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ぼっちざろっくを観て

三沼薫

誰にも届かないかもしれないエッセイ

エセー

597文字

けいおん世代の自分はぼっちざろっくを観て、最初はけいおんの方が面白いじゃん、と思った。
でもぼっちちゃんこと後藤ひとりの覚醒を目の当たりにして、その先入観はくつがえった。

演奏の描写が詳細で、バンド活動してる方たちはこんな感じなのか、というかまぁアニメだから脚色はあるだろうけど、ロックバンドのヒリ付く空気感に触れたかった自分はその片鱗を少しでも感じ取れた。

けいおんの楽曲ももちろん大好きだけど、結束バンドのアルバムはまた違う趣向なのかもしれない。
緊張感があると言うか、妙に寂しげな楽曲が多いのはぼっちちゃんが作詞してる、という設定だからなのだろう。

特にひとりぼっち東京、カラカラ、小さな海、フラッシュバッカ―は毎日でも聴ける。
ラブソングが歌えないも好きだけれど、やはり人間の根源にあるのは愛だと信じたいから、この曲は覚悟を持って聴かなければならなくなる。

僕はもう結束バンドのメンバーほど若くはない。文学で世界を救いたい、だなんて大それたことは考えてない。もちろん文体を変えるつもりもない。文体を変えたら楽しんで書けないからだ。

ただ最近よく人の幸せのことを考える。自分に出来ることは小説を書くくらいしかない。しかも純文学はエゴの世界で、読み手が語り手に歩み寄らなければ楽しめない。
それでも自分に出来て、少しでも人の幸せに関係できることは何かを考える。
そして書く、ことくらいしか出来ないのかなぁ……。

© 2025 三沼薫 ( 2025年11月16日公開

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