浜辺でまぶたの裏に映った景色を見ていた少年が逆さ吊りにされベルを鳴らすチャイム代わりにされていたそれを助ける者などいない。ひどく当たり前の風景だった、頭がラリってしまっている僕はそれが現実で起きていることなのか、まぼろしなのかわからない口の中がねばついて今息がくさいだろうと僕は嘆いたなんて意味のない光景が目の中に広がる目の中にひとつの街があるようだったその街は憧れの街で炎をくゆっていたみんなを飲み込んでいく自分が無為な大人だと自覚してしまうような炎だダンテは読んでいないセリーヌもジュネもまぶたの中の世界を見ながら、もう小説なんて読みたくないと思っていたセックスがしたいわけではない本を読みたくないのだ。
ブレイドランナーだった。どこか現実味のない光景だがその街はたしかに存在した、少なくとも僕のまぶたの裏には。まぶたの裏にバーコードがある漫画があるのだから、僕のまぶたの裏に街くらいあってもいいだろう。逆さ吊りにされた少年はぽとりで地面に落ちて動かなくなったそれを踏みつけても誰も気にしないこの世界でも朝は戦争でみんな死にもの狂いで働いていた。少年の耳をかじる老婆がいた。少年は動かない死んでいた。老婆は耳を食いちぎると去っていった別の老婆がもう片方の耳を食いちぎりイカれた路上のドラマーが少年の口にペニスをぶちこみ、自分で腰をふって震えると、ズボンを上げた。今の与党はなんだろう?見たくないのに蹂躙される少年を見せつけられ、まぶたの裏で起きていることだから目を瞑っても見えていて、あ、あ、あ、あ、と僕はよだれを垂らして、浜辺に落ちると蒸発した僕のまぶたの裏にはそんな本当に起こっていることは見えなかった。
あれはなんだ。少年はそのまま三ヶ月放置されて腐って、身体の大部分をカラスに持っていかれた。カラスなんて美化するなと、にぶい頭で僕は思った。まだぼくは現実に帰ってこれない。
頭ではなく耳に聞こえた。
何が現実?
嫌なことが多い現実より、まぶたの裏で傍観すればいいじゃない
僕はそんなことを言っている女の耳を食いちぎった。
だがそれすらも頭の中で起こったことだった。
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