河出書房新社が今秋、オールジャンルの小さな新雑誌『スピン/spin』(季刊・16号限定)を創刊する。

2026年に創業140周年を迎える河出書房新社がカウントダウン企画として贈るあらたな試み。『スピン/spin』の命名者は作家の恩田陸で、創刊号には恩田による「創刊エッセイ」を掲載する。「日常に読書の栞を」をコンセプトに、せわしなく流れる日常に挟まり、ふと立ち止まらせる「栞=スピン」のような存在であり、日常に少しの「変化(回転=スピン)」を与える雑誌を目指す。

小説(連載・連作・短編・ショートショート)からエッセイ、コラム、企画連載(紙の話・本の話・詩歌の話・様々なスタイルの本の紹介)、装画・挿画まで、毎号ジャンルを超えた作家による作品を届ける。新たな書き手の誕生にも注目したい。

『スピン/spin』では同時に、紙の専門商社・株式会社竹尾と「紙の過去・現在・未来を考える」プロジェクトが始動。表紙の「紙」は毎号異なった「紙=資材」を使用し、読者に視覚・触覚でその違いを体感してもらう。ほかにも生産中止となった「紙」を目次や挿入紙として使用することも検討中とのこと。

また連載「紙の話」をスタート、4年間・16号を通じて様々な側面から「紙」の「声」に耳を傾け、読者に届けていく。

ブックデザインは、『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集』、雑誌『文藝』、そして河出文庫のカバー・本文フォーマットなど、2000年以降の河出書房新社の代表的な本・シリーズを手掛けてきた佐々木暁氏。

装画はフランスを中心に世界中で活躍するアーティスト、ポール・コックス(Paul Cox)が毎号、「日常」をテーマに描き下ろす。さらに、本文の挿画は広告、書籍、雑誌、プロダクトのイラストレーションを中心に幅広く活躍する塩川いづみ氏による描き下ろし。

なお、連載作品は、140周年記念出版として単行本化を予定しているとのこと。あえてこの時代に紙にこだわる姿勢、そしてジャンルの垣根を越える試みに期待したい。