わたしは折り紙を折るのが大好きでした。
わたしは「三ツ首のツル」という折り紙を作っていました。
わたしは「つる、つくってね」と書かれた職員室の前にあるボックスの中を見ました。
「・・・ツル」
◆ ◆ ◆
わたしは友達のKさんと同じく友達のTさんにも折り紙を貸してあげて、三人でツルを折りました。
キャラクターがかかれた、クリアファイルの中に折り紙を入れて。
そしてわたしが外に出ている時────事件は起こりました。
「・・・あれ?待って・・・折り紙が、無い・・・」
わたしが取ってきた折り紙が、消えていました。
それを取った奴は解っていました。
Iさんです。
◆ ◆ ◆
「ボランティア委員会が用意していた、ツルのための折り紙が不正使用されていました」
ボランティア委員会の委員長のSさんが、帰りの会、「皆からのお知らせ」の際、そう発表しました。
そしてボランティア委員会副委員長、Iさんがわたしをぎろりと見て、言いました。
「これが不正使用犯の使っていたファイルでーす」
いつの間に。
わたしは穴があったら入りたくなりました。
きっとKさんやTさんもそうだったでしょう。
◆ ◆ ◆
わたしは知らんふりをして帰ろうとしました。
しかし。
Iさんはそれを許しませんでした。
「おい、カーナーター」
Iさんは小柄ですが、怪力で怒りっぽく、わたしは苦手でした。
Iさんは私のランドセルを掴みました。
「逃げようとしてんじゃねーよ。お前のだろ、あぁ?」
わたしはそれが彼の「キャラ」だと知っていました。
早い話、彼は自分が強い存在であると見せつけるため、わざとこんな言い方をしているのです。
わたしはそのことを知っていたから、そこまで怖いとは感じませんでした。
「うん、そうだけど」
「ツルじゃねぇもん作ってんじゃねぇよ」
わたしは笑いそうになりました。わたしが折っていたのはツルです。三ツ首の。
「ツルだけど。ほら」
わたしは二匹のツルを見せました。
するとIさんは、
「そういう問題じゃねぇよ」
と言いました。
「一日中折ってたにしてはすくねぇなぁ?おい、なんとか言えよ」
わたしはだんだんふつふつと怒りが込み上げてきました。
お前らが捨てたんだよ。
わたしが席を立った時、
「何この席、ゴミだらけじゃん」
と、私が折ったツルを捨てていました。
ですが、私がそういう前にIさんはわたしのランドセルを掴んでいた手を離しました。
「もうめんどくせぇからいいわ。帰ろ」
彼はとても飽きっぽかったのです。
これは、全て事実です。
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