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クマを贈る

パウレタ

この小説は、昨今のクマの出没ニュースを見て、Chatgpt-5に構想、企画、文章構成、文体などを私が指示して書いてもらい、自身で修正及び編集したものです。

タグ: #AIが生成 #一部AI執筆 #実験的 #純文学

小説

2,817文字

Ⅰ.クマ出没

都心部でクマの目撃情報があったという。
朝のニュース番組がそれを繰り返し伝えていた。
映像はなく、音声だけだった。

警察が現場を確認したが、何も見つからなかったらしい。

SNSには専用の地図がつくられ、赤いピンが次々に打たれていった。

見たという人もいれば、聞いたという人もいた。

それを信じる人と、信じない人がいた。

駆除反対の声もあがっていた。

駅前のデジタルサイネージには「クマ出没注意」と表示されていた。
人々は立ち止まり、それを写真に撮っていた。
その写真をSNSに上げる人もいた。
「#クマ出没マップ」のタグが付けられていた。

昼のワイドショーでは、専門家が出てきて意見を述べていた。
「本当にクマがいる可能性は低いでしょう」
そのあとに、誰かが「でも爪痕のようなものが」と言った。

夜になると、クマを見たという投稿が増えた。
「さっき駐車場の影で」「コンビニの裏で」「窓の外に」
警察は出動したが、何も見つからなかった。

翌朝、赤いピンはさらに増えていた。
画面の地図はほとんど真っ赤だった。
人々はそれを拡大したり、縮小したりしていた。

地下鉄では「クマに注意」との放送が流れていた。

街はいつも通りだった。

誰もクマを見ていなかった。

けれど、みんなクマの話をしていた。

 

 

Ⅱ.クマ贈り師

「クマ贈ります」という手紙が届いたという。

最初は悪ふざけだと思われた。

手紙には、差出人の名前がなかった。

封筒の消印は都内のどこかだった。

届いた家は、SNSでクマの駆除に反対していた人たちの家だった。
そのことを指摘した投稿があり、少し話題になった。

《駆除反対派にクマを贈るという手紙が》
《これは新しいタイプの嫌がらせかもしれません》

ニュースサイトの見出しにも、同じような言葉が並んだ。

手紙の内容は短く、似たような文面だったという。
「あなたの考えに賛同しました。クマを贈ります」
そのあとに、印刷されたクマのシルエットが一つ。
文字は黒、紙は白。

ある主婦は手紙を撮影して投稿した。
「誰か同じの届いた人いますか?」
すぐに何件かの返信がついた。
写真はどれも似ていて、文面も同じだった。
紙の折れ方まで同じだと指摘する人もいた。

週末になると、テレビでも取り上げられた。

コメンテーターが「クマ贈り師」と呼んだ。
その言葉はたちまち検索ワードの上位になった。

その翌週から、今度は手紙ではなく、箱が届くようになった。

段ボールに「取扱注意」と赤いスタンプ。
差出人の欄には、やはり何も書かれていなかった。

受け取った人たちは警察に通報したが、いたずらの可能性が高いとして受理されなかった。

《うちにも届いた》
《中で何か動いてる》
《怖い》
そういう投稿が続き、動画も上がった。

箱の中から、微かに音がするという。
それが呼吸のようにも聞こえるという人もいた。

翌朝、廃ビルの地下に、同じ箱を集める会が開かれた。
SNSで呼びかけた人がいた。
《一か所にまとめたほうが安全》
《専門家に見てもらう》
そう書かれていた。

夜には、十個以上の箱が集まった。
並べられた箱の上に、スマートフォンが光っていた。
誰かが撮影していた。

箱の中からは、ときどき音がした。
その音は、はっきりとは聞こえなかった。
ただ、何かが中にいるということだけが、わかった。

 

 

Ⅲ.箱

箱は次々に届いた。

大きさは少しずつ違っていた。
正方形のものもあれば、細長いものもあった。

すべての箱に「取扱注意」と書かれていた。
中には何かが入っているようだった。
持ち上げると、わずかに重いようだ。
耳を当てると、音がするようだ。
動物のような音とも、機械のような音とも言えなかった。
音は一定ではなく、ときどき止まった。

箱を開けた人はいなかった。開けたという投稿もなかった。誰かが開けたらしいという噂だけが流れた。

それが本当かどうか、誰も確かめようとしなかった。

SNSでは、箱を撮影した写真が並んでいた。
背景は似ていた。
同じ壁紙、同じ床。
どこかの部屋で撮られた写真が、少しずつ角度を変えて広まっていた。

地下の集積場所には、二十個ほどの箱が集まっていた。
床に置かれた箱は、番号のように並べられていた。
誰が並べたのかはわからなかった。
箱の隙間に、紙のメモが落ちていた。
「開けないでください」と書かれていた。

夜、そこを見に行った人がいた。
動画が投稿されていた。
画面の奥で、かすかな物音がしていた。
何かが箱の中で動いているように見えた。
コメント欄には
《風の音?》
《ネズミ?》
《人間じゃない?》
などが並んでいた。

 

翌朝、箱の数が増えていた。三十個以上になっていた。

新しい箱の表面には、黒い跡がついていた。
手の跡のようにも、爪の跡のようにも見えた。
誰かがその跡を拭き取ろうとしたが、落ちなかったという。
それを見た人が「生きている」と言ったらしい。
何が生きているのかは、誰にもわからなかった。

その夜、集積場所にまたトラックが止まった。
荷台には、新しい箱が三つ積まれていた。
箱はそのまま置かれていった。
箱は増え続けた。
誰も開けなかった。
けれど、誰も目を離せなかった。

 

 

Ⅳ.開封か否か

開けるかどうかを決める会議が開かれた。

地下の集積場所に、十数人が集まっていた。
ほとんどが、箱を受け取った人たちだった。
顔を隠している者もいた。
スマートフォンを前に置いて、録画している人もいた。

議題は一つだけだった。
「開けるか」「開けないか」
それだけが、何度も繰り返された。

誰かが「このままにしておくのは危険だ」と言った。
別の誰かが「開けた瞬間に終わる」と言った。
そのやりとりの録音が、あとでSNSに投稿された。箱は壁際に並んでいた。音はなかった。
誰かが「今日は静かですね」と言った。
それが合図のように、ひとつの箱がわずかに動いた。
誰かの息をのむ音がした。

その後の記録は、途切れていた。

動画も、音声も、投稿も、途中で止まっていた。

ただ、深夜に短い投稿がひとつだけあった。

《開けました》

それはすぐに削除された。

翌朝、地下の場所は空になっていた。

箱は一つも残っていなかった。

床には黒い跡が残っていた。それは広がるように、壁のほうへ伸びていた。

近くの防犯カメラはすべて故障していた。原因はわからなかった。

映像の一部には、人の影のようなものが写っていた。
それを見た人は、
《動物かもしれない》と言った。

別の人は
《風の影》と言った。

その週、都内ではクマの目撃情報が再び増えた。
地図上のピンは、前よりも速く増えていった。

SNSには新しいタグが生まれた。
《#箱を開けた人たち》
タグをつけて投稿する人が増えた。
その中に、本物がどれだけあるのかはわからなかった。
ニュースは何も報じなかった。

街は静かだった。
夜になると、どこかで低い音がした。
それは風の音にも聞こえたし、
誰かの息にも聞こえた。
誰も確かめようとはしなかった。
クマの姿は、まだ一度も見つかっていない。

© 2025 パウレタ ( 2025年11月22日公開

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