「紙魚の手帖」は東京創元社が発行する文芸誌。書籍流通状の区分は書籍なので正確には「文芸ムック」だが、同社の雑誌「ミステリーズ!」の後継誌であり、なおかつ同社の得意とするSF・ミステリー・ファンタジーといったジャンルフィクションを包括的に扱う総合誌である。

『ギークに銃はいらない』の書評は同誌のブックレビューコーナーのSFに掲載されている。斧田フリークはぜひご覧いただきたい。

2022年8月号(Vol.6)の特集は「大注目の翻訳ミステリ&真夏のホラー特集」であり、ブックガイドや短編、新人作家案内が掲載されている。東京創元社初のホラー長編賞である「創元ホラー長編賞」の応募規定も掲載されている。ちなみに、同賞は一回限りとなっており、専攻委員は澤村伊智と東雅夫。

他に気になるタイトルとしては、久永実木彦の短編「わたしたちの怪獣」。斧田と同じく創元SF短編賞出身で、破滅派に寄稿したこともある久永の新作短編は「わたしはこれから、お父さんの死体を捨てに行く。怪獣の暴れる東京に——」という設定だ。「シン・ゴジラ」「大怪獣のあとしまつ」「怪獣8号(漫画)」といった作品が単なるパニック映画ではなく、怪獣の存在する世界のリアリティを描くようになったいま、久永がどのように怪獣を料理したのか、気になるところだ。なお、久永は斧田の主宰する「トウキョウ下町SF作家の会」にも参加している。