僕は夢を見た。命令をされる夢。
「おい、おまえ!」
乱暴な料理長。
「はいっ、何でしょう!」
素直な僕。
「この魚の鱗の数を数えたまえ。剥がしながら数えたまえ。」
立派な髭をなでながら言う。眉間の皺はまるで轟渓谷である。
「ははぁ!」
素直な僕。
こうして僕はこの仕事に就いたのである。コツを掴んだのである。
数える時は目の前に鏡を置いて、剥がした鱗を舌の上にキレイに並べていく。
舌ベラが活きの良い魚のように蠢き始めたらそれが100枚なのだ。
天職である。かれこれ3年、もう少しで数え終わるし正職になれる筈である。
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