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春05|アイの楽園—俺と彼女が犬に食べられるまでの365日

アイの楽園(第5話)

全滅

——ガチャガチャ!

タグ: ##純文学 #SF #サスペンス #ホラー

小説

417文字

5.自失ノ楽園

もう昼なのに、キーボードとモニターの中心がどうしても合わない。

「アキラ、大丈夫か?」

「大丈夫です!」

——今「大丈夫です」とマネージャーに答えたのは俺か?デスクに当たる肘の内側の骨が「ゴリッ」と転がる。

「昼入れ。疲れてるんだろ。」

「いえ、まあ、じゃあ頂きます。」

立ち上がった瞬間、天井と床が逆さまになった。

トイレの個室に駆け込み、便器に顔を突っ込む。冷たいはずの白い陶器が温かい。腹の底が突き上げられ、喉の奥から焼けるような匂いが湧く。

「お先に失礼します。」

「お疲れ。無理するなよ。」

退勤打刻を忘れたことを思い出した時、俺はすでに自宅のドアにもたれてしゃがみ込んでいた。鉄のドアの温もりが立ちあがろうとするのを邪魔する。

……夏生はまだ旅行から帰らない。ドアの隙間からはみ出ている破れたビニール傘を見て、俺はポケットからスマホを取り出そうとした。

——ガチャ!

心臓が飛び跳ねる。

——ガチャガチャ!

ドアノブも元気に跳ねている。

© 2026 全滅 ( 2026年1月31日公開

作品集『アイの楽園』第5話 (全16話)

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