「輝き」

沢 吹

小説

264文字

僕は夢を見た。命令をされる夢。

 

「おい、おまえ!」

乱暴な料理長。

「はいっ、何でしょう!」

素直な僕。

「この魚の鱗の数を数えたまえ。剥がしながら数えたまえ。」

立派な髭をなでながら言う。眉間の皺はまるで轟渓谷である。

「ははぁ!」

素直な僕。

 

こうして僕はこの仕事に就いたのである。コツを掴んだのである。

数える時は目の前に鏡を置いて、剥がした鱗を舌の上にキレイに並べていく。

舌ベラが活きの良い魚のように蠢き始めたらそれが100枚なのだ。

天職である。かれこれ3年、もう少しで数え終わるし正職になれる筈である。

 

2012年4月22日公開

© 2012 沢 吹

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

"「輝き」"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る