「第22回小林秀雄賞」に平野啓一郎『三島由紀夫論』(新潮社)、「第22回新潮ドキュメント賞」に三浦英之『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』(集英社)が決定した。

 「小林秀雄賞」は、自由な精神と柔軟な知性に基づいて新しい世界像を呈示した作品一篇に授与される。フィクション(小説・戯曲・詩歌等)を除く日本語による言語表現作品一般で、令和4年7月1日から令和5年6月30日までを対象とした。選考委員は片山杜秀、國分功一郎、関川夏央、堀江敏幸、養老孟司の五人。

 平野は1975年、愛知県蒲郡市生まれ。1999年、デビュー作の『日蝕』で芥川賞を当時最年少(23歳)で受賞。2009年に『決壊』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2019年に『ある男』で読売文学賞を受賞。2014年、フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ。ほか著書に『葬送』『マチネの終わりに』『滴り落ちる時計たちの波紋』『顔のない裸体たち』など。

 「新潮ドキュメント賞」は、ジャーナリスティックな視点から現代社会と深く切り結び、その構成・表現において文学的にも良質と認められる作品一篇に授与される。選考の対象は、ノンフィクション作品(雑誌掲載も含む)で、令和4年7月1日から令和5年6月30日までを対象期間とした。選考委員は池上彰、梯久美子、櫻井よしこ、藤原正彦、保阪正康の五人。

 三浦は、1974年、神奈川県相模原市生まれ。朝日新聞記者、ルポライター。著書に『南三陸日記』、『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』、『日報隠蔽 自衛隊が最も「戦場」に近づいた日』(布施祐仁との共著)、『牙 アフリカゾウの「 密猟組織」 を追って』、『白い土地 ルポ 福島「帰還困難区域」とその周辺』、『災害特派員』など。

 受賞者にはそれぞれ、記念品及び副賞100万円が贈られる。贈呈式は10月6日、都内で行なわれる。