだ。俺はまだ通路にバケツがあった事を思い出して歩き出すけどローションのせいで上手く歩けねぇ、ってか俺まで転んじまった。んでもって俺の上に倒れ込むようにして胸のでかいバスケ部員がのしかかって来た。俺とそいつの身体のあいだで潰れるスライムの感触が心地いいから俺はその女子生徒にキスしちまった。もちろん頬じゃなくて唇にだ。んでついでに胸も揉んでやると悲鳴じゃなくてあえぎ声を発しやがった。ミザリーの方を見ると、奴は女子部員の股間に顔を埋めて頭を振って楽しんでる最中だった。きっと若々しくて甘酸っぱい少女だけにしか発せられねぇ汗の臭いを堪能してるんだろう。八重の奴はベルトをムチ代わりして吹奏楽の部員の演奏を教育してる最中だった。「もっと腹の底から声を出しなさい!」混沌としたこの空間の中でやっぱ快感って最高だなって思っちゃった。思っちゃったんだ。んでもって混沌とした乱痴気騒ぎが終わった名残を味わうために俺らは教室の床に寝袋を敷いてその上であぐらを掻いてちゃってた。「いやぁ最高でしたね、生徒たちのあの滑稽な姿」「ああ、マジで面白かったな。あんなに笑ったの久々だよ」「また何かするならあたしたちも呼んでよね」俺らの手にはそれぞれウイスキー、焼酎、ワインが握られてて、三者三様の嗜好品を味わってんだけど、タバコを吸ってんのはみんな同じだ。「お前、教師首になるんじゃねぇの」「それならそれで構いませんよ。まぁあの子たちには口止め料渡しといたから親にも黙ってるでしょう。学友には話すかもしれませんが」それならそれで良いんだけどさ、あんなに生徒たちを愛してる教師を見たのは八重が初めてだから、ちょっとだけ気を利かせて言葉を漏らしちまったけど、用意周到なのがこいつらしい。「ローションをぶちまける前に渡したの? それともあの後?」ミザリーが心配そうにそう尋ねる。「もちろん後ですよ。あらかじめ分かってたらつまらないでしょう」やっぱりこいつは俺ちゃん達のケダモノじみた人間性ってやつをちゃんと理解してやがる。そりゃそうだ、最初からあんな事態が起きるんなんて知ってたらあんなに取り乱さねぇだろう。演技じゃねぇ生徒たちの生々しい混乱、ってか混沌、それを俺らは十分に楽しんじゃった。楽しんじゃったんだ。俺は立ち上がって窓のほうに歩いてく、んでもってそれを開けて心地いい風を感じながら夜空を眺めてサントリーオールドを飲みながらロングピースを嗜む。んで窓の縁に腰かけるっていう気取った仕草をしながらなお夜空の方に視線を向けたままだ。祭りの後の静寂ってやつかねぇ、次の刺激は一体いつになる事やら。でも俺らがつるんでる限り、絶対に超楽しい刺激的な遊びは続いてくと思うんだ、だなんて夜空に散りばめられた星クズ、ってやつを眺めながらそう思っちゃった。「何してるんですか」八重が背後から声を掛けてくる、ミザリーも一緒に俺の傍まで来たらしい。「いや、薄汚い空だな、と思って……」「あなたらしい感想ですね」「何よ、綺麗な夜空じゃない」ロマンチスト、ってか乙女チックな性質も持ってるミザリーが俺の感想に反発してくる。反対意見ってやつだけど、殴る気も起きねぇほど今の俺ちゃんは満たされてる、ってかそもそも友達や親友に暴力をふりたくねぇ。ミザリーが手を握って来たから、俺ちゃんはウイスキーを取り落としちゃった。「何すんだよ、まぁ良いけど」「あんたのその大らかなところ好きよ」愛の告白だけど、俺は同性だとしても恋人を作る気はさらさらねぇ。でもでもけどけどでもでもけどけどミザリーの手を握り返しちゃった。「仲が良くて何よりです」八重は一人したり顔で頷いてやがる。「勘違いすんなよ、俺は恋人なんか作る気まったくねぇからな」俺の捨てゼリフみたいなもんを真に受けてねぇのか真に受けたのか俺ら三人の間にしばらく沈黙が流れちゃった。流れちゃったんだ。ここで本当に流れ星でも出現したらそれこそ少女漫画の世界だろうけど、相変わらず夜空は無口だ。ある日俺は女装した奴らが集まる飲み屋で酒を飲んでた。ショートホープを堪能しながらメーカーズマークをストレートで飲みに飲みまくってる最中だ。ショートホープはハチミツが着香してあって甘いタバコだしメーカーズマークも甘さを前面に押し出したウイスキーだ。甘いもんには苦いもんやしょっぱいもんが合うのかもしれねぇけど、今日の気分はこの二つだった、ってかこの居酒屋メーカーズマークかジョニ黒しか置いてなかったから、とりあえずメーカーズマークの方を注文してる、っていう状態だ。居酒屋の喧騒のなかで味わう酒とタバコも抜群にウメェ、普段自室っていう静かな空間で嗜好品を摂取してる時が多いからたまにはこういうのも悪くはねぇと思っちゃうのさ。例え女装した奴らとでも大勢でつるむのは御免だね、多くても三人だ三人、この前の女子校の時みてぇにミザリーと八重と俺で色んなぶっ飛んだ遊びをするってのが性に合ってんのさ、アイツらは同類なのさ。じゃあここで飲んでる奴らはどうなんだろう、ただの女装好きか同性愛者で私生活自体は地味で大人しくて女装だけを楽しんでるのかもしれねぇな。だなんて人間観察ってやつをしながら飲む酒は美味いし、ついでにタバコも最高だ。んでもってタバコを灰皿に押しつけて火を消すと次のタバコに火を灯す、って動作を延々と延々と延々と延々とくり返しちゃう。くり返しちゃうんだ。大勢の女装した人間のなかで一人黙々とアルコールとニコチンを摂取してるこの俺ちゃんは異質の異端の異常なのかもしれねぇな、だなんて自覚して遊んでみちゃう。みちゃうんだ。俺に話し掛けてくる奴はいねぇ、店員に酒を注文する時に軽く話した程度だ。その衣装似合ってますね、って素敵な笑顔で言われたけど、営業スマイルってやつだろう、誰にでも言ってるに違いねぇ、って見当を付けちゃう。まぁこの衣装が似合ってるってのは他人に言われなくたって分かってるんだけどねん。俺ちゃんってやつはこの地球上で一番可愛らしい生き物だ、って自負がある。あるんだ。俺ほどキュートな人間がもし仮にいるとしたら拝んでみたいもんだけど、俺並みに可憐なのはアニメや漫画の中にしかいねぇんぇだろう。んでもってメーカーズマークを飲むと穀物の自然な甘さとアルコールの刺激が口内に広がって俺ちゃん白目剥いちゃう。剝いちゃうんだ。次の遊びについて思考を巡らせてみても良いアイディアは浮かばねぇ。もしかして俺ちゃんってこの世界にある刺激的な遊びをやり尽くしちゃったんじゃねぇの、もうお遊戯の材料は尽きちゃったんじゃねぇの、もう大した楽しみもなく生きる凡人に成り下がったんじゃぇの、って勘違いしちゃいそうになる。これは俺一人の思考だからダメなんだ、一人の想像力には限界があって、ミザリーや八重の知恵を借りなくちゃならねぇ時が来たかな、って思っちゃった。ミザリーと八重とのグループLINEでメッセージを送ってみちゃう。みちゃうんだ。けど全然既読がつく気配すらねぇでやんの、二人とも仕事があるから平日の真昼間じゃつかまらねぇんだよな、ってのははなから分かってた事、っていうか事実だ。しばらくスマホと睨めっこしながらウイスキーとタバコを嗜んでると誰かが声を掛けてきた。誰に向かって? んなこた知るかよウンコカスのチリゲロが!「あなた、可愛いですね。お名前聞いてもよろしいでしょうか」一体誰に話し掛けてんだ、今俺ちゃんはスマホでネットサーフィンするのに夢中なんだよ、一番くじのラインナップを見て推しのフィギュアが出てねぇか確認してんだよ。「あの……」「あん?」何気なく顔を上げてみると、俺の横に美女が立ってて屈むような態勢でこの俺ちゃんを覗きこんでた。「誰お前?」「私マカロンって名前です」源氏名か、俺ちゃんは本名でまかり通ってる生粋の変態だけど、女装する奴らは源氏名や芸名やニックネームを使ってるやつが多い。多いんだ。でもでもけどけどでもでもけどけど何て言うか率直に言って好みだから暇つぶしに相手してやんのも良いかなぁ、って思っちゃった。「隣、いいですか?」「ああ、いいよ。遠慮なく座れ」俺ちゃんの席じゃねぇからどうでも良いんだけど下心が働いてそんなセリフを口にしちゃった。そういやしばらく女と話してねぇな、ってか女装した奴らしか集まらねぇ居酒屋で一人だけ女がいる、ってぇのは何だか浮いてるって感じ。「マカロンは何でこんなとこにいんの?」素朴な疑問をこの花みてぇに可愛らしい女にぶつけるけど、花みてぇに可愛いだなんて比喩あまりにもダセェ、って自覚してもいるのよねん症候群。「あ、私男の娘です」ああ、なるほど女にしか見えねぇがチンポコは付いてるってやつね、確かに胸は余りにも平坦で、もしこいつが本物の女だったらAAカップってとこだろう。「マカロンは一人で飲んでんの?」「違うよ、友達といたけど、あなたがタイプだったからつい話し掛けちゃった」自分が男だと明かしても俺の反応が変わらなかったのに安心したのか、いきなり砕けた口調で話し掛けてくる。「その友達って恋人?」「ヤダ、違うよ。本当にただの友達だよ」俺ちゃんに色目を使うとはなかなかのやり手だけど、こんな女男一度くらいは掘ってみてぇと常日頃から思ってた俺ちゃんは無害な話を続けちゃう。続けちゃうんだ。「何か奢ろうか?」「いいの? でも悪いよ……」「いいんだよ、俺もお前と飲みたいし」「嬉しいなぁ」今のところ会話の運び方は順調だ。俺は店員を呼んでマカロンのためにカルアミルクを注文してやった。でも何で俺ちゃんなんだろう、って疑問はまったくねぇし警戒心ってもんも微塵もねぇ、だってさ女装してるやつに悪い人間はいねぇからだ、ってのは余りにも短絡的な思考かねぇ。しばらく飲んでるとマカロンが興味深いことを漏らした。「私たちこれから乱交パーティーしようと思ってて」乱交パーティーか……異性相手だったらもうやり尽くしたからまったく興味が湧かねぇが、こいつが乱交って言葉を口にしたって事は男同士の乱交パーティーなんだろう。「それは興味あるな、マジで」「本当?」上目遣いで俺のことを見てくる男の娘。「何人くらい?」「十人以上かな」そりゃマジで最高じゃねぇかよ、ここでエサに飛びつかねぇ俺ちゃんじゃねぇ。「もちろん参加するよ」「ありがとう!」でもまだ酒飲みながらタバコ吸ってる時間も味わっててぇな、色々と思考、ってか想像を巡らせて楽しみてぇし。「私あっちで飲んでるから準備出来たら声かけてね」マカロンが指さした方を見ると、明らかに女装してる男って分かる連中が多くて、その中にほんの僅かの割合でマカロンみてぇな男の娘らしき人物がいる、つぅかその中にこの俺ちゃんに向かってウインクや投げキッスしてくる奴らもいる。マカロンは俺がまだのんびりしてたい、って心情を推し量ったのかもしれねぇな、それともただ単にまだ自分たちも飲んでいてぇのか、そのどっちかだ。マカロンが去ってまた一人になった俺ちゃんはメーカーズマークを飲みながらショートホープを吸ってLINEでミザリーと八重にいま男の娘に乱交パーティーに誘われた、って自慢をひけらかすメッセージを送ったけど、やっぱり既読は付かねぇ。残念だったな二人とも、返信してくれたら誘ってやろうと思ったのにな。また乱痴気騒ぎか、こんなラッキーな事が起きるなら、たまには一人で外出してみるのも悪くねぇな、ってか俺ちゃんって恵まれてるな、男の娘に逆ナンされるし、ミザリーや八重みてぇな親友もいるし、今までの人間関係を積み上げてきた過去の俺に感謝して、俺の内部に宿る仮初の創造主にはまったく感謝しねぇ極悪非道な僕ちゃん。でも女装した奴らにはなるべく思いやりを持って接してぇ、っていう信条を保持してる僕ちゃん。んで十本目のショートホープを吸いきると灰皿に押しつけて火を消してからグラスの中に残ったメーカーズマークを一気飲みして立ち上がっちゃった。立ち上がっちゃったんだ。んでもってマカロンを中心に騒いでる集団の方に近づいてく。もちろんショートホープはもう一箱、ライターと共にポケットの中に忍ばせてある用意周到気味な僕ちゃん。でもでもでもでもでもでもでもでもけどけどけどけどけどけどけどけど乱交パーティーすんなら一箱で足りるか? 答えはNoで、これはコンビニに行ってタバコを補充しなくちゃならねぇな、って思っちゃった。俺はセックスする前とした後と行為の最中ずっと喫煙してるからタバコが減る速度がいつもより速くなるのよねん。アルコールとニコチンを摂取しながらのセックスってのは堪らねぇもんがあるけど、それも女相手だととっくに飽きてた僕ちゃんにマカロンが新たな風を吹き込んでくれた。俺ちゃんはその要望に応える、ってか誘いに乗る、ってかエサに飛びつく、ってか獲物を捕食する、って表現した方がぴったり。マカロンに声を掛けると隣の明らかに男と分かる女装した奴が席を開けてくれた。開けてくれたんだ。俺はそのスペースに腰かけた、瞬間マカロンが俺の肩に頭をのせてくる。本当に外見も匂いも髪の感触も本当の女みてぇなヤロウだな、って思っちゃった。「そういえば名前聞いてなかったね」「三沼」「違うよぅ。苗字じゃなくて下の名前」「そいつは秘密だ」「えー、何でぇ」誰にも下の名前を明かすつもりはねぇ、俺の名前を知ってんのは幼馴染のミネチンと真吾と茂木だけだ。アイツらは女装の趣味のねぇ一般人だが二十代の頃の廃れた生活を送ってた俺を飲み会に誘ってくれて救ってくれた今でも親友だと思ってる連中だけど疎遠になっちまったな、アイツらは今頃何やってんのかな、それぞれの道ってやつを行った俺ちゃんたちはみんな幸せになれたかな、まぁ俺ちゃんに関して言えば最高にハッピーだけどね。マカロンは頬を膨らます、っていう何とも可愛らしい不満の現しかたをしてる最中だ。これが普通の女だったら何も感じねぇんだろうが、男の娘相手だと何か感慨深いもんがある。何か最近の俺ちゃんって凄く人間らしいね、昔から信念は一貫してるけど。それは快楽、快楽、快楽、快楽を追い求めるってこと。「途中でコンビニ寄っていい? タバコ買いたいんだけど」「銘柄にこだわらなきゃタバコぐらい幾らでもあるぞ、酒もな」「そっか、ならいいや」反対側に座ってる女装した男が親切に答えてくれる。やっぱ女装してる奴らってのは親切心に満ちた素晴らしい人間が多い。「とりあえずお前も飲めよ。マカロンに奢ってくれたお返しだ」「三沼さん本当に優しくって素敵なんだよ」マカロンよ、俺を持ち上げてもこれ以上何も出ねぇぞ、精子は幾らでも出るけどね、ってどうしようもねぇオヤジギャグを脳内で編み出しちゃった。編み出しちゃったんだ。んでジョッキの生ビールが運ばれてきたから俺ちゃんはそれを一気飲みして空にした。乱交パーティーすんなら今の内に泥酔した方がいいと思ったからだ。「凄い飲みっぷりだな」向かい側の男が話しかけてくる、名前には興味ねぇけど、ツマミや酒や吸殻のつまった灰皿が所狭しと敷きつめられた目の前のテーブルを囲んでる連中とこれから乱交パーティーの乱痴気騒ぎするんだと思うと涙が出そうになるくらい胸が躍ってくる。これは凡人が映画やドラマに感動して涙を流すときと同じ気持ちなんだろうが、俺は感動する対象が平凡な人間共とはまったく違うのさ、って自慢したくなっちゃう。なっちゃうんだ。んで残り少ない唐揚げを食う、食う、食う、食う。居酒屋で出る唐揚げは何でこんなにも美味いんだろうか、衣の味が一味も二味も違うぜ、って思って遠慮なく追加でビールを注文キメちゃった。んで結局会計は俺の分までマカロンの女装友達がまとめてしたから俺はあいつにカルアミルクを奢った事にはならなかったけどこれは気持ちの問題んだ、って思った。人通りの多い道を十二人の女装した集団が歩く、歩く、歩く、歩く、闊歩しちゃう。俺とマカロンを先頭にして、個性的な見た目をしたヤロウ共がついてく。通行人が物珍しそうに俺達を見てるけど、スマホで撮影したりしてるけど、んな事お構いなしに進む俺ちゃんたち女装集団。必然的に通行人たちは道の端を通り、俺ちゃんたちは真ん中を歩いて行っちゃう。行っちゃうんだ。退け退け凡人共、って感じで俺ちゃんたちは堂々と歩いてく。それぞれにくっちゃべりながら、おしゃべりを楽しみながら、人生を味わいながら生きてる、って実感がありまくり。んで俺とマカロンは会話しながらゆっくりと歩を進めてる状態だ。「どこでやんの?」「もちろんホテルだよ」やっぱラブホか、この中にいる誰かの家でパーティーを催すのかと思ったけど俺の見当外れだったらしい。厳密には見当外れ、ってか予想が外れちゃっただけなんだけどね。でもこの人数でラブホですんのか、って事は何人かに別れてヤルのかな。「三沼さんって可愛いよね」「お前と同じくらいな」「やだぁーお世辞ばっかり言って」お世辞じゃねぇんだけどな、マカロンは俺が今まで出会った男の中で一番、どころか女も含めて一番美しい、美の頂点にいる可憐さだ。モデルや女優やってても可笑しくねぇだろう、男の娘じゃなかったらね、って注釈付けないと何が何だか分からなくなっちまうよ。常識って概念は俺ちゃんにはねぇんだけど、あえて用いるのなら常識を覆すほどの可愛さだ。ちょっと悔しくなっちまう、俺はマカロンの美に嫉妬してんだ、って自覚せずにはいられねぇ。でもでもけどけどでもでもけどけどそれ以上に強烈な性欲を覚えてて、俺ちゃん居酒屋からずっと勃起しまくってる。マカロンが悪戯っぽく俺ちゃんのスカートの盛り上がった箇所を突いてくるからその度に性欲が膨張してくのを感じる。こりゃホテルまでもつか、ってちょっとだけ心配に、はならねぇ! 我慢出来なくなったら居酒屋の中でも路上でも公衆トイレでもいいから所構わず襲っちゃえばいいのよねん。それが俺の信条、信念、意志、だからそれは俺以外の誰にも曲げられねぇ強固なもんなんだ、ってか俺自身にも変えられねぇ俺ちゃんの本質の一端。んでもって俺らはさらに歩いてく、ってか一体何処まで行けば目的地が見えてくるんだ、体感ではかなり歩いた、って感じ的だぞ。「何処まで行くんだ?」「もうちょっとだよ。私ホテルのオーナーと友達だから、色々融通が利くんだ」自慢げに平坦な胸を反らしてそう口にするマカロンを今すぐ掘りてぇと思った。「あ、見えてきたよ」俺にケツの穴を狙われてる最中のマカロンが前方を指さした。その先には宮殿みてぇな王宮みてぇなどでかくて豪華で派手な外観の建物があった。そっちの方に歩いてくと料金表が書かれた看板があって、普通のラブホよりちょっと高い値段だった。ビジネスホテルとまではいかねぇけど、そこらの一般的なラブホよりかなり高額だ。マカロンは俺の手を取って自動ドアを通過し俺ちゃんと一緒に中に入った。後から後から計十人の女装仲間たちがホテルのロビーに雪崩れこんじゃう。雪崩れこんじゃうんだ。んでもってホテルのロビーは広いからすし詰め状態にはならずに済んだが、傍から見たら異様な光景だろう。モップで掃除をしてるババアが顔を上げて、その視線で俺らを捉えちゃった。「あら、マカロンちゃん。久しぶりねぇ」「おばちゃん、元気にしてた?」マカロンはババアと世間話を始めたっぽい。これから乱交パーティーをするとは思えねぇほど平和で平凡な内容だから、俺ちゃんはその話の内容を脳内で省略キメちゃった。さっき居酒屋で会計をしてた大柄な男が受付に行って支払いを済ませて鍵を受け取ってる。受付にはケバイ四十代ぐらいの女が立ってて、タバコを吸いに吸いまくってた。目の前にある灰皿には山の様な吸殻が盛られちゃってる。盛られちゃってるんだ。「マカロン、久しぶり。前来たのは半年前くらいだっけ」「そうそ、オーナーも元気にしてた?」あれがこの宮殿のオーナーであり、マカロンの知り合いか、顔が広くて交友関係が狭い俺ちゃんとは対照的だ。何だかマカロンと俺は性格まで正反対な気がしちゃう。しちゃうんだ。アイツは恐らく人類を愛してるヒューマンセクシャルで、俺ちゃんはと言うと天才の鬼才のバイセクシャルだ。でもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでも男同士の乱交パーティーを提案するって事はぶっ飛んだ遊びが好きなんだろう、そうに違いねぇのかもしれねぇけど、ただのセックス中毒者か?「あの人、見ない顔だねぇ。またあんた引っかけてきたの?」「人聞きの悪いこと言わないでよぅ」受付の方から気になる会話が聞こえてきて、んでマカロンが逆ナンすんのは何も俺が初めてじゃねぇって知って残念な気持ちになっちゃう僕ちゃん、じゃねぇ! んなことは些末で些事で些細な事だから、俺はこれから起きる乱痴気騒ぎの映像を思い浮かべて白目剥いちゃった。んでもってショートホープを取りだして口に咥えてライターで先端に火を点けようとしたけどまだ止めておいた。俺がタバコを後のお楽しみに取っておくなんて凄まじく珍しい、んだけどやっぱ楽しい遊びしながら嗜みてぇじゃん、特に同性同士の乱交パーティーっていう超刺激的な事をこれからするんならさ。いかんいかん想像してたらようやく萎んだチンポコにまた血液が集まって来ちゃった。来ちゃったんだ。俺は猛烈にニコチンとアルコールを脳に摂取したくなったけど、今は耐えるんだ俺ちゃん、後のお楽しみに取っておいた方が快感も倍増するハズだ。俺は結局ロビーではタバコも酒もやらなかった。やらなかったんだ。俺らは十二人の同胞は押し合いへし合いしながら廊下を歩いてた。マカロン以外の奴の体臭も混ざり合って異様な臭いが充満しまくってるけど一番クセェのは他ならねぇこの俺ちゃんだ。だって一ヵ月ぐらい風呂に入ってねぇ、どころか、シャワーすら浴びてねぇんだもん。ミザリーや八重ならともかくこいつら俺とは初対面なのによく文句の一つも言わねぇな、って疑問に対する回答はあまりにも簡単に導き出せちゃう。そりゃこいつらが定期的に男同士で乱交パーティーを催してる生粋の変態共だからだ、臭ければ臭いほど興奮すんだろ、身体洗ってなくて良かったね俺ちゃん。「一体部屋はどこにあるんだ?」俺の疑問を聞いてる奴は一人もいなくて、みんなそれぞれ会話に興じたり絶叫を上げちゃったりしるから興奮を抑えきれねぇ様子だ。ただマカロンの背中を眺めながら、これからあの女男を抱けるのか、って考えてた。余りにも長い長い廊下だ。ラブホ、ってかビジネスホテル、ってかホワイトハウスの廊下みてぇだな、そんな厳かでお上品な連中が集まる場所に行ったことなんて一度もねぇけどよ。でもけどでもけどでもけどでもけど大統領も首相も本質は根っこは根底は俺を含めたここにいる連中とさほど変わらねぇんじゃねぇだろうか。国民のためとか平和がとか減税がとかのたまってるけど、根本にあるのはただのエゴなんじゃねぇだろうか。本当の本物の生粋の善人がいると仮定して、そいつは他人のために奉仕するのに疲れたりしねぇんだろうか。愛は無限だなんて欺瞞だ。愛だの恋だのマジで下らなぇ凡人が好きな言葉で、俺ちゃんが好きなもんは快楽、って何度何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も再確認キメちゃう。キメちゃうんだ。再確認してんのは俺ちゃんの独自性を保つためってよりはただの戯れのお遊戯の思考遊びの暇つぶしに過ぎねぇ。俺ちゃん男にしては身長が低いからでかいやつに囲まれて一体今ホテルのどの辺にいるのかがまったく把握できねぇ。ただこいつらの体臭を嗅いで興奮してるから誰彼かまわず勃起したチンポコを擦りつけて遊んでる最中。んで、俺ちゃんの身体、ってか大切な大切なチンポコが圧迫される状態だ。大切にしてる、ってぇのは一時的な感情かもしれねえぇけど、これから乱交すんなら何よりもチンポコを大事にしなきゃね。でもでも肛門を掘らせるつもりはまったくねぇ俺ちゃん、俺ちゃんってさぁ、受けより攻めなんだよね。「着いたよっー!」マカロンがこの混沌とした喧騒を搔き消すみてぇな大声で叫んだ。どうやら目的の場所であるラブホテルの一室に到着キメちゃったらしい。やっぱこんな宮殿みてぇな外観をしてるから室内もすっごく広くて豪華な家具や照明が配置してあるんだろうなぁ、って想像する。まぁ普通のラブホも派手な内装をしてる部屋が多いけどね。ヤリ部屋か、つぅより乱交部屋だ、んー悪くねぇなそれも。マカロンの号令を聞いたヤロウ共は兵隊が上官の命令を受けたように行進を急激に止めた。んでもってマカロンがカギを開けて、その可憐な姿が華麗に室内に消えてちゃった。消えてっちゃったんだ。それに続くみてぇにして他のヤロウ共も部屋に流れこんでく。その映像を見て思い出したのは通勤ラッシュの時に電車に吸いこまれてく凡人共の姿だった。仕事に就いたことは何度かあるけど、どれも長続きしなかった僕ちゃん。僕ちゃんはさぁ、根本的に労働って奴が向いてないのよねん。凡人共は一生働いてろ、んで俺ら天才たちは快楽を摂取しろ、死ぬまでな。もし仮にあの世ってもんがあったら、もし存在したら俺らはロクな場所に行けねぇんだろうなぁ、ってトチ狂った妄想しながら渋滞待ち状態症候群気味の僕ちゃん。結局みんなが室内に入るまで俺ちゃんはその場から動けなかった、ちゃんちゃんお仕舞い、ってかこれから始まるから人生の次回予告、って感じ。体臭と強烈な圧迫感の余韻でその場でぼーっとしてるとマカロンがドアから顔を出して手招きしてきちゃった。きちゃったんだ。さぁいざ行かん、鎌倉へ、って感じで俺ちゃんは胸を躍らせながら、つまらねぇ表現を用いるとドキドキワクワクしながら室内へと向かっちゃった。でも俺の脳内でドキドキやワクワクなんて言葉使いたくねぇな、記憶から消去してねぇな、って謎のこだわりがあるけど、男ならこだわってなんぼだろ。室内に入ると女装した男共がすし詰め状態だった。「もっと広い部屋かと思ったぜ」ってそんなセリフを口からこぼしながらショートホープを取りだして一本咥えると火を灯して一服かました。久しぶりのニコチンに俺ちゃんの身体はヤニクラしちゃいそうな勢いを発揮してやがる。「広い部屋なら一杯あるんだけど、あえて狭い場所を選んだの」その方が楽しいでしょ、って語尾にんなセリフが続きそうなマカロンのしゃべり方。何だ、分かってんじゃねぇか、汗まみれ垢だらけの身体を擦りつけ合いながら乱交パーティーした方が広い部屋より何倍も楽しめるってもんだ。「服脱いだ方がいい? それともこのままする?」「もちろんこのままだ」汗の染みこんだ衣装に包まれながら掘り合いする、って想像すると何て興奮してくるんだろう。この部屋で素っ裸で絡み合うのも悪くはねぇ、ってか抜群に良いんだけどさ、女装した男が衣装を脱いだらただの全裸の男になっちまうじゃんね、外見だけはさ、って注意深く注釈付けて裸体でも精神性は変わらねぇってことを俺の内部にいる創造主に匂わせておくのを忘れない。「早く入りなよ、三沼さん。もしかして怖気づいちゃった?」小悪魔的に挑発してくるけど、それは真実のセリフじゃやなくて、マカロンなりのただの戯れのスキンシップのコミュニケーションの一環だろう、って容易に想像がつくから怒りは微塵も湧かなかった。もし激怒してたら俺ちゃんは肛門から血が出るまでチンポコをブチこみ続けるのを止めねぇだろう、アイツには優しいセックスがしてぇ、ってのは欺瞞に他ならねぇ。んで俺は部屋の中に足を踏み入れた。瞬間、マカロンが抱きついて来て全身をくねらせながら身体を擦りつけてくるから俺ちゃんも同じことをやり返しちゃう。そしたら他の奴らも俺ちゃんたちに我先にと抱きついてきてしっちゃかめっちゃかの混沌混乱お祭り騒ぎ状態。俺ちゃんはマカロンのケツを掘る、っていう当初の目的も忘れて、誰彼かまわず交代交代でディープキスかましまくって、オマケに唾液を飲んだり飲ませたりの乱痴気騒ぎフェスティバル。んで俺ちゃんは大男の下着をずらしローションも塗布してねぇのもお構いなしにチンポコをぶちこんだ。んで前後運動を始めた瞬間、他の奴がその男をかっさらって肛門に指を入れて弄ってもてあそんでる映像が目に映っちゃった。映っちゃったんだ。マカロンを探すと悪魔的な笑みを浮かべながら小さなチンポコを派手な格好の大男のケツアナに突っこんでピストンしてる最中だった。そうか、お前も受けじゃなくて攻めだったのか、マカロンよ。んで背後からパンティーを脱がされた俺ちゃんは四つん這いの格好にさせられて危うくケツを掘られそうになったから、振り向いてそいつの顔面に拳をぶちこんで無理やり止めさせた後でその男の娘の肛門にチンポコを入れてしばらく前後運動キメちゃってた。キメちゃってたんだ。したらやっぱり途中でそいつも誰かにかっさらわれて、無防備な状態の俺ちゃんのチンポコを誰かかしゃぶって来た、と思ったら他でもねぇマカロンだった。「ねぇ、楽しいでしょ」ファラしながらそんなセリフをこぼすマカロンの髪を引っ張って無理やりこっちにケツを向かせると肛門を掘りに掘りまくっちゃったね。何だこいつ、受けも攻めも好きなのか、両性具有なのか、まぁそれだったらそれで俺にとっちゃ好都合なんだけどさ、まぁ例えマカロン相手でも俺の貞操を明け渡す気は気は微塵もねぇけどさ。マカロンちゃんはあえぎ声を発しながら俺ちゃんのチンポコの感触を楽しんでるみてぇに見えた。んでもってニコチンとアルコールを摂取したくなったからウイスキーとタバコを探すがどこにも見つからねぇ。まぁいいや、今はマカロンの尻を掘ることに集中しなくちゃな。と思ったらそのマカロンちゃんも誰かにかっさらわれて、って横から来た浮浪者みてぇな男に飛びつかれてそのまま床に転がってった。もう少しで射精できそうだったのに、って憤りの気持ちが湧いてる余裕もなく、俺ちゃんのチンポコは次の穴を探し求めるのに無中だった。手近にいた大男の穴にチンポコをぶちこむと俺ちゃんは直ぐに射精キメちゃった。キメちゃったんだ。早漏なのかな、俺ちゃんの内部で定めた創造主よ、お前なら分かるか? 俺は交尾の後は直ぐに冷めるタイプだからこの騒ぎの中でようやく冷静になれた。鋭く尖った思考で、マカロンの直腸に精液をぶちまけられなかったのは残念だったけど、また次の機会があるさ、って考えて遊んじゃった。遊んじゃったんだ。んで俺一人だけ廊下に出てポケットからタバコを取りだして口に咥えて先端に火を点けて一服してあの乱痴気騒ぎの余韻を味わう。しばらく廊下で大の字になってると、聞き覚えのあり過ぎる声がした。「三沼さん、終わったよ」ドアの方を見ると所々破れた衣装に身を包んだマカロンの姿が視界に入っちゃった。入っちゃったんだ。「そうか、なかなか楽しかったよ」俺はそううそぶくけど、本当は本当のところはなかなかじゃなくて最高に楽しかった、って感想を胸に抱いちゃってた。「まだ終わりじゃないよ、みんな廊下に並んで」何と、まだ終わりじゃねぇのか、男は射精した後冷めるってのは俺だけじゃねぇ、ってのは既知の事実だからさっきみてぇなお祭り騒ぎじゃねぇんだろうけど、何か楽しげな催しをやるのかもしれねぇな、って予想しちゃった。しちゃったんだ。ってかこれは期待に近い感情だ、俺が期待するのなんざ何年ぶりだろう、期待ってぇのはことごとく裏切られるもんだ、ってこの精神に刻みつけられてるから久しく期待って感情は抱いてなかったなぁ。廊下に出た裸の奴もいるが、女装した男共が廊下に出ると縦に並んだ。何だか学生のころ体育の授業で並んでたことを思い出しちゃった僕ちゃん。最後尾は俺ちゃんで、その前にマカロンがいて、さらにその前に大男がいて、さらにその前に、って延々と続いてる。「三沼さん。私にチンチン入れて」射精してからしばらく経ってるし、マカロンのケツを掘るのは最高に興奮するから、簡単に勃起は出来るんだけど、一体何をするつもりなんだろう。とりあえず俺ちゃんはマカロンの後ろ姿をオカズにしてチンポコをしごいて勃起させると目の前の女男にチンポコをぶち込んでやった。「ああっ!」あえぎ声を漏らすマカロン、けど俺ちゃんはまだ前後運動をしねぇ、だって何かが始まる予感があるからだ。んでもって今度はマカロンの前方にいる大男が野太い声であえいだ。なるほどそういう事か、俺の予想は的中、次々に整然と並んだ男たちがあえぎ声を発してく。でもでもけどけどでもでもけどけどあえぎ声は次第に小さくなってく、つぅのは後ろにいる奴が前にいる奴の肛門に順々にチンポコをぶち込んで行ってるからだ。「全体止まれ!」マカロンの掛け声とともにみんな動きを停止させたっぽい。「じゃあみんな動いて」再び指令、上官の命令通りに隊員たちは前後運動してく。もちろんその中にはこの俺ちゃんも含まれちゃってる。含まれちゃってるんだ。そうか、今俺らはチンポコで繋がってるんだ。この気持ちを一言で言い表すのなら、一体感、って言葉がぴったり。んでもってしばらく前後運動した後で次々にみんなが射精してってるのが手に取るように分かる。何故って、そりゃ一体感に包まれてるからさ。んで最後に俺ちゃんがマカロンの直腸に精液を発射してこの遊びは終了だ。みんな肩で息をしてる、俺ちゃんだってそうさ、みんなと一緒さ。マカロンが振り向き最後に笑顔を見せて言った。「三沼さん、また遊ぼうね」「もちろんだ」八重とミザリーとの楽しかった日々、マカロンたちとの乱交パーティーを思い出しながら今俺ちゃんは路上でタバコを吸いながらウイスキーを飲んでる。銘柄はもちろんハイライトとグレンリヴェット12年だ。俺は色んな銘柄のタバコやウイスキーに浮気しちゃうけど、結局はこの二つの銘柄に戻って来ちゃうのよねん、語尾にハートマーク付きでマジで大好き愛してるよん、って感じ。さぁもう俺の遊びもネタが尽きた頃合い的な何かだろう。だから俺ちゃんは凡人と同じように平凡な日々を過ごしちゃってる、退廃してはいるけどねん。流石にあれ以上に楽しい事はねぇだろう、って考えながら、つぅかあの楽しかった出来事の余韻に浸りながらタバコを吸いに吸いまくる。ハイライトは半分ほど減って、グレンリヴェットの中身も残り三分の二だ。俺は塀に凄まじい勢いのションベンをした後で残尿をきってパンティーの中にチンポコを収めた。もちろん今日も魔法少女キューティーデビルの衣装を着ちゃってる。着ちゃってるんだ。あーもう祭りも終わりか、って思うと何だか感慨深い、ほんとにね、マジでマジでマジでさぁ。最高にぶっ飛んだ最上級の超大物の快感を味わった後でこの俺ちゃんに残されたのはこれ以上ないくれぇの満足感だった。すべてをやり遂げた、って感じで平凡に生きてみるのも悪くはねぇ、って考え始めてる。そう穏やかな日々を愛する凡人みてぇに平穏で地味な日々を生きるのも良いかな、って思い始めてた。俺ちゃんも精神的に丸くなったもんだぜ、快感の果てにこんな思考に行きつくなんてさ、果てにあんのは心底からつまらねぇ景色だぜ。タバコを吸い、ウイスキーを飲み、生活費を稼いで凡人みてぇな日々を送ってる。貯金はあり余ってるからまだ仕事はしてねぇけど、残高が底を尽いたらアルバイトぐらいしてみても悪くはねぇ、って思っちゃった。思っちゃったんだ。とりあえずその場に座りこんで、ウイスキーとタバコとライターを地面に置いて、手でアゴを支えてぼんやりとしちゃう。今頃マカロンとその愉快な仲間たちはどうしてるかなぁ、今日も男同士の乱交パーティーに興じてんだろうか、ミザリーや八重は仕事してる最中だろうか、あー退屈だけど何だか幸福感を覚えちゃう。覚えちゃうんだ。これが凡人の心境なのか、ってあれほど毛嫌いしてた平凡な人間共に大して理解を示しちゃう僕ちゃん、ってかこりゃ共感だな共感、シンパシーって奴だ。とりあえずハイライトの箱から一本取りだして口に咥えちゃう。咥えちゃうんだ。老後、つぅか死ぬまでこの平穏な日々を生きるのか、それは嫌だな、って感じてる自分と、それも悪くねぇな、って思ってる俺ちゃんがせめぎ合ってる状態だ。とポケットの中のスマホが震えてLINEの通知を知らせる。スマホを取りだし、LINEを見ると、また久しぶりの男からのメッセージだった。『最高に刺激的な遊びをしないか』俺にメッセージを送って来たのはかつての女装仲間の一人で普段は大企業の重役をしてる奴だ。ちょうど退屈してて、その退屈にすら飽きてた俺ちゃんにとっちゃその一言は吉報以外の何物でもなかった。俺ちゃんは今マンションの外階段を一歩一歩昇ってる最中だ。まだ昇り始めだけど一体何階建てなんだよ、このマンション。待ち合わせ場所は屋上とのことで、そこでぶっ飛んだ遊びをするらしい。会社の重役である秋奈は凄まじく奇特な人物だから多分バンジージャンプとか私用ヘリで空を散歩するとか平凡な事じゃねぇんだろうな、ってのは容易に想像がついちゃうけど、じゃあ一体どんな遊びをするんだ? 考えても考えても答えは出ねぇってやつじゃん、思考の堂々巡りってやつじゃん、最後に行きつくのは思考停止ってやつじゃん。でも俺ちゃんは刺激的な遊びってもんにちょっとばかし食傷気味だ。じゃあ何でアイツの誘いに乗ったのかって、俺の内部に創り上げた想像主よ、そりゃこの俺ちゃんが快感を求めてるのか、それとも快感が俺ちゃんの方を求めてんのか確かめたかったからじゃん、って脳内で語りかけちゃう。もちろん今日も女装してるけど、ハイライトとライターはポケットに収まってるけど、グレンリヴェットも持ってるけど。天才の鬼才の娯楽だと思ってたけど酒やタバコは凡人のささやかな楽しみでもあるんだね、って悟っちゃった。本当に本当に本当に本当にこれは悟りって奴に近い境地的な心境だ。まさか俺ちゃんが平凡な人間共に共感しちゃう日が来るだなんて、かつての俺は想像すらしてなかった、ってやつじゃん。もう半分ぐらい昇ったか、そろそろ疲れて来たんだけど、エレベーターで行けばよかったか、でもでも秋奈は階段で体力を消耗するように指令を出してきた。一応俺ちゃんはその指示に従って愚直に自分の足を使って階段を昇ってる。ちょっと休むか……俺ちゃんは階段に腰かけて外の風景を眺めた。結構高くまで来たらしい、どうやら思ってたより空に近づいてたらしい、太陽には近づけねぇかもしれねぇけど、空には近づけるんじゃねぇだろうか、だなんて才能のねぇ詩人みてぇだな俺ちゃんってやつはさ。しばらく上から街の景色をながめてると平凡な人間共が懸命に今を生きてるのが分かる。アイツらは地味で穏やかだけどその内部には情熱ってもんを秘めて生きてるんじゃねぇだろうか。爆発する太陽の炎じゃなくて、それはロウソクの炎に近いけど、死ぬまで内側で静かに燃え続けてるんじゃねぇだろうか。凡人の内面、天才の内面、俺ちゃんは本当にどうしちまったんだろう。これは焼きが回ってるとかそういう次元の話じゃねぇんだよなぁ。秋奈の誘いに乗らなければ良かったな、ってちょっとばかし後悔気味の僕ちゃん。そんな僕ちゃんはだいぶ上まで進んだぞ、と思って足腰に力をこめて立ち上がって残りの階段を昇り始めちゃった。始めちゃったんだ。女とのセックスも悪くねぇな、って思い直しながら俺ちゃんはやっと階段を昇り切って屋上に到着キメちゃった。キメちゃったんだ。キメる、って何を……快感をか? んー快感かぁ、って考えながら屋上に視線をやると人間共がわんさかいた。でもでもけどけどでもでもけどけど全員見知った顔だ。秋奈、それにミザリーと八重っしょ、後々後々後々後さぁ、マカロンとその愉快な仲間たちだった。みんな屋上にシートを広げて飲んだり食ったりしてる。そっちに近づいてくと顔を上げた秋奈と目が合った。「久しぶりだな。元気にしてたか?」再会のとき言うセリフはみんな同じだ、つまらなくもねぇけど、何だか心ってやつが反応して懐かしいような穏やかな温かい気持ちになれちゃうけどさ。「まぁぼちぼちだな。お前は?」「相変わらず目上の者への口の聞き方がなってないな、三沼」まぁこれも俺らのいつものやり取りだった、本当に懐かしいなぁ、秋奈と顔合わすの何年ぶりだっけ? 最近は久しぶりの再会が多くて俺ちゃんも休む暇がねぇよ。ミザリーと八重は黙々と自分たちの食事に集中しててこっちには興味がなさそうだ。マカロンの方に視線をやるとウインクをされちゃった。されちゃったんだ。俺もウインクか投げキッスをすれば良いんだろうけど、今は到底そんな気分になれねぇから視線を秋奈に戻した。こいつもぶっ飛んだ遊びが好きな変わり者の一人だ。一見人格者に見えるけど、その本質はケダモノだ、って事実が嫌ってほど俺ちゃんの根っこに染みついちゃってるのよねん。「んで、今日は何の用だ?」「まぁそれは後で良い。とりあえずお前も飲め」俺は言われるがままに秋奈の前に腰を下ろしちゃった。下ろしちゃったんだ。ついでに俺ちゃんの精神的なエレベーターも下降気味。今あんまし快感を摂取したくねぇんだよなぁ、ウイスキーとタバコぐらいで丁度良いんだよな、後YouTube観賞が最近の俺ちゃんの趣味。酒飲みながらタバコ吸ってぼんやりと動画を観てる時間を愛し始めてんだよなぁ。刺激的な遊びなんて今はやる気分じゃねぇ、これから先また元の俺ちゃんに戻れるのかもしれねえけどさぁ。もしかして快感の正体って愛だったの? そうなのか、もしかしたらもしかしたらだけど快感も愛もどっちも欠けてはいけなかったんじゃねぇだろうか、この閃きは確信に近い感情を俺に抱かせちゃう。抱かせちゃうんだ。とりあえず俺は秋奈と昔話しながら豪華な料理と高級な酒を嗜んじゃった。地ビールを何本も飲んだらさすがの俺ちゃんも酔いが回って来たぞ。ウイスキーとビールじゃ酔い方の性質に違いがあるけど、気分が良くなるのはビールの方でウイスキーは一定量以上飲むと悪酔いしちまうよ、ほんとんとこ。俺はもしかして人類を愛してるんじゃねぇだろうか、って思い始めてる。天才も鬼才も変態も凡人も芸能人も一般人も大統領もコンビニの店員もすべてすべてすべてすべてすべてすべてすべてすべて愛してるんじゃねぇだろうか、って考えちゃうのはビールのおかげでテンションが上がってるからなのかねぇ。「じゃあそろそろ始めるか」秋奈がそう言って立ち上がると、みんなは楽しそうに騒ぎ出しちゃった。騒ぎ出しちゃったんだ。んでもってマカロンが近づいてくると、俺に黒い布を見せて来た。「これで目を隠すんだ」って秋奈が静かに言っちゃった。何だ何だ一体何が始まるんだ、もしかして自分で忘れてるだけで俺ちゃんって今日誕生日で、高級料亭にでも連れてってれるのか、そこでみんなで飲み食いすんのか、って食事はいま腹一杯になるまでしたばっかだから、俺の胃にはこれ以上入らねぇよ、気持ちは嬉しいんだけどさ、だなんて考えてる内に俺ちゃんはマカロンに黒い布で目隠しされちゃった。これで何も見えねぇ真っ暗闇の世界に足を踏み入れたってことになっちゃう。なっちゃうんだ。「一体何すんだ?」俺の疑問に対する答えは、俺の身体が持ち上がるってもんだった。誰かに抱きかかえられてんだ、って分かったのはミザリーが話し掛けてくれたからだ。「ちょっと移動させるわよ」相変わらずのおねえ口調、んでもって俺ちゃんはされるがままにミザリーにどっかに運ばれてく。やっぱ俺ちゃんの誕生日を祝ってくれんのかなぁ、ってちょっと期待しちゃう。しちゃうんだ。「これでOKですね。カメラ回してますよ」カメラまで用意するとはどうやら俺ちゃんがみんなと楽しんでる姿を記憶してくれるつもりらしい。俺は幸せもんだなぁ、大好きな酒やタバコがあって友達に恵まれてて自由に生きてる、これ以上の幸福なんてこの地球上にはねぇんじゃねぇだろうか。んでもって俺はなんか妙な感触のする場所に立たされた。何か心なしか肌に感じる風がさっきよりも強い気がするが気のせいだろうか。「お前はいま屋上の縁に立たされてる。柵を越えた場所だ」秋奈の声が冷酷な事実を淡々と告げちゃう。告げちゃうんだ。「は? 意味分かんねぇ」マジで意味不明だから俺ちゃんは自分の頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしちゃった。しちゃったんだ。「これが超刺激的な遊びだよ。三沼さん」今度はマカロンの声が聞こえてくる。目隠しされた事で聴覚が敏感になってんのか、声だけでそれを発してる人物の姿が容易に思い浮かんじゃう。次は秋奈の声が説明を始める。「お前は屋上の端から端まで歩くんだ。命綱無しでな」「ふざけんな。これの何が楽しい遊びなんだよ」俺は命を弄ぶ行為だけは大嫌いなんだ、それはここにいる全員が知ってる事実のハズだ。だから俺ちゃんは死に対しては嫌悪感を覚えちゃってるのさ、そうなのさ。だからこそ俺は人間を含めた生き物は殺さないし、自分も殺されねぇように生きてきたのに、この仕打ちが超刺激的で楽しい遊びの正体だったのかよ、本当に創造主がいるとしたら何て残酷なんだよ、って人間の方がよっぽど残酷か、って自分が被害者になってみて初めて神の存在を信じる気になっちゃったね。「こんな卑劣な事は止めてくれぇっ!」俺ちゃんの懇願は聞き入れられねぇから、自分で目隠しを取っちゃおうと思って腕を動かしたら秋奈の声が響いた。「もしお前がこの遊びをやり遂げたら、お前の願いを何でも叶えてやろう」まさかこいつ神龍的な何か? 俺の願いって一体何だって考えちゃう。考えちゃうんだ。俺が心の底の底の底の底の一番下で思ってる感じてる願いって何なんだろう。秋奈は財力があるから、どんな願いだって聞き入れてくれるハズだ、現実的な範囲内でなら。でもけど行き過ぎた快楽は身を滅ぼす、って今回自分が置かれた状況を体感して初めて分かった、心の底から理解した感じた。だったら俺の願いは一つだけなのかもしれねぇ。「これをやり遂げたら、お前ら全員もう俺に一切関わるんじゃねぇ。それならこの下らねぇ遊びって奴をやっても良い」本当は嫌だけど他人だろうが自分だろうが動物だろうが昆虫だろうが命を弄ぶのは心底から嫌だけど。俺の望みは一つだ、それは行き過ぎない程よい快感があって、穏やかな日々を送って、人を愛するって事だ。本当に本当に本当に本当にそれだけが俺ちゃんの願い、ってかこりゃ祈りに近いね、マジでさ、ってかてか祈りそのものじゃねぇだろうか。「分かった、それだけで良いんだな?」「ああ、本当にそれだけだ」「分かった、みんなそれで良いな」分かった、分かったよ、分かったわよ、って色とりどりの声質からくり出される返事が聞こえて来ちゃう。来ちゃうんだ。どうやらみんな納得がいったらしい、余りにも簡単に承諾してくれたな、行き過ぎた快感で結ばれた関係性なんてこんなもんでしかなかったんだよ、マジでマジでマジでマジで実際のとこ実際のとこ実際のとこ実際のとこほんとんとこほんとんとこほんとんとこほんとんとこ。酔っ払ってフラついてるし、屋上まで階段を昇り切った疲労が足腰に溜まっててとてもじゃねぇが、渡り切れるとは思えねぇけど、これはやるしかねぇか……自分でああ言った以上後には退けねぇか。今からでも今からでもでも今からでも今からでも前言撤回するべきか、でもでもけどけどでもでもけどけど俺ちゃんって命を弄ぶ行為に対して嫌悪してるけど、死にたいする恐怖心は欠片もねぇんだよね、痛いのは嫌だけどこの高さから落ちたら痛みを感じる暇もなく逝けるだろ、って思って決意が固まった。「じゃあマジでやるからな。お前ら後悔しても遅いぞ。こりゃ立派な殺人になるんだからな」脅してみても無反応キメこむ快感の奴隷共。本当にやるからな、それでいいのかお前ら、って言葉は俺の口からは出なかった。その代わりツバを飲みこんで屋上の端を渡り切る準備をしちゃう。マジでこれが最高の快感だと思い込んでんのかよ、結局はどいつもこいつも命を弄ぶのかよ、そんなの間違ってる、って声を大にして言う代わりにこれをやり切ってやる、絶対に生きて生きて生きて生きて生き抜いてやる、って強く思って一歩前へ踏み出しちゃったのよねん。「逃げなかったか」そんな声がした、と思った瞬間、何者かに目隠しが外されて俺ちゃんはまた光に満ちた世界へ舞いもどれた。何と屋上の縁に立ってたわけじゃなくて、青いカーペットの上に立たされてただけだった。ちゃんと柵の内側だけど、何で足に伝わる感触で気づかなかったんだろう、って今更ながら恥ずかしくなっちゃうのよねん。「どう、怖かった?」目隠しを取ったのはマカロンだったみてぇで、悪戯っぽい小悪魔的な笑みを浮かべてそう聞いてくる。「怖くはないけど、怒ったな」それにしても悪戯にしては趣味が悪すぎて閉口しちまうより他ねぇ。「試したんですよ。あなたがちゃんと人間らしい感情を持ってるか」八重の奴がカメラを回しながらそんなセリフを口にした。「俺はお前みたいな奴を知ってたけど、そいつは破滅した。死んじゃいねぇが、それより辛い目に合ってる」名前も知らない大男がそう言う。「だから秋奈さんに事情を話して今回の事をみんなで仕組んだの。発案は八重さんだよ」これは八重のアイディアだったか、アイツらしい、っていうか憎む気はもちろん怒る気にもなれねぇ程の虚脱感が全身を支配しちゃう。しちゃうんだ。「人間らしさを忘れちゃダメだよ、三沼さん」子供を優しくしかるみてぇに、マカロンは軽く俺の頭を黒い布で叩いた。「みんなお前の事を心配してたんだぞ」秋奈が最後にそう締めくくる。「快感は良いけど、何事もやり過ぎはダメだよ」「はい、分かりました。ママ」俺がそう言うとみんな一斉に笑い出しちゃった。笑い出しちゃったんだ。つられて俺も笑顔になっちまう、こいつらがこんなにも温かい心を持ってたなんてまだまだ人間の可能性を見誤ってたのかもしれねぇな、この俺ちゃんともあろうものが。秋奈が俺を指さす、厳密には俺の頭部を指さしてるみてぇだった。「お前の頭は太陽みたいだな」そうか、情緒不安定な太陽って俺ちゃんの頭だったんだ……厳密には不安定だったのは頭ん中にある思考か胸ん中にある感情か、その両方かだ。ぶっ飛んだ人生なんて送らなくても幸せになれるんだ、大切な友達や恋人と過ごす時間、それにスパイスとなる嗜好品、穏やかな生活、これらがあれば俺は生き過ぎた快感からは身を置くことが出来るだろう。凡人で良いじゃねぇ、凡人で結構だ、凡人で構わねぇよ、マジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでさぁ。ありがとうなお前ら、俺に人間らしさを取りもどさせてくれて、本当に感謝だ。本当はすべての物事に感謝できるようになれれば良いんだけど、今の俺にはまだそれが出来ねぇでいる。いつか俺も変わるんだろうか、だなんて考えながら背後にある太陽を見る。そうか俺ちゃんは太陽を背にしてたのか、いつも俺らを照らしてくれてありがとう、ってセリフは口からは出ねぇ。臭過ぎて恥ずかしいから脳内でつぶやいただけだ。だけど俺の気持ちちゃんと届いてるよな、太陽よ。「じゃあ帰るわ。お前らとはここでお別れだな」永遠に永久に悠久にもう会う事はねぇだろう。「ちょっと待て、まだやり残したことがあるだろ」秋奈の言葉に俺ちゃんは首をひねって頭上にクエスチョンマークを浮かべそうな勢いを発揮しちゃった。やり残したことって何だろう、と思って振り返るとミザリーがチンぐり返りして、何やら息んでた。「う、産まれるっー!」んでヒクついた肛門から下利便を噴射した、と思ったら何かが転がった。近づいてそれを見ると魔法少女キューティーデビルのフィギュアだった。もちろんミザリーの糞にまみれてる。「それはちょっとやり過ぎだろ」と思いつつ俺ちゃんは大笑いしちまった。大切な友達や恋人と過ごす時間、それにスパイスとなる嗜好品、穏やかな生活、そしてちょっとしたユーモア。でも今のミザリーのユーモラスな行動は下品過ぎて今の俺ちゃんには合わねぇ。爆笑なんかしなくても普通に笑えば良いんだ、そのくらいが丁度良いんだ、って強く強く強く強く強く強く強く強く思っちゃったね。いや、これは今後の俺ちゃんの生き方を左右する決意に近い感情だ。それが胸んなかで静かに鼓動してるのを体感する。「じゃあ、後は我が社の社員が片づけるから、もうお前ら行っていいぞ。二度と顔を見せるなよ」そうか秋奈も快感の果てに俺と同じもんを見い出してたのか、この俺ちゃんよりも遥かに先に。「さよならだね」「そうだな」マカロンが潤んだ目で見てくるからちょっとだけ心が揺れそうになっちまったけど、こいつは紛れもねぇ男だ。「僕が普通の趣向になったらまた会いたいですね、でもLINEブロックするでしょう? もしくはアカウントごと消去するか」八重の言った通り俺はアカウントを消去しちまうだろう、んで今の人間関係を清算するつもりだけど、人間関係の清算なんてそう簡単にいくかなぁ、とも思っちゃうわけ。捨てるのは簡単で維持するのは難しい、ってセリフがこの時俺ちゃんの頭んなかに浮かんだ。なるほど、そういう事なのかよ、創造主よ。もう俺ちゃんが創り上げた紛い物の創造主はいらねぇ。祈るなら本当の神や仏に祈りてぇ、ってか後始末大変だろうな、特にミザリーの糞。秋奈の会社の社員可哀想に、ってまったく関係のねぇ会ったことのねぇ人に対して同情しちまう僕ちゃんは何て何て何て何て何て何て何て何て人間らしいんだろう。俺は酒は止めようと思った、だって酔っ払うと正常な判断力が鈍るんだもん、人間性を変えるしさ。ついでにタバコも止めたいけどニコチンくらいは良いだろう、ってか止めれる自信がまったくねぇ。それに禁煙したら散歩がてらに喫煙所まで行って吸うっていう運動する時間が無くなっちまう。もちろん部屋でも吸うけどね、お日様の光を浴びねぇと人間は精神が不安定になっちまうからね、ってちょっとだけ言い訳じみてる愛煙家の僕ちゃん。タバコよ、お前のこともマジで愛してるぞ、だってさ職人の愛情や静かな情熱によって作られてるんだぜ。ウイスキーだってそうかもしれねぇけど、蒸留所で働く人たちの愛情がつまってるのかもしれねぇけど、アルコールは人を変えちまうら酒とはさよならだね。ありとなウイスキー、まぁほろ酔い程度にとどめるぐらいなら良いと思うけどさ。んでもって愉快な仲間たちってやつらと別れた後あれ以来会ってねぇ、LINEのアカウントも消したし、アパートの窓も修復した。今の俺ちゃんの嗜好品は相も変わらずタバコと、あと酒からコーヒーに変えた、ペプシネックスも少し飲む。炭酸の爽快感を味わいながらタバコ吸うのは最高だからな、けどけどマナーは守って吸うようになった。喫煙禁止エリアでは絶対吸わねぇし、ポイ捨てもせずに携帯灰皿を持参するようになちゃった。今俺は部屋の掃除をしてる最中で、糞とションベンは綺麗にふき取って雑巾をゴミ袋に入れて持ち手を縛った。後はこれを燃えるゴミの日に出すだけだけど、ちゃんとゴミは選別してから指定日に出さなくちゃいけねぇ、ってかそうしてぇ。小休憩に喫煙所まで行くか、その前にコーヒー飲みてぇな、インスタントコーヒーにスキムミルク入れるとマジで美味いんだよなぁ。俺は冷水にも溶けるインスタントコーヒーをグラスに入れてその上からスキムミルクを振りかけて氷を入れて水道水を注いだ後で、指でかき回してから飲んじゃった。飲んじゃったんだ。ウイスキーは全部捨てた、したら段々痩せてきた。身体も動かしてるからかなぁ、って思っちゃったけど、色んなもんの相乗効果で痩せ始めたんだろ、ダイエットするつもりなんて微塵もなかったけど、よく考えりゃあの体型も見苦しいし、今の俺にゃ丁度良いのかもしれねぇ。太ってても魅力的な人間は多いんだけどね、内面的な魅力を保持してるやつらが多い印象も受けるけど、ぽっちゃりした体型も悪くねぇじゃん、って思っちゃうわけ。んでもって窓から外の景色を眺めながらコーヒーを飲んでると、以前駐輪場で口論した女が帰って来るのが見えた。池田さんっていうらしくて、俺ちゃんの隣の部屋に住んでる人だ。俺らはあの日ケンカしたけど、今更ながら自分の思いやりのない態度や言葉を池田さんに謝った。謝ったんだ。そしたら笑顔を浮かべて俺のことを許してくれた。良かった良かった一件落着ってほど楽観的な性分じゃねぇ俺ちゃん、捨てるのは簡単、手に入れるのは難しい、維持するのはもっともっともっともっと難易度が高いと思ってる俺ちゃんはなるべく人に対して思いやりを持って接するように心掛けてる、けど至らないところもありまくりで結構失敗こいちゃう時もままある。そんな時は相手が許してくれるまで誠意を持って謝るか、一端距離を置くかのどっちかを選択してる。関係がこじれる程の強烈な失敗は今んとこしてねぇけど、他人事じゃなくていつか俺も取り返しのつかない失敗をしちゃうのかもしれねぇ、って考えると怖くなって全身が震えちまう時もある。あるんだ。でもそれも人間らしさだと思って受け入れるしかねぇのかなぁ。部屋を出るとき床を見るとビニールの紐に縛られた女物の服やキューティーデビルの衣装が視界に入った。あれは捨てる、確実に捨てる、過去の俺ちゃんは消せないってやつだけど、俺は成長しつつあるんだ、やっと人間らしくなれる気がしちゃうんだ。玄関の鍵を閉めたところで、池田さんに声をかけられた。「お出かけですか、私は今帰ってきたところです」「俺はちょっと散歩してきます。喫茶店にでも行こうかなと思って」「それなら駅前に落ち着けるお店がありますよ」池田さんから素晴らしい情報を仕入れた俺ちゃんはさっそく喫煙出来るらしい喫茶店に行こうと歩き出した。煎れてたのブレンドコーヒーを飲みながらタバコを吸うか、なかなか穏やかな時間が過ごせそうだ。そうだ、喫茶店に行く前に小説でも買ってくか。前買ったの読み終わっちゃったんだよねぇ、って新たな趣味である読書に夢中な僕ちゃん。ウイスキーとタバコと女装から、コーヒーとタバコと読書に趣向が変わったか、本当に昔の俺ちゃんが毛嫌いしてた平凡な日々ってやつを今の俺ちゃんは送っちゃってるね。でも良いんだ凡人で、初めからミザリーたちとつるんで遊ぶのは性に合わなかったんだ。もしくはあの時は自分にフィットしてたのかもしれねぇけど、俺ちゃんは日々変容してるから今の自分には合わなくなっちまっただけなのかもしれねぇな。だってさ、あの日々を、アイツらを否定したくないからさ、すべてを肯定出来るほど心が広ければいいんだろうけど、それが出来ねぇのが人間ってもんでさ、んー難しいね。んでもって俺ちゃんは駅前のデパートにある本屋に行って所狭しと並べられてる本をながめて楽しむ。表紙を見るだけでも面白いんだよね、どんな内容なのかなぁ、って想像しながら小説を買う時のワクワク感と来たら他には代えがたいもんがあるぜ。もしかして読書してる時と同じくらい本を選ぶってのは楽しいのかもしれねぇな。以前の俺ちゃんだったら即行でエロ本を買うか漫画のコーナーに行ってたんだけど、今は小説にハマちゃってる、むしゃぶりつくようにして読んでる、読書に没頭してる時間もお気に入りの過ごし方の一つだ。穏やかな生活なんて大して楽しみ方の選択肢がねぇと思ってたけど興味のアンテナってやつを張ってれば面白いことは尽きることを知らねぇ、底なし沼みてぇなもんだ。底なし沼ってのは語弊があって、海みてぇなもんだって表現した方がしっくりくるじゃん。そうじゃんそうじゃんそうに違いねぇじゃん。読書してから脳内の語彙力が豊富になったのもかもしれねぇ、楽しむだけじゃなくて勉強にもなるのかよ、読書って素晴らしい学ぶって何て素晴らしいんだ、って分かった気になっちゃうけど、俺ちゃんはこの時本当に心の底からそう思った。思考、思考、思考、思考の渦巻き、って脳内で即興の歌を流して遊んじゃう。遊んじゃうんだ。地味だけど穏やかな生活は俺の心を優しく柔らかく温かくしてくれちゃう。くれちゃうんだ。今の俺ちゃんはあの日以後の俺ちゃんであって、あの頃よりだいぶ成長した、とは思うんだけど実際のとこどうなんだろ、分からね。もっともっともっともっともっともっともっともっともっと本から楽しみながら色々学べればその謎を解き明かせる日が来んのかなぁ、来ないのかなぁ、来て欲しいなぁ、絶対に来るに違いねぇ! んで俺は純文学ってジャンルの本を初めて買って喫茶店でコーヒーとタバコを嗜みながら読書キメちゃった。キメちゃったんだ。一時間ぐらい喫茶店にいて、これ以上いたらマスターに迷惑かなと思ってキリの良いところで引き上げた。俺ちゃんは栞の代わりに付箋をつかって読んでる、そのほうが何処まで読んだか分かりやすいからだ、一目瞭然だからだ。あーアイツらに会いてぇな、勘違いしてもらっちゃ困る神や仏よ、アイツらってのはミザリーたちの事じゃなくて、二十代の頃の俺ちゃんを救ってくれた三人の本当の親友たちの事だ。幼馴染件親友、今は疎遠になってるけどまた再開して今度は居酒屋で酔いつぶれるほど飲むんじゃなくてレストランでメシやコーヒーなどを嗜みながらおしゃべりに興じてぇ。積もる話がありまくりじゃん、俺ちゃんミネチンと真吾と茂木に会ったら自分の失敗談を話して笑いを取ろう、っていう腹積もりだ。失敗談なら腐るほどある、もちろん俺ちゃんにだって隠してことはたくさん山ほどあるけど、それも話すべきかなぁ、いや誰にだって隠したい事はあるよな。僕ちゃんは馬鹿正直にはなれませんでした、けどけどでもでもけどけどでもでも思いやりのある人間にはなりてぇ、俺ちゃんが目指してるのはそれだ! んでもってあの愛するボロアパートに帰るのは止めにして何処かに寄ってこうと思っちゃった。思っちゃったね。そうだな、この季節は公園が良い、俺は今長袖を着てるけど、今は春だけど、こんな晴れた日には日光浴しながら読書してぇな。雨降んないと良いけどな、予報では夕方ぐらいに曇りだから、今日は晴れのち曇りだ。本の続きが気になるんだよな、漫画やアニメは動で、小説は静って感じの印象を受ける的な何か症候群気味な僕ちゃんの脳内はとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとっても静かな状態だ。これは脳内が心地いいって感じで、アルコールを摂取しなくてナチュラルハイでぶっ飛べちゃう。ぶっ飛べちゃうんだ。楽しい遊びか、確かにあれは刺激的だけど何かを破壊する行為でもあったな、それこそ人や物だけじゃなくて、目に見えねぇ概念的な何かすら壊しちまってた。俺はいま再生を望んでる、これ以上ねぇくらい望んでる、自分の人生を再生させるんだ俺ちゃん。破壊と再生ってやつか、ミザリーたちと過ごした日々は破壊で、今の穏やかな日々は再生ってとこかな。俺は何かを再構築してるんだ、多分精神を……それは自分と向き合うことでしかできねぇ一種の神聖な儀式めいたもんに違いねぇ、って今まさにこの俺ちゃんが決めちゃったんだもんね。んでもって俺ちゃんは本を大切にショルダーバッグに仕舞うと喫煙所で一服してから公園に向かっちゃった。向かっちゃったんだ。公園に着くまでも道のりすら楽しんでる自分がいる。以前の俺ちゃんも植物や動物には興味があったんだけど、思考でそれを否定してた。今は出来るだけ自分の心に素直でありてぇよ。自分の一番大切なもんには正直でありてぇよ、それ以外のことでは策略を用いたとしても一番一番一番一番一番一番一番一番最上級に最大限に俺の中で大切な物事には愚直でいてぇよ。愚かで良いんだ、素直でさえあれば。んで公園にたどり着くと、子供が遊具で遊んでたり老人が散歩してるのを視界が捉えちゃった。捉えちゃったんだ。俺ちゃんはというとベンチに腰かけて本を取りだした。子供が無邪気に遊んでるし、老人もいるから喫煙は止めとこう、今日は読書だけにしとこう、って決めちゃったね。これが本来の俺ちゃんなのかな、それとも精神が前より純化しつつあるのかな、実際のとこは今の俺の頭じゃ分かんねぇけど、感じ取ることは出来る。胸に広がってる静かに鼓動してる感情の正体を確かめようとそっと胸に手を当てた。何だろうこの感情は……色々なもんが混ざり合ってるけど、根底にあんのは愛とスパイスぐらいの快感ってとこだろうか、やっぱりそうなのか。俺ちゃんは本を広げて読書に集中しようとしたけど、目が字を追うけど、言葉の意味が上手く頭に入ってこねぇ。やっぱりこれは感情を感じるべきなんだそうなんだ絶対そうだそうに違いねぇ。情熱、愛、行き過ぎない快感、って言葉が胸に手を当てて浮かんだ言葉たちだった。俺ちゃんはこの胸ん中に静かに存在する決して消えねぇ感情と、それに連動した思考を大切にして生きていきてぇ、って強く思った。そして目をつぶり残光を視覚神経で感じ取る。暗闇の中の弱々しいけど決して消えない光は、華やかなもんだな、と思っちまった。その映像と胸んなかの感情と頭んなかの思考を連動させて遊ぶ、いやこれは遊びでも呪術でも儀式でもねぇ、紛れもない祈りなんだ、って自覚した瞬間に俺ちゃんの内部からほとばしり出る静かな情熱、情熱、情熱、情熱。何かをしてみたいって欲求、勘違いしてもらっては困っちゃうのよねん。神か仏よ、これは欲望ではなく欲求の一つなんだ、ってこれは間違いなく断言出来ちゃう。出来ちゃうんだ。だから俺は祈る。明日はもっと思いやりが増しますように、って人に優しくなれますようにって、親切に接することが出来るようになりますようにって。

© 2026 三沼薫 ( 2026年1月14日公開

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