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にんじん

賑やかな食卓(第5話)

諏訪原 ぱすた

冬の乾いた土の匂いが部屋を満たしました。
それは地中から届いた最後の手紙です。

272文字

5.にんじん 地中の灯火

 

冷たい土の 暗闇の中で

あなただけは 灯をともしている

太陽の色を その身に写し

じっと 熱を蓄えながら

 

地中で揺れる 柔らかな葉は

光を集める アンテナ

吸い込んだ おひさまの輝きを

深く、深く、根へと注ぎ込む

 

掘り起こされた その姿は

大地の 健やかな体温そのもの

力強く まっすぐに伸びた橙色は

冬を耐え抜く 希望のしるし

 

包丁が通るたび 小気味よく

冬の空気が 鮮やかに色づく

煮こめば 優しくとろけだす

滋味あふれる 大地の甘み

 

彩りを 添えるのではない

あなたは 食卓の真ん中で

静かに 命を温める

土から生まれた 小さな太陽

© 2026 諏訪原 ぱすた ( 2026年1月23日公開

作品集『賑やかな食卓』第5話 (全6話)

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