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🧠ねこ男爵のあたまのなかみ🧠「方言礼賛」

ねこ男爵

吾輩は「ねこ男爵」という。よろしく頼む。本稿は方言の魅力と鹿児島弁の異質さについて面白おかしく、1500字程度に凝縮しておる。笑っていただければ幸いである。

タグ: #ユーモア #散文

エセー

1,553文字

吾輩は割と方言が好きである。
殊更、日本独自の文化というわけではないが、方言にはえも言われぬ魅力がある。
吾輩は生粋の長州人であるが、特に広島弁と博多弁を好む。

 

全国放送で元カープの立川光男が出てくると共感性羞恥が発動し、面白くて仕方ない。
広島弁で捲し立てる姿は広島の英雄と言っても差し支えあるまい。
特に「仁義なき戦い」や「狐狼の血」などでのアグレッシヴな広島弁はアドレナリンが出るな。
他県民が聞く広島弁は「喧嘩をしている」ように聞こえるようだが、必ずしもそうではない。
言語が強力なだけである。

 

関西人が全国放送でも関西弁を崩さないのに対し、広島人や福岡人は割と方言を隠す習性があり、少々残念に思っておる。
全国放送でもお国言葉を炸裂させて欲しいものである。

 

博多弁はまだ理解できるが、これが宮崎の一部地域や薩摩弁となると理解が困難になってくる。
例えば、
「ようこそいらっしゃいました。」
を宮崎弁に翻訳すると

「ゆ、おさいじゃした。」

 

となる。
一聴して分かるはずはないが、よくよく分解すると、「ようこそ」が「ゆ」に圧縮され、「いらっしゃいました」が「おさいじゃした」に変換されておることに気づく。
これならまだ時間はかかるが何とか分かる。
問題は薩摩弁である。

「おじゃったもんせ」

 

である。
分かるわけがない。
どこをどうすればそうなるのか?
全く意味が分からん。
対して吾輩の地元である長州弁では、
「ようおいでました」
である。
明治期の標準語策定時期に長州人が多く関わったためか、まぁ、理解の範疇だろう。

ここで一つの謎がある。

薩長同盟である。

 

西郷隆盛と桂小五郎は本当に意思疎通できていたのか?
はっきり言って薩摩弁を長州人が理解するのは不可能である。
しかも敵対していた薩摩と長州が結んだのだから、言語の壁をどう乗り越えたのかが非常に気になるところである。
ここでキーマンとなるのが坂本龍馬だ。
この男のコミュ力が半端でないことは読者諸君も十分に理解しておると思うが、吾輩の仮説では、龍馬が西郷と桂を取り持つにあたり、

「都合のいいようにテキトーに翻訳したのではないか?」

 

というものである。
両者の大義は討幕で一致しておるので、ここで龍馬がテキトーに翻訳しても大筋はブレず、問題にならぬ。
信じたか?

冗談である。

 

実際には当時から武家は江戸詰め勤務があったので、当時は体系化されておらぬだろうが、一定の共通語のようなものが存在したはずで、それに基づいて同盟交渉がなされたものと推定する。
しかし、それをもってしても、さっきの冗談の仮説が成立しうるのではないかと疑ってしまうほど薩摩弁は難解である。

 

戦国時代などでは間諜が島津領に入って言葉を発した瞬間に「余所者」と露見してしまうであろう。
しかも、間諜には薩摩人の言っておることは全く理解できぬ。
間諜は余所者認定された時点で有益な情報は回ってこないが、加えて薩摩弁が理解できないので、そもそも間諜の情報収集任務は甚だ困難である。
間諜的には仕方がないので、夜陰に乗じて城郭に侵入し、リスクを冒して文書の窃取を試みる他ないが、苦労の果てに盗み出した文書が薩摩弁で記されていたら即投了である。
そういう意味で、薩摩弁は言語自体が暗号化されていると言ってよく、実に堅牢なセキュリティシステムとなっておる。

 


 

ねこ男爵所感

薩摩弁の難解さが気になる諸君はYouTubeに1965年収録のコアな薩摩弁が上がっているので見てみるといいだろう。
もはや日本語とは別体系の言語ではないかと疑うほど難解で、字幕がないと理解不能である。
1965年でこれであるので、幕末まで遡るとおよそ我々には理解出来んだろう。

© 2026 ねこ男爵 ( 2026年3月23日公開
※初出 note 2025年12月10日

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