経済産業省は22日、電子書籍のアクセシビリティーを評価するJIS規格(JIS X 23761)を制定したと発表。視覚障害や発達障害などにより本を読みにくい人、読めない人でも読書できる電子書籍の普及を期待するとしている。

電子書籍のファイル形式である「EPUB」について、対象の書籍がどの程度アクセシブルかを評価する基準となる。日本の提案により2021年に国際規格化した仕様「EPUBアクセシビリティー」(ISO/IEC 23761)との整合性を図るために制定した。

経済産業省は今回の制定によって、視覚障害や発達障害などの理由により印刷された書籍を読めない人が、自分にとってアクセシブルな電子書籍を入手することが容易になることが期待されるとしている。

JIS(Japanese Industrial Standards)は、製品、データ、サービスなどの種類や品質、それらを確認する試験方法又は評価方法や、要求される規格値などを定めており、例えば、生産者、サービスの提供者、使用者・消費者などが安心して品質が良い製品を入手したり、サービスの提供を受けたりすることができるために用いられている。

経済産業省は制定の必要性と背景として、視覚障害や発達障害などの理由により、印刷された書籍を読めない人が、読書をすることができる社会は「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」の目指すところであり、その実現には、電子書籍が重要とし、EPUBアクセシビリティのISO/IEC国際規格化を日本から2019年に提案。賛成を得て2021年にISO/IEC 23761として出版された。この対応JIS規格として、今回「JIS X 23761」を制定した。

昨今では、Audibleなど朗読による読書体験も普及し始めている。この規格によって電子書籍がどう進化していくのか、より読書人口が増えることを期待したい。