髙井ホアン(破滅派同人 Juan.B)の『戦前不敬発言大全』『戦前反戦発言大全』がいよいよ本日より発売となった。

戦争と聞くと何を思い浮かべるだろうか。戦前における体制、事件、戦争など公の出来事については、我々は義務教育で「流れ」として学んでいる。しかし、その時代を生きた庶民たちの言動は中々表に出ず、実際の空気として知ることが出来ない。また、共産主義者や宗教者の反戦運動や弾圧などは比較的知られているが、市井の人々によるそれはあまり知られていない。ましてや、天皇に関する言動などは全く圧殺されている。だが、皮肉にも権力は弾圧の記録を残すことで、後世にその様子を伝えた。

『戦前不敬発言大全』『戦前反戦発言大全』は、戦前の特高警察および憲兵隊により記録されていた、日中戦争(支那事変)勃発から太平洋戦争末期にかけての庶民の言動や落書・投書などを中心に、戦前に生きた人々の「ホンネ」を、2巻合わせて約1200ページの大ボリュームで大量に収録している。編集は、世界過激音楽シリーズや様々な歴史本を世に送り出してきたことで知られるハマザキカク氏。

以下はその言動の一例である。

■「皇太子殿下も機関の後継者というだけで別に変ったものでない」

■「俺も総理大臣にして見ろ、もっと上手にやって見せる」

■「俺は日本の国に生れた有難味がない、日本に生れた事が情無く思う」

■「実力のある者をドシドシ天皇にすべきだ」

■「生めよ殖せよ陛下の様に」

■「金属など献納しません相当の相場で買え」

■「食糧不足につき人間製造中止」

■「畏れ多くも皇后様も箱入娘の令嬢様でもお湯に入る時は丸裸」

■「ソ連は全世界の資本家国家を相手にしているので軍備は世界一」

■「早く米国の領地にしてほしい」

■「天皇陛下はユダヤ財閥の傀儡だぞ」

■「日本の軍隊が他国へ攻め込んでそれで正義と言うのは変ではないか」

■「個人あってこそ国家があるので個人が立行かぬ様になっては国家もその存立を失う」

また、「天皇機関説事件」「皇国史観」など当時の世相に絡む様々なコラムや用語集・年表なども掲載している。戦前を美しく、栄光の歴史の様に捉える人々に対しても、本書の庶民は「応答」してくれるだろう。昭和天皇と東条英機や近衛文麿ら要人による「表の歴史」とは異なる、もう一つの戦前を知ることができる本となっている。

以下、わずかながら内容をご紹介しよう。

・反戦編

 

・不敬編

 

『戦前不敬発言大全』『戦前反戦発言大全』は、全国書店およびネット通販サイトで、5月25日より発売。一巻定価2500円+税など。ご購入は両巻合わせて、近所の書店でどうぞ。