一連の事件は保安長官であるジョセフ・ウィルソンによって計画され、彼およびその協力者によって実行された。動機はジョーデンタウン保全のためである。順を追って説明する。
第一の殺人
アルフレッド・デントはジョセフ・ウィルソンによって殺された。
ジョセフはジョーデンタウンのあちこちに置かれたマイクで拾った調査員とデントの会話から、デントが弁護士ではなくチャールズ・クラークの雇った調査員であることを知り、ジョーデンタウン保安のために殺害を計画した。
ジョセフは調理場から包丁を持ち出し、デントが部屋を出たあとをつけてトイレでデントの背後に近づき殺害しようとするが気づかれてしまう。叫び声を上げながら逃げるデントをジョセフは追いかけ、デントが部屋の鍵を開けて中に入ると同時にデントの背中を刺しながらデントと一緒に部屋の中に押し入った。何度も背中を刺すうちに包丁は刃と柄が分かれ、デントは護身用に持っていたナイフを取りだしたところで息絶えた。ジョセフはデントが持っていたナイフを凶器に見せかけ、自身が着ていたレインコートと自分の部屋の鍵をデントの部屋に置く。そして、デントのレインコートの中にあった鍵でデントの部屋に鍵を掛け、デントのレインコートを羽織って調理場に向かい包丁を洗って返してから自分の部屋に戻った。
翌朝、ピーターと共にジョセフはデントの死体を発見する。その後自分の部屋の鍵をデントの部屋の鍵とすり替えた。
ここで問題となるのはQの証言であるが、Qは証言をした時点では教団の信仰を捨てていない。幻想の中で生きていた。よって、デントが叫び声を上げながら包丁を持ったジョセフに追われていることなどジョーデンタウンではあってはならないことだと考え、デントが一人叫び声をあげながら走って部屋に戻ったと記憶を改変したのである。
第二の殺人
ジョディ・ランディの死は狭心症発作ではなく、青酸カリウムによる薬殺であり、犯人はジョセフもしくはジョセフに指示された協力者である。
犯人は一日目の朝食から夕食までの間にジョディのピルケースの中に入っている狭心症の薬カプセルの中身のいくつかを青酸カリウムと入れ替えた。ジョディは青酸カリウム入りカプセルを二日目の朝食時に飲み、その後学校で行われたインタビュー中に死亡した。二日目の朝食時に飲んだのはたまたまであり、青酸カリウム入りカプセルを飲むのが一日目の夕食時だったもしれないし、三日目や四日目だったかもしれない。……などと考えはしたが、飲んでからおよそ三時間後に溶けるカプセルなどないだろう。トリカブト事件のように時間差で毒の効果が発現するように調剤されていれば可能かもしれないが、専門的な薬の知識を必要とする解決は美しくない。
なお、ブランカのクッキーを持ち出したのはインタビュー前にブランカが開けた窓から侵入したヤブイヌである。が、事件とは何ら関係がない。
第三の殺人
イ・ハジュンを殺したのはジョセフから指示を受けたフランクリン・パーテインおよび協力者(Wである可能性が高い)である。
監房の鍵を持っているのはフランクリンであり、第一牢舎で大塒とりり子が事件の推理をしながら夜を明かしているなか、殺害現場である第二牢舎に出入りできたのはフランクリンただ一人である。ではどうやって車いすのフランクリンがイを殺害することができたのか、それはイが大量の蜂に刺されためアナフィラキシーショックを起こしたからである。協力者は第二牢舎の通気口から蜂の巣を投げ込み、蜂に刺されたイが弱ったところでフランクリンが鈍器で撲殺した。凶器は不明だが車いすに隠してイの監房に持って行ったのだろう。フランクリンはイを殺害したあと、刃物で上半身と下半身に分離、車いすの足の部分にイの下半身を乗せパビリオンに運びステージの上に乗せる。二時間後にまたイの監房に向かい、上半身を車いすに乗せてパビリオンまで運んでステージ上に乗せた。犯行時刻は夜中である。暗がりの中、複数回フランクリンが第一牢舎を通ったとしても、大塒たちは彼が死体を乗せているとは気づかなかった。また、フランクリンは記憶障害を患っている。それをジョセフは利用したのかもしれない。
第四の殺人
りり子を殺したのはおそらくWだ。
おそらくと書いたのは、この殺人に関しては情報が少なすぎるため、大塒がりり子を探しに行くときに見かけたWが犯人なのだろうと考えるしかなかった。手に巻いた数珠を無くすという状況は考えにくいため、りり子は真相を探るためにジョーデンタウンに戻ったところをWに見つかり殺されたか、もしくはWの誘いに乗り戻って殺された。動機は集団自殺を決めた教団にとってジョーデンタウンに生者は必要ないからだ。子供でも大人の女性を殺すことができる何かしらのトリック、霊園管理人に見つからないように霊園の中に入る何かしらのトリックを使ったはずだが分からなかった。しかし、殺し方がどうであるにせよ、子供が実行出来ることではないだろう。冒頭の事件の犯人のように「見た目は子供、頭脳は大人」なのかもしれない。
最後に三日目の最後、監房の中で有森りり子が大塒に一連の事件は学校の校長先生レイ・モートンが犯人だといった件だが、これはフランクリン聞かせるため、もしくは近くに置かれているであろうマイクに拾わせるせるためについた嘘である。真相にたどり着ていないと思わせていたほうが都合がよかったからだ。演説をするまでに殺されないため、演説によってジョーデンタウンの信者を守るため、そして大塒を守るためであった。
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