山中明『ソ連ファンク 共産グルーヴ・ディスクガイド』が、この度パブリブより発売されることがわかった。

2019年5月に髙井ホアン著『戦前反戦発言大全』『戦前不敬発言大全』を刊行するなどしている有名出版社パブリブだが、今回、『共産趣味インターナショナル』の第8巻目として、『ソ連ファンク 共産グルーヴ・ディスクガイド』が出版される。著者は、Red Funk提唱者でディスクユニオン所属の山中明である。

パブリブではこれまでも『共産テクノ』『ソ連歌謡』など、日本ではあまり知られていなかった共産圏の音楽文化を、その共産圏よりも詳しくまとめた書籍を出してきた。今回出版される『ソ連ファンク 共産グルーヴ・ディスクガイド』では、旧ソ連の国営レーベルMelodiyaがリリースしたジャズ・ロック・ポップス・ソウル・サイケ・プログレ・ディスコ等のソ連版レアグルーヴをRED FUNKとして再評価する一冊となっている。

70〜80年代、鉄のカーテンの向こう側でも、西側諸国と同様にロック、サイケ、プログレ、ジャズ、ソウル、ディスコ、電子音楽等々、多種多様な音楽が生み出されており、また世界最大の国土を誇ったソ連の音楽シーンは、英米の地域差とは比較にならないほどバラエティーに富んだ音楽性を持っていた。99%の録音物が国営レーベルから発売され、強固な検閲の元で発表された音楽を奏でていたのは、音楽の英才教育を受けたミュージシャンたちである。この一見奇妙とも思わせる組み合わせの数々が、「Red Funk」「ソ連ファンク」と括るに相応しい独自の音楽シーンを創り上げることとなったのである。そんなソ連ファンクの数々を、本書では余すところなく紹介していく。

Melodiya 国営レーベルと同じ名を授かった伝説のジャズ・アンサンブル

VIA-75 グルジア伝承音楽を再解釈する孤高のジャズ・ファンク・グルーヴ

Vagif Mustafazadeh アゼルバイジャン伝統ムガムとジャズを融合した早世のピアニスト

Orizont ソ連でいち早くEW&Fを体現したモルダヴィアの先駆的ファンキーVIA

Nerija ソ連式必殺の盗作隠しや民謡改変爆発のリトアニア・ファンク

Raimonds Pauls VIA的サイケサウンドを体得しラトヴィアから世界的コンポーザーへ

Alexander Gradsky 西側カバー脱却、ロシア語ロック追求したソヴィエト・ロックの父

Yuri Morozov 当局に監視され自宅で実験音楽を録音し続けた赤きシド・バレット

Gunesh リズム・グルが先導するトルクメン・プログレッシヴ・モンスター

Oktava 劇物ファズを過剰摂取したリトアニアン・サイケデリア集団

Samotsvety, Pesnyary, Murad Kazhlaev, David Tukhmanov, Gaya, Iveria, Ariel, Modo等

また、有名な「肋骨レコード」の逸話などを始めとするコラムの数々が掲載されている他、ソ連ファンクに馴染みのない読者にも読みやすい工夫も施されている。この冬、是非読んでおきたい一冊と言えるだろう。オールカラー208ページ、2300円となっている。

山中明『ソ連ファンク 共産グルーヴ・ディスクガイド』は、1月20日頃までに全国書店やレコードショップ、Amazonなどの各種通販で販売されるとみられる。オールカラー208ページ、A5判で2300円。詳しい情報は下記リンクも参照のこと。