スペイン語についての研究、辞書編纂を行うスペイン王立アカデミー(RAE,Real Academia Española)は14日、編纂していた電子版辞書における“facil”(簡単な)の語義を一部変更した。

RAEが編纂していた電子版辞書では、「簡単な、容易な」を意味する“facil”の俗語用法として、「簡単に性的関係を結ぶ女性」(所謂サセ子)をあげていた。この表記についてスペイン語圏の一部女性団体などが抗議していたものの、RAEはこれを歴史的用法であるとして、変更には応じなかった。しかし、次第にこのことがSNSなどで話題となり、カナリア諸島テネリフェの高校生達が「私は簡単じゃない、私の名前はパウラ(人名)だ」「女性が簡単なら、俺達(男性)も簡単だ」と抗議する動画を公開するなど、議論が広がっていた。

その後、今月14日にRAEは結局変更する方針を受け入れ、“facil”の俗語用法を変更し、女性限定とせず「簡単に性的関係を結ぶヒト」(Dicho de una persona: Que se presta sin problemas a mantener relaciones sexuales.)に変更した。RAEの辞書に対しては他にも性に関する語義を変更するよう抗議があり、いくつかの用法が変更される可能性がある。

日本においても、今年1月に10年ぶりに改版された有名国語辞典「広辞苑」において“フェミニズム”及び“フェミニスト”の語義が変更されたり、“LGBT”・“台湾”の語義が改版発売後に抗議を受け修正されるなど、言葉を考える上で重要となる辞書の話題には事欠かない。これらに関してネット上では「言葉は時代とともに変化する」という意見もあれば、「長年の蓄積を経て発展してきた辞書・語学が簡単に変更されて良いのだろうか」との意見もあり、これからも辞書と語義に関する話題は増えるものと思われる。