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牛丼の歌

独り暮ら詩(第2話)

瀧上ルーシー

こ、これがアタマの大盛り……

627文字

これから日本語をマスターしていく途中のお人に注文して

アタマの大盛り頼んだよ

2秒で出てきたそれをフードコートで2分で食べた

うまい これが動物の肉か 魚肉は食ってたし、先々週唐揚げ定食も食べたけど

ひさしぶりの肉らしき肉だ

ひさぶりだぜ

 

雑踏の中で人々のゆらぎを感じる

僕だけじゃない

みんな信じる人などいないのだ

信じたつもりになって、それに酔っ払っているだけ

 

その点、栄養になるその一点に関して牛丼は本物だった

中上健次も土方仕事には人間の心のような綾がないと言っていた

彼は土方が好きだった、だっけ

 

本物の栄養と偽物の人間の心

 

いや本当はすべてが本当だった

ただの物質だ シナプスとシナプスの結合が僕に景色を見せて

悲観的にさせているだけ

 

さあ帰って酒を飲もう

終わりがくる宇宙船の中で

 

牛丼の値上がりも止まってほしい

 

そう言えば、誰も未来は知らないから、いつか時間が止まることがないとは言い切れない

止まった人間の意識は唯物的な考えで言えば何も考えないはずだが

それが気絶と同等には想えない

 

さあ、牛丼、明日も牛丼

コンビニ、牛丼 ファストフード

日本のひきこもり以外、みんなよころんで働くぜ

夜中に勉強して、仕送りして

 

そういう人がいる中、僕みたいのだけ恵まれている

恵まれているからこそ虚しい

 

牛丼牛丼

まだまだサバイバルフード

チーズ牛丼ふつうにうまいよね

はじめて食べたときぶったまげたよ

© 2025 瀧上ルーシー ( 2025年12月1日公開

作品集『独り暮ら詩』第2話 (全3話)

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