メキシコで生まれ、ボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞の受賞歴もある有名な「真っ黒な絵本」の翻訳出版を目指すクラウドファンディングが現在進行中である。

このクラウドファンディングは、世界中の面白い本・有用な本を翻訳出版する「サウザンブックス」の翻訳出版プロジェクトの一つである。今回出版を目指しているのは、メキシコで生まれた絵本「色についての黒い本・仮」(El libro negro de los colores)。Menena Cottinによる文と Rosana Faria によるイラストで構成された絵本であり、メキシコのテコロテ社より2006年に出版され「真っ黒な絵本」として世界的に有名となった。ラガッツィ賞を始め多くの賞を獲得し、14カ国語に翻訳出版されている。

この絵本は、視覚障害者であるトマスと言う男の子の「視界」を、真っ黒な背景と銀色の文字、光沢の入った透明なインクのレリーフによって構成されたイラスト及び点字によって書かれた文章の印刷で表現している。目は見えなくとも、トマスは様々な色を五感を通して知っており、それぞれの色は様々な感覚と結びついている。シンプルな表現でありつつ、色の世界の豊かさが印刷と手触りで楽しめる。普段とはやや違うかも知れないが、確実に存在する色の世界を「真っ黒」を通して感じることができる絵本となりそうだ。是非ともクラウドファンディングが成功し、この本が障害や困難の有無に関わらず多くの子どもたちに届くよう期待したい。

「色についての黒い本・仮」翻訳出版クラウドファンディングの期限は10月31日までである。10月10日夜現在は40%の達成率となっている。詳しい情報は下記サイトを参照のこと。