※
〇「猿は直角に左手をあげ、振り下ろしては地面につく。」
この動きは、
・湯浅政明監督のアニメーション映画『犬王』を思い出し、参考にしました。
(以下、常体)
※
〇ナニカが2階の奥にいるのは、
・アリ・アスター監督『ボーはおそれている』で隠された屋根裏部屋に男根状の異形がいたこと
(それは遺伝、女性性、出産に関する隠喩の装置だろう。今作の隠された流産による異形の子につながる)
・また、『ジョジョ』4部の虹村家の2階の奥に隠匿された異形の父親、人の手を借りられず、相談できずにヤングケアラーのように世話をする億泰たち兄弟
(論文、残酷な「異形化」――『ジョジョの奇妙な冒険』虹村兄弟と『鬼滅の刃』不死川兄弟の葛藤――,植 朗子,2021、に詳しい)https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/81013373/
・新潮文庫『おとどけものです。:あなたに届いた6つの恐怖』の収録作「かんのさん」における、隣家の隠された2階
・『ダークギャザリング』の「受胎告知の家」
以上の作品の描写を思い出しながら書いた。
※
◯「和菓子」と「洋菓子」
・和菓子は旧、保守、大人、しがらみ(大人の社会的なしがらみ、村のしがらみ)を表している。
・洋菓子は近代的・西洋的、革新、村に新しくきた人、若者、つまりは「(村・大人の)しがらみに対抗・対置する自由」として表している。
・お地蔵さんに和菓子をお供えしたのは、お地蔵さんは道祖神(今作ではサルタヒコ、庚申信仰など)、学校で食べるために持たされた和菓子を余し、他に使うという若者の対抗、和菓子を買った母親は和菓子屋と関わり・繋がりがあるというある意味の味方関係・子供に見せる大人の嫌な同盟関係、道祖神という旧に対して和菓子という旧を渡す―――社会性を表している。
・また、生徒会やプリントを届けるなどの「大人の社会的行為」によって、洋菓子屋に行くことを阻まれることも同じ。
※
〇また、「猿」全般として、
・「去る」
・サルタヒコ
・道祖神、庚申信仰
・監視者
・人、特に近代化に伴って自然を淘汰した社会
・異形を排他する人間の本性、ルッキズム
・後半の「騒ぐ」記述は、猿の神が夜中に騒ぐ話(わかりやすいものとしてWikipedia参照されたし)と小豆洗いの「騒音」
・「血塊」(「けっけ」というセリフ)(長野に伝わる怪異)(「スローロリス」につながる)
・虐待により、閉じ込められたために毛を剃らずにいる人間
・どこにも属していないような不安(現実としては、異なる国や人種、ルーツを持つハーフの子や引越しが多くて地元・郷の感覚の薄い子の不安)
・「おしら様」(「人形」につながる)(養蚕家業≒和菓子屋家業)という死後、馬と結婚した少女の巷談、後日談(結婚して出来た子供が人外)
中でも読者に伝わりにくいものとしては、
・精神疾患と遺伝性
・「木更津カラキタ一家」(YouTubeで検索推奨)で2chユーザーやYouTuber、YouTubeユーザーなどが実在するだろう一家のプライバシーを害していることに対するアンチテーゼ
がある。
※
◯「アトピー」「湿疹」「傷跡」については、
・「小豆洗い」の正体
は言わずもがな
・外見による差別といじめ
・大人による仕事の手伝わされ、虐待(可能)性
・「猿の手」(W・W・ジェイコブスによる有名なホラー・怪奇作品)の要素を示唆、隠喩
・学校で多かった「◯◯菌」いじめ
・問題(一家の外部のいう「問題」)(ナニカを抱える一家、押し付けられる仕事)を抱えている示唆
・三尸の一つ、人の足と馬面が合体した存在の示唆
・ナニカが「スローロリス」だとして、その毒による傷跡
他にも諸々あるが、ここまで。
"「小豆少年」―――解説"へのコメント 0件