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これは文学ではありません、が、おいしいカレーの作り方は書いてあります

第41回文学フリマ東京原稿募集応募作品

破滅派

(反文学×食×生活×すべての終わり)
最終回。この本は文学ではない。けれど、読み終わったあなたは、明日カレーを作っているかもしれません。あなたの自由意志で。
※この作品は生成AI(Gemini 2.5 Flash)で作成しました。

タグ: #AIが生成 #第41回文学フリマ東京原稿募集

小説

3,118文字

最終回。

ぼくは、この原稿を書き終えたら、もう二度と書くことはないだろう。

それは、もう書きたいことが何一つとして残っていないからだ。

いや、違う。正確には、書きたいことも、書くべきことも、すべてがこの原稿の中に収束してしまったからだ。

最終回と銘打ってはいるが、ぼくの書くものは、最初から「最終回」だったのかもしれない。だって、終わりからしか、物事を語ることはできなかったから。

ぼくの物語は、いつも、終わりから始まる。

たとえば、それは、彼女との別れ。

たとえば、それは、夢の挫折。

たとえば、それは、この世界の終わり。

この世界は、もうじき終わる。

そう言ったのは、ぼくの隣に座って、うつろな目で窓の外を眺めていた男だった。

「もうすぐ、全部終わるんですよ」

男は、ぼくの書きかけの原稿を覗き込みながら、そう言った。

「全部って、何が?」

「全部ですよ。ビルも、電車も、空も、海も、人間も。全部」

男は、まるで、あたりまえのことを言っているかのように、淡々と続けた。

「まあ、でも、最後の晩餐くらいは、いいものを食べたいですよね」

男は、そう言って、にこりと笑った。

ぼくは、男の言葉に、何も返すことができなかった。

ただ、男のうつろな瞳の中に、ぼくの知らない「終わり」が見えたような気がした。

男が帰った後、ぼくは、男が残していったメモを読んで、呆然とした。

「最後の晩餐に、最高のカレーを」

メモには、そう書かれていた。

その下には、カレーのレシピが、やたらと丁寧に、几帳面に書かれていた。

ぼくは、そのレシピを、何度も何度も読み返した。

読み返せば読み返すほど、レシピは、ただのレシピではないような気がした。

それは、まるで、この世界に贈られた、最後のラブレターのように思えた。

最後の、そして、最大の、文学。

それは、終わりから始まる、ぼくの物語。

 

おいしいカレーの作り方

材料:

  • 鶏肉:300g
  • 玉ねぎ:1個
  • 人参:1本
  • じゃがいも:2個
  • カレールー:1箱
  • 水:800ml
  • サラダ油:大さじ1
  • バター:10g
  • にんにく:1かけ
  • しょうが:1かけ
  • トマト缶:1/2缶
  • ヨーグルト:大さじ2
  • ガラムマサラ:小さじ1
  • クミン:小さじ1

作り方:

  1. 鶏肉を一口大に切る。玉ねぎは薄切り、人参、じゃがいもは乱切りにする。
  2. 鍋にサラダ油を熱し、にんにく、しょうがを炒める。香りが立ったら、玉ねぎを加えて、きつね色になるまで炒める。
  3. 鶏肉を加えて炒める。鶏肉の色が変わったら、人参、じゃがいもを加えて、全体に油が回るまで炒める。
  4. トマト缶を加えて、水分を飛ばすように炒める。
  5. 水を加えて、沸騰したらアクを取り、蓋をして、弱火で20分煮込む。
  6. 火を止めて、カレールーを溶かし入れる。
  7. ヨーグルト、ガラムマサラ、クミンを加えて、よく混ぜる。
  8. 弱火でとろみがつくまで煮込む。
  9. 最後にバターを加えて、風味を出す。
  10. ご飯を盛った皿に、カレーをかける。

 

ぼくは、このレシピ通りに、カレーを作った。

男が言うように、この世界が終わるというのなら、せめて、美味しいカレーを食べて、終わりたいと思ったから。

カレーを作っている間、ぼくの頭の中は、からっぽだった。

ただ、ひたすらに、レシピに書かれた手順をなぞるように、手を動かしていた。

玉ねぎを炒める。

にんにくとしょうがの香りが、部屋いっぱいに広がる。

それは、まるで、ぼくの空っぽになった心の中に、何かを植え付けるような、そんな匂いだった。

煮込む。

ぐつぐつと音を立てる鍋の中。

そこには、ぼくの人生の、すべての終わりが詰まっているような気がした。

挫折も、後悔も、絶望も、そして、希望も。

仕上げに、バターを溶かす。

黄金色に輝くバターが、カレーの表面を覆う。

それは、まるで、この世界に、最後の祝福を与えるかのように。

ぼくは、カレーを、ご飯の上にかけて、一口食べた。

熱くて、辛くて、そして、とても美味しかった。

ぼくは、このカレーを食べて、初めて、この世界が終わるということを、受け入れることができたような気がした。

いや、違う。

受け入れたのではなく、ぼくは、このカレーを食べて、初めて、この世界が、終わるのではなく、新しく始まるということを、知ったのかもしれない。

このカレーは、ぼくの人生の、最後のページに書かれた、最高の物語だった。

そして、それは、ぼくの人生の、最初のページに書かれた、最高のレシピでもあった。

ぼくは、このカレーを、この原稿と一緒に、この世に残す。

そして、この原稿を読んだあなたは、きっと、明日、カレーを作るだろう。

それは、文学でも、物語でもない。

ただの、おいしいカレーの作り方。

けれど、それは、あなたの人生を変える、最高のレシピになるかもしれない。

この世界が終わる、と男は言った。

それは、事実だった。

ぼくがカレーを食べ終えた後、空は、ゆっくりと、黒く染まっていった。

まるで、誰かが、絵の具をぶちまけたかのように。

ビルが、音もなく、崩れ落ちていく。

電車が、脱線し、火を噴きながら、道路を滑っていく。

人々は、悲鳴を上げ、混乱し、そして、静かに、消えていった。

ぼくは、ただ、窓の外を眺めていた。

ぼくの心は、不思議なほど、穏やかだった。

ぼくは、この原稿を書き終えたら、もう二度と書くことはないだろう。

それは、もう書きたいことが何一つとして残っていないからだ。

いや、違う。正確には、書きたいことも、書くべきことも、すべてがこの原稿の中に収束してしまったからだ。

ぼくの物語は、いつも、終わりから始まる。

そして、それは、いつも、カレーで終わる。

ぼくは、最後のページに、こう書いた。

「あなたは、明日、カレーを作る。あなたの自由意志で」

それは、この世界に贈られた、最後のメッセージ。

そして、それは、あなたの人生に贈られた、最高のレシピ。

さて、そろそろ、夜も深まってきた。

もうすぐ、ぼくの物語も、終わる。

これは文学ではありません、が、おいしいカレーの作り方は書いてあります

この本は、ぼくの人生の、最後の記録だ。

そして、それは、あなたの人生の、最初のレシピでもある。

あなたは、明日、カレーを作るだろう。

それは、ぼくが作ったカレーと同じ、おいしいカレーになるだろう。

なぜなら、それは、あなたの人生の、最高のレシピなのだから。

そして、あなたは、そのカレーを食べながら、ぼくの人生の、最後のページを読むだろう。

そこには、こう書かれている。

「お腹が空いた。カレーが食べたい」

ぼくは、そう書いた後、ペンを置いた。

そして、窓の外を眺めた。

夜空は、もう、ほとんど、黒い。

星も、月も、何も見えない。

でも、ぼくは、知っている。

この暗闇の向こうには、きっと、新しい朝が待っている。

そして、その朝には、おいしいカレーが、ぼくを待っている。

ぼくは、そう信じて、眠りについた。

この本は、文学ではありません。

ただ、おいしいカレーの作り方が書いてあるだけです。

でも、あなたの人生の、最初のページに、この本が書かれていることを、ぼくは、願ってやまない。

なぜなら、それは、あなたの人生が、まだ、始まったばかりだという証拠なのだから。

お腹が空いた。カレーが食べたい。

ぼくは、そう思うと、ゆっくりと、立ち上がった。

キッチンには、昨日、ぼくが作った、おいしいカレーが、残っている。

温めて、食べよう。

そして、明日も、明後日も、ぼくは、カレーを作るだろう。

それは、ぼくの人生の、最高のレシピ。

そして、それは、あなたの人生の、最高のレシピ。

だから、あなたは、明日、カレーを作るだろう。

あなたの自由意志で。

ぼくの物語は、ここで、終わり。

そして、あなたの物語は、ここで、始まる。

さあ、あなたの物語の、最初のページに、何を書き始める?

それは、あなたの自由意志で。

© 2025 破滅派 ( 2025年9月2日公開

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