3. 起動ノ楽園
⠀
その黒い巨大な獣は、彫像のように堂々としたポーズでベッドの上から俺を見下ろしていた。
⠀
俺はゆっくりと床に座り込む。
⠀
——会社に連絡、謝罪、すぐ出発。
⠀
「クソ食らえ。」
⠀
——俺はいつも……どうせまたやる。
⠀
「黙れ。」
⠀
——どうせただのクソバイト……黙れ!電話!
⠀
スマホを拾う。
⠀
電話アイコンを叩き、着信履歴の一番上へ向かう冷たい右手の親指。
⠀
「……はい……失礼します。」
⠀
家中のコンセントを全て引き抜き、ガスの元栓を閉じる。
⠀
床に散乱したガラスの破片をスリッパで部屋の隅に押しやり、ソファーを押し付けて隠す。
⠀
電話が切れてから2分後には、俺は会社への道を走っていた。
⠀
⠀
† † †
"春03|アイの楽園—俺と彼女が犬に食べられるまでの365日"へのコメント 0件