頭の中に鮮烈なビジョンが稲妻のように走った。
私はそのビジョンを見たとき、自分の百万回の失恋を悟った。
そのビジョンとは、金髪囲みメイク、やや豊乳色白な女が全裸でたるんだ腹をあらわにし正常位で彼氏にチンコを挿入されている、そういう実写だった。
私はいつも「俺より既婚者の方が一億倍スケベだよ。奥さんの身体を乗りこなすパイロットだからな」などと言いつつも、別に一人の女をイカせることが上手くてもどうでもよくね? 芥川賞の方が尊いだろ。チュ尊くてごめん、だよ。と思っていた。
しかし、そのビジョンを見たとき、そのビジョンが鮮明すぎて、
① 正常位。概ね出産のときと同じポーズだ。
② どんな美人でも多少醜くなるポーズだろう。
③ 美人の醜いポーズを眼前にして、セックスしている男がこの世にはごまんといる。
私は人生の敗北をそのとき悟り、だが、別に興奮などせず脳髄はしびれていた。
私はすぐに見た女をあれ、いい女、これいい女と考える癖があり、ロッキーのエイドリアンを別にメガネつけてても美人じゃね? 磯◯◯子を別にこの人きれいだろ、などと言って、実の父親にお前おかしいよ……などと言われていた。ちなみに後者はチャイル◯クエストというゲームで移動時間が長いとおむつで尿意を抑えられてしまった人でもある。
むかむかしながら、職場から歩きつつ、たこ焼きが六〇〇円の店を横目で見ては、うちの地元では二十年前、やきそばつき四百円だったよ、と思い、パン屋の前を通ればメロンパンが良心的である二百四十円であれば、お母さんといったあのパン屋さん、全部百円台だったな、などと思った。お母さんは今年で退職する。
あー、クソ、おもんねえ。美人の正常位を週七で眼の前で鑑賞し、チンポを抜き差しし、明るいところでやりたいんだ? いいだろ? などと交渉して成功している男がいるのだ。許せねえ! 村上龍はエッセイでエイズがこの世をホモで満ちる陰謀を防いだなどと昔言っていたが、腟内で射精して妊娠するというプロセスが非モテの呪いをこの世に産んだ。妊娠と別けてくれて、友達くらいになった美人がカジュアルに「あーいーよ。友達だしね。電気消して? 上は脱がないし、痛いから胸揉まないでね」と、ブサで普段はフィギュアにぶっかけてるオタクにもやらせてやれば、それで良かったのだ。美人、それは神々が作った神々の子孫である。
じゃあ妊娠はどうしたらなる? 愛情ゲージが溜まれば子供ができるで何も問題ないどころか、様々な問題が起こらないで済むだろう……
と、この文章が書き始めたのが十六時十四分。中島らもにならって、休肝日のはずだったが、こだわり酒場のレモンチューハイ七%を五〇〇ミリリットル飲んで、こんな駄文を書いた。
俺がクズなのは知ってる。なぜなら自分のことしか考えないし、女のしたたかさに付き合ってやる包容力がないからだ。自分のことで精一杯なフリークスに誰が正常位の醜さを晒してくれる。
そうして俺はこの文章を自己嫌悪と共にOFFICEの類似製品に貼り付けて、破滅派にアップした。
破滅派(一度や二度逃亡した)が作家志望崩れの私のエンドコンテンツだろう。
あーあ、ちやほやされてえなあ。女はマ◯コって神器を持ってるからどうにでもなる。
前に母に言った。
腹の中に自分以外の命がいるってすごくね?
父は言った。「離婚したら母親が親権取るもんなんだよ」あー、そうだよな。男は射精しただけだもんな。
そして私は昨日買って飲まなかった三百五十ミリリットルのチューハイを飲んだ。
あー、くだらね、カイジのオープニングだよ。
小便かけてやろう、だよ。
ふざけんな、俺は汁男優じゃないけど、
この世のすべてに、
世界のすべてに
ザーメンどっぴゅしゃーだよ。
"十六時十四分"へのコメント 0件