瞑目トウキョウ 斧田小夜(著)

チェリー手提げ暗函からデジタル一眼レフまで、二十世紀はカメラにとっても激動の世紀だった。
写真に取り憑かれ、カメラに魅せられ、運命を狂わせた曽祖父。写真への情熱を忘れられなかった祖父。写真を恐れた父。
そして僕は――写真家になる。
時代を映すその目を前に、瞑目せよ。

¥ 899

  1. 完結済み ( 2016 年 4 月 30 日 〜 2016 年 6 月 24 日 )
  2. 13 作品収録
  3. 171,052文字(400字詰原稿用紙428枚)
  4. あとがき付き(約667文字)

Authors & Editors 執筆者一覧

斧田小夜

斧田小夜 著者

千葉県生まれ、ソフトウェア開発者。得意分野はSFファンタジーと1900年前後が舞台の地球。

Works 収録作一覧

  1. 斧田小夜

    1. 瞑目トウキョウ

    • 小説
    • 1,284文字
    • 2016 年 4 月 30 日公開

     序章   早春の濁りが喉の奥でざらついた音をたて、僕は焦って息を吐いた。 ドルル、ドルルと背後から不吉な音がする。不吉な音の正体はエンジンだ。軽トラックにのった父が僕を追いかけているのだ。妙な音を立てているの […]

  2. 斧田小夜

    2. 瞑目トウキョウ  第一章 曽祖父 (1)

    • 小説
    • 9,618文字
    • 2016 年 5 月 1 日公開

    写真を撮ったこともないのに、カメラのことだけは知っている――そんな曽祖父がついに(以降は週一くらいで更新します)

  3. 斧田小夜

    3. 瞑目トウキョウ 第一章 曽祖父(2)

    • 小説
    • 7,493文字
    • 2016 年 5 月 7 日公開

    入営後、憂鬱な日々を送る嘉平さんを待っていたのは――

  4. 斧田小夜

    4. 瞑目トウキョウ 第一章 曽祖父(3)

    • 小説
    • 19,259文字
    • 2016 年 5 月 15 日公開

    明治三十七年、日露戦争の只中も嘉平さんの頭のなかにあるのは暗函だけ。特例で大陸に渡った嘉平さんはついに夢にまで見た大本営写真班と合流し――

  5. 斧田小夜

    5. 瞑目トウキョウ 第一章 曽祖父(4)

    • 小説
    • 10,414文字
    • 2016 年 5 月 22 日公開

    首尾よく出奔したはずの僕だが、あっさり父に居場所を突き止められ襲撃される。でも僕には味方がいる。父とは違うのだ――

  6. 斧田小夜

    6. 瞑目トウキョウ 第二章 父(1)

    • 小説
    • 12,901文字
    • 2016 年 5 月 26 日公開

    今はろくでもない父だが、昔からそうだったわけではない。父が十五の頃の話をしよう。

  7. 斧田小夜

    7. 瞑目トウキョウ 第二章 父(2)

    • 小説
    • 16,525文字
    • 2016 年 5 月 30 日公開

    病気の母親に付き添って岡山に出た父、やはりどこにでも写真はついてまわるものだ。

  8. 斧田小夜

    8. 瞑目トウキョウ 第二章 父(3)

    • 小説
    • 8,885文字
    • 2016 年 6 月 4 日公開

    父の写真の才能を買って新聞社に勤めてはどうかという誘いが来るが――

  9. 斧田小夜

    9. 瞑目トウキョウ 第二章 父(4)

    • 小説
    • 27,481文字
    • 2016 年 6 月 9 日公開

    蔵掃除をしていた僕と哲之は箱の奥にガラス乾板を見つける。明治は遠い記憶だ。

  10. 斧田小夜

    10. 瞑目トウキョウ 第三章 祖父(1)

    • 小説
    • 10,080文字
    • 2016 年 6 月 14 日公開

    自殺を図った父は発見が早かったおかげで一命を取り留めたが、僕はそんな父の所業がゆるせなかった。ほとんど残っていない祖父の記憶が蘇り、尾古の秘密が明らかになる。

  11. 斧田小夜

    11. 瞑目トウキョウ 第三章 祖父(2)

    • 小説
    • 19,561文字
    • 2016 年 6 月 19 日公開

    ご隠居のよこした手紙には古い紙が折りたたまれていた。僕の記憶にもない、尾古の記録。祖父はなぜ、田舎にもどったのか――

  12. 斧田小夜

    12. 瞑目トウキョウ 第三章 祖父(3)

    • 小説
    • 23,896文字
    • 2016 年 6 月 24 日公開

    知りたい。もっとたくさんのことを知りたい。知らないものを見たい。
    胸の奥がしびれるように痛む。僕は身を捩り、その痛みに焚き付けられるように外へ行きたいと願っている。知りたい。その欲求をあの村に降りてきた最初の尾古も持っていたのだと、僕は知っている。

  13. 斧田小夜

    13. 瞑目トウキョウ 終章

    • 小説
    • 3,655文字
    • 2016 年 6 月 24 日公開

    そしてまた歴史はめぐるのかもしれない。僕はそれをまだ知らない。

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