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「小豆少年」―――解説

穢飢穢

前回投稿した作品「小豆少年――桜仙坊」。

なにを意図して書いたのか、その説明です。

考察・解釈したい方はオススメしません。

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タグ: #伝奇、怪奇 #民俗

エセー

1,769文字

〇「猿は直角に左手をあげ、振り下ろしては地面につく。」

 

この動きは、

・湯浅政明監督のアニメーション映画『犬王』を思い出し、参考にしました。

(以下、常体)

 

 

 

 

〇ナニカが2階の奥にいるのは、

 

・アリ・アスター監督『ボーはおそれている』で隠された屋根裏部屋に男根状の異形がいたこと

(それは遺伝、女性性、出産に関する隠喩の装置だろう。今作の隠された流産による異形の子につながる)

 

・また、『ジョジョ』4部の虹村家の2階の奥に隠匿された異形の父親、人の手を借りられず、相談できずにヤングケアラーのように世話をする億泰たち兄弟

 

(論文、残酷な「異形化」――『ジョジョの奇妙な冒険』虹村兄弟と『鬼滅の刃』不死川兄弟の葛藤――,植 朗子,2021、に詳しい)https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/81013373/

 

・新潮文庫『おとどけものです。:あなたに届いた6つの恐怖の収録作「かんのさん」における、隣家の隠された2階

 

・『ダークギャザリング』の「受胎告知の家」

 

 

以上の作品の描写を思い出しながら書いた。

 

 

 

◯「和菓子」と「洋菓子」

 

・和菓子は旧、保守、大人、しがらみ(大人の社会的なしがらみ、村のしがらみ)を表している。

 

 

・洋菓子は近代的・西洋的、革新、村に新しくきた人、若者、つまりは「(村・大人の)しがらみに対抗・対置する自由」として表している。

 

 

・お地蔵さんに和菓子をお供えしたのは、お地蔵さんは道祖神(今作ではサルタヒコ、庚申信仰など)、学校で食べるために持たされた和菓子を余し、他に使うという若者の対抗、和菓子を買った母親は和菓子屋と関わり・繋がりがあるというある意味の味方関係・子供に見せる大人の嫌な同盟関係、道祖神という旧に対して和菓子という旧を渡す―――社会性を表している。

 

 

・また、生徒会やプリントを届けるなどの「大人の社会的行為」によって、洋菓子屋に行くことを阻まれることも同じ。

 

 

 

 

〇また、「猿」全般として、

 

 

・「去る」

・サルタヒコ

・道祖神、庚申信仰

・監視者

・人、特に近代化に伴って自然を淘汰した社会

・異形を排他する人間の本性、ルッキズム

 

・後半の「騒ぐ」記述は、猿の神が夜中に騒ぐ話(わかりやすいものとしてWikipedia参照されたし)と小豆洗いの「騒音」

 

・「血塊」(「けっけ」というセリフ)(長野に伝わる怪異)(「スローロリス」につながる)

 

・虐待により、閉じ込められたために毛を剃らずにいる人間

 

・どこにも属していないような不安(現実としては、異なる国や人種、ルーツを持つハーフの子や引越しが多くて地元・郷の感覚の薄い子の不安)

 

・「おしら様」(「人形」につながる)(養蚕家業≒和菓子屋家業)という死後、馬と結婚した少女の巷談、後日談(結婚して出来た子供が人外)

 

中でも読者に伝わりにくいものとしては、

 

・精神疾患と遺伝性

 

・「木更津カラキタ一家」(YouTubeで検索推奨)で2chユーザーやYouTuber、YouTubeユーザーなどが実在するだろう一家のプライバシーを害していることに対するアンチテーゼ

 

がある。

 

 

◯「アトピー」「湿疹」「傷跡」については、

 

・「小豆洗い」の正体

は言わずもがな

 

・外見による差別といじめ

・大人による仕事の手伝わされ、虐待(可能)性

・「猿の手」(W・W・ジェイコブスによる有名なホラー・怪奇作品)の要素を示唆、隠喩

・学校で多かった「◯◯菌」いじめ

・問題(一家の外部のいう「問題」)(ナニカを抱える一家、押し付けられる仕事)を抱えている示唆

・三尸の一つ、人の足と馬面が合体した存在の示唆

・ナニカが「スローロリス」だとして、その毒による傷跡

 

 

 

他にも諸々あるが、ここまで。

© 2025 穢飢穢 ( 2025年9月20日公開

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