黒いスーツに茶色に犬のダルメシアンのデザインが描かれたネクタイ。短髪にポンっと1本の毛がカールしている。
まだ若い男で38歳だ。この男は今日から入浴剤メーカーブランド「glint」に入社した。
会社内を堂々と歩く。仕事は、事務、販売、製造、管理の4つだ。
普通は部門として、選んで仕事をするが、この男は優秀ゆえにすべて受けた。役職は常務取締役。
名前はテホ・ウリアルテ・ウォーレス。
会社に入ると、すぐさま常務取締役室という個室に入る。
中に入ると、デスクが1つ。そして、そんなに広くない。入れる人数は恐らく3~5人。
だが、凄く清掃されていて綺麗なオフィスだ。誰かが綺麗に掃除をしてくれたようだ。
テホはチェアに座ると、コンコン…… コココンコンコンと珍しいノックの叩き方をするやつが入ってきた。
やあ! 初めまして! 常務取締役様! 僕はアリリオです。アリリオ・ワーグナーです。
ほう。威勢がいいやつだな。
どうも。
君の役職と学歴は?
え? えーと一会社員で臭気判定士の資格保持とイーサク大医学部卒業です。この業界では今年7年目です。ですが、優秀です。そのネクタイ素敵ですね。
ああ、好きなんだ。何歳だ?
僕は29です。
なるほど、ひよっこだな。役職もついてない。
ひどいですね。この会社開業を記念で、あなたが責任者として選ばれて、みんなでお祝いしようと思ってたのに。
なるほど。それはいらん。
え? パーティーですよ? やらないんですか?
やらない。君たちでやりたまえ。
と、言った瞬間2人の男女が入ってくる。
えー! 行かないんですか!?
と、女性は言う。
この女性はハンナ・ローガン。この業界6年目の優秀で真面目な女性。
そうですよ!? テホ常務!
このおぼっちゃま君スタイルの髪型した男はミルチャ(ミルチア)・ポペスク。ルーマニア系の男性。
は? お前たちは?
あ、初めまして。私はハンナ・ローガンです。
そうか、君は?
僕はミルチア・ポペスクです。
そうか、で?
え? パーティーほんとに来ないの? 予約したのに?
ほう。では聞くがそのパーティーにはワインはあるのか?
もちろんですよ! バーでパーティするんですよ!?
どこのバーだ?
この会社でて2ブロック先の角のにある「スティックス」です。
す、スティックスだと!? 聞いたことないぞ!? 大丈夫なのか?
ええ、大丈夫です。僕達はいつもそのバーで呑んでます。
なるほど。そのバーにはなんのワインがある?
ジョージア産ワイン・ピロスマニがあります。
うむ。ピロスマエ? 珍しいものを扱っているな。良いだろう。では15分だけ行ってやる。
やったー! では今日の19時にスティックスに集合ですよ。
わかった。良いだろう。私のために素晴らしいパーティーにしてくれ。
はい! それはもちろんです!
と、アリリオ、ミルチア、ハンナは喜ぶ。
滑稽だな。
どうも、常務取締役殿。
褒めてない。貶している。
…… あそう。もう! 仕事しよ!
と、アリリオはふてくされてテホのオフィスから出た。
その後、ハンナとミルチアもオフィスを出る。
そしてあっという間に18時50分。あたりは暗かった。
オフィスを出たテホ常務はそのまま会社を出て、「スティックス」に向かった。
社員が開催するパーティー。素晴らしいパーティーにはなるのか。
テホは正直、行くのがめんどく思っていた。
ー ♯1 堅物テホ ー 続く。
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